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ピーチボウルレビュー【2022年度】

ピーチボウルレビュー【2022年度】

ピーチボウル(CFP準決勝戦)
オハイオ州立大

41

ジョージア大

42

2022年度のCFP(カレッジフットボールプレーオフ)準決勝第2戦目はランキング1位のジョージア大(13勝0敗)と同4位のオハイオ州立大(11勝1敗)の一戦。

ジョージア大はご存知の通り昨年の全米覇者。昨年は所属するSEC(サウスイースタンカンファレンス)のタイトルをアラバマ大に譲っていましたが、今年はしっかりとルイジアナ州立大を倒して2017年ぶりのリーグタイトル奪取。その勢いでこの試合に臨みました。

一方のオハイオ州立大はレギュラーシーズン最終戦でミシガン大に完敗しBig Tenカンファレンスタイトル獲得に失敗。プレーオフランキングでも5位に落ちてしまいましたが、4位だったサザンカリフォルニア大Pac-12カンファレンス優勝決定戦でユタ大に敗れてランクを落としたためなんとか滑り込みでプレーオフ出場を決めたのでした。

このピーチボウルに先駆けて行われたフィエスタボウルミシガン大テキサスクリスチャン大がとんでもなく素晴らしい試合になったため、果たしてこのピーチボウルの行方はどうなるかと思われましたが、蓋を開けてみればそのフィエスタボウルの激戦に勝るとも劣らないエキサイティングな試合となったのでした。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

オハイオ州立大が先制、そしてリード

試合の方はオハイオ州立大の先攻で始まりますが、最初のドライブはパントを強いられ、続くジョージア大の攻撃では攻め込みFGのチャンスを得るもこの47ヤードのキックをミス。オハイオ州立大に再び攻撃権が回ってきます。

そしてこのドライブではQB C.J.ストラウド(C.J. Stround)からエースWRマーヴィン・ハリソン・Jr(Marvin Harrison Jr)への31ヤードのTDパスが決まってオハイオ州立大が先制します。

この後ジョージア大もQBステソン・ベネット(Stetson Bennett)からRBケニー・マッキントッシュ(Kenny McIntosh)へのパスTDですぐさまスコアをタイにしますが、オハイオ州立大もすぐさま反撃。11プレーのロングドライブの末にRBマイヤン・ウィリアムス(Miyan Williams)のTDランが決まって再びリード。

そしてその次のドライブでは一発目にベネットのパスがスティール・チェンバーズ(Steele Chambers)にインターセプトされ、オハイオ州立大は敵陣30ヤードという絶好の位置からの攻撃権を得ます。そしてこれを再びストラウドからハリソン・Jrのコネクションでエンドゾーンへボールを運びオハイオ州立大がディフェンディングチャンピオン相手に21対7とリードを奪い、ジョージア大のファンが多く駆けつけたメルセデスベンツスタジアムには不穏な空気が流れます。

しかしここで慌てないのがジョージア大。今季ハイズマントロフィーファイナリストに選ばれたベネットは自陣42ヤード地点からエリアン・スミス(Arian Smith)への47ヤードのロングパスプレーを決めて一気に敵陣レッドゾーン内へ侵入。そして最後はRBケンダル・ミルトン(Kendall Milton)のランTDで1ポゼ差に戻します。

さらに次のジョージア大のドライブではマッキントッシュの52ヤードのロングランで再び敵陣奥深くに切り込むと最後はベネット自らエンドゾーンに飛び込んで第2Q残り約6分で同点の振り出しに戻します。

波にのるジョージア大は前半残り1分44秒でFGを決めてついにこの日初めてオハイオ州立大からリードを奪いファンを安心させましたが、オハイオ州立大にとって再逆転するのに必要だったのはたったの1分。ストラウドからゼヴィアー・ジョンソン(Xavier Johnson)への37ヤードTDで速攻リードを奪い返し前半は28対24でオハイオ州立大リードで折り返します。


ハリソン・Jrが負傷退場

後半に入るとオハイオ州立大はストラウドからWRエメカ・イブカ(Emeka Egbuka)へのパスTDが決まりリードを広げるとジョージア大はFGを再び失敗。

しかしここでこの試合の大きな転機が訪れます。

第3Q残り35秒。敵陣7ヤードまで進撃したオハイオ州立大はストラウドが相手ディフェンスのプレッシャーを受けつつエンドゾーンで待つハリソン・Jrにパスを放りますが、ハリソン・Jrはジョージア大DBの激しいチェックを受けてフィールドにダウン。このプレーでハリソン・Jrは脳震とう(concussion)を患い退場を余儀なくされたのです。

このドライブでオハイオ州立大はFGを決めてリードが14点差に広げますが、なによりもストラウドのメインターゲットであるハリソン・Jrを失ったダメージは計り知れず、これは今後の試合展開を大幅に変えていきます。

ボワーズのリーチ

そんな中ジョージア大は3度目の正直とばかりにジョージア大はジャック・ポドレズニー(Jack Podlesny)の31ヤードFGが決まって点差を縮めます。

このドライブでは敵陣13ヤードで4thダウン&3ヤードを迎え、コンバージョンを狙いましたが、ベネットからTEブロック・ボワーズ(Brock Bowers)へのパスプレーでボールを受け取ったボワーズが1stダウンマーカーギリギリのところへ疾走しますが、審判のジャッジはマーカーを越える前にアウトオブバウンズとなったという判断。

しかしリプレーを見ると、ボワーズは巧みなボディーバランスでアウトオブバウンズとなる前に1stダウンマーカーにボールが届いており判定が覆って1stダウンを獲得というミラクルプレーを見せました。

このドライブは結果的にFGで終わったものの、ファイナルスコアのことを考えるとこのボワーズのコンバージョンが勝利の明暗を分けていたとも考えられるスーパープレーでした。

起死回生のタイムアウト

一方のオハイオ州立大はエースWRであるハリソン・Jrを欠いたことで手駒が減ったことは明らかでしたが、同時に彼をカバーするために人員を割かざるを得なかったジョージア大ディフェンスに少々の余裕が生まれ始めます。その分の選手をブリッツ要因として割くことが可能になったジョージア大はストラウドにプレッシャーを与えることができる機会が多くなります。

そんな中なんとか追加点を奪いたいオハイオ州立大。ここでもし彼らがTDを奪えば、この時点で45対35の2ポゼッションゲームとなっており、残り時間が少なくなっていたジョージア大としては厳しい状態に陥っているところでした。

そう考えると、このドライブにおいてオハイオ州立大陣内で迎えた4thダウン&1ヤードという状況でジョージア大のカービー・スマート(Kirby Smart)監督が要求したタイムアウトは絶妙だったと言えます。

というのもパントフォーメーションに入っていたオハイオ州立大の布陣にきな臭さを感じたスマート監督はスナップギリギリでタイムアウトを要求したのですが、そのプレーはスマート監督の勘通りフェイクプレーで(タイムアウトがコールされたのとスナップされたのがわずかの差だったためオハイオ州立大はこのプレーを実行していた)、もしタイムアウトをとっていなかったら相手が1stダウンを奪い攻撃が続行され、追加点の危機そして持ち時間が減るという危機に陥っていたでしょう。

そう考えればこのスマート監督の決断はチームを救ったとも考えられます。

そしてそれを裏付けるように返しの攻撃ではファーストプレーで再びWRスミスがベネットからの76ヤードの超ロングパスプレーを決めてTD。2ポイントトライも成功させていよいよスコアは38対35の3点差にまで縮まります。

衝撃のエンディング

迫り来るジョージア大の圧を感じながらなんとか追加点を奪いたいオハイオ州立大でしたが残り約9分から6分を費やした11プレーのドライブはTDまでには至らずFG止まり。スコアは41対35と6点差となります。

残り時間3分を切り追うジョージア大はTDを奪いさえすれば逆転という状況。こんな時頼りになるのはこれまで大舞台を経験してきたベテランQBベネット。自陣28ヤードから攻撃開始したジョージア大はそのベネットの小気味良いパスで進撃。このドライブでベネットはパスを(記録上)全て成功させ(1つパスミスがあったものの相手のオフサイドの販促で帳消しに)、そして試合残り時間54秒というところでベネットからWRアドナイ・ミッチェル(Adonai Mitchell)への10ヤードのTDパスが決まってこの土壇場で42対41と逆転に成功!

メルセデスベンツスタジアムは大いに沸きますが、一方で点差はたったの1点。FG一本でオハイオ州立大は逆転可能であり、しかも残り時間は54秒に2つのタイムアウトを残しており、これはライアン・デイ(Ryan Day)監督およびストラウドらにとっては十分と言えそうな時間帯でした。

自陣25ヤードからの攻撃となったオハイオ州立大、ストラウドの機動力で残り30秒を切ったところで彼らはジョージア大陣内へ進撃。ジョージア大選手やファンの心拍数は急速に高まったことでしょう。

ただFG圏内に近づくもあともう少しゴールポストに近づいておきたかったオハイオ州立大でしたがストラウドのパスは2回連続不成功。残り8秒を残して彼らはその命運をキッカーのノア・ラグレス(Noah Ruggles)に託されます。

今季最長の成功キックが49ヤードだったラグレス。決して届かない距離ではなかったのでしょうが簡単な距離でもなく、さらに決めなければ決勝戦進出が海の藻屑に消えるというこの状況、さらに開催地柄ジョージア大ファンが多く彼らの怒号が響き渡るというこの状況下。彼の足から放たれたキックは・・・。

MISSED!!

ラグレスは力みすぎたのか左へ大きく引っ掛けてキック成功とは程遠い大失敗。うなだれる追々選手の横で喜びを爆発させるジョージア大選手たちが非常に対照的でした。

しかもこのFGはアメリカ東部時間でカウントダウンと並行して行われ、年越しと同時にキックが外れるというこれ以上ないタイミング(笑)

とうことでこのピーチボウルでの準決勝戦を切り抜けたのはジョージア大。これで2年連続ナショナルタイトルゲーム進出を決め、2連覇をかけてテキサスクリスチャン大と対戦することが決定しました。

総括

ジョージア大とオハイオ州立大という名門校同士の戦いはその試合前の期待度を裏切らない素晴らしい試合となりました。

オハイオ州立大は今季最強ディフェンスチームの1つと言われるジョージア大に善戦していましたし、QBストラウドはこの日348ヤードに4TD(INTゼロ)と素晴らしい数字を残しました。

ただ前述の通り後半エースWRハリソン・Jr.を怪我で失ったことが大きな要因だったと言えるでしょう。彼の欠場でストラウドはメインターゲットを失い、またそのことでジョージア大ディフェンスがよりアグレッシブにストラウドにプレッシャーをかけることが可能となったのです。

とはいえ、この試合がどちらに転んでもおかしくはなかったことも確か。TEボワーズのスーパープレー、スマート監督のタイムアウト、そしてラグレスのFG失敗・・・。ハリソン不在でも王者ジョージア大に1点差で敗れたオハイオ州立大は負けたとは言え周囲の予想を裏切る激闘を見せてくれました。

またジョージア大のQBベネットも、大きくみればこの日の出来は彼のベストとは程遠かったかもしれませんが、ここぞというときのプレーメーカーぶりはさすがでした。特に追う展開で点を取らなければ負けるという状況だった第4Qだけでみると彼は190ヤードものパスを決めており、これはCFPが導入されたプレーオフの試合において最多のパスヤード(第4Qで)ということです。

オハイオ州立大は負けたとは言え、ミシガン大に敗れて勢いを失い、デイ監督には非難の声が集中し、プレーオフに進めたのも棚ぼた式だったといわれる中で、強敵ジョージア大相手にがっぷりよつの素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたと思います。ストラウドはおそらくドラフト入りしてしまうかもしれませんが、いいリクルートも入部予定ですし来年以降も強いオフェンスが育つと期待できそうです。

ただやはりミシガン大戦といいこのジョージア大戦といい、相手にロングゲインを許す頻度の高さが気になります。バックフィールドの練度の高さが求められそうです。

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