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フィエスタボウルレビュー【2022年度】

フィエスタボウルレビュー【2022年度】

フィエスタボウル(CFP準決勝戦)
テキサスクリスチャン大

51

ミシガン大

45

2022年度のCFP(カレッジフットボールプレーオフ)準決勝第1戦目はランキング2位のミシガン大(13勝0敗)と同3位のテキサスクリスチャン大(12勝1敗)の一戦。

ミシガン大はBig Tenカンファレンスチャンピオンで昨年に続き2年連続のプレーオフ進出。一方のテキサスクリスチャン大はBig 12カンファレンス優勝決定戦でカンザス州立大と対戦しオーバータイムの末惜しくも敗れてタイトルを逃すも、ファナルランキングで上位4位に残り自身初のプレーオフ出場を成し遂げました。

大方の予想はミシガン大有利。当サイトがTwitterで行った投票でも圧倒的にミシガン大の勝利を予想する声が高かったのですが・・・。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

浮き足立つミシガン大

ミシガン大の先攻で始まったこの試合、ファーストプレーでいきなりRBドノヴァン・エドワーズ(Donovan Edwards)が中央を突破する54ヤードのロングランを繰り出して一気に敵陣21ヤード地点へ急襲。オープニングからミシガン大ファンは大いに盛り上がります。この試合ではエースRBブレイク・カーラム(Blake Corum)が怪我で欠場ということで、エドワーズに大きな期待がかかっていました。

ただここからゴールラインが遠く、2ヤード地点で4thダウンを迎えたミシガン大はアグレッシブにギャンブルを敢行。しかしここでのコールはかつてフィラデルフィアイーグルスがニューイングランドペイトリオッツと対戦した第52回スーパーボウルで見せた「フィリースペシャル」。しかしこれはTCUディフェンスが見破り失敗。ミシガン大は先制点の好機を逸します。

返しのTCUのオフェンスではミシガン大ディフェンスが見事に立ちはだかり3&アウト。そして迎えたミシガン大2度目のドライブではQB J.J.マッカーシー(J.J. McCarthy)のパスがTCUのバド・クラーク(Bud Clark)によってINTされクラークがそのままエンドゾーンへ持ち込む「ピックシックス」。思わぬ形でTCUが先制点を挙げます。

さらにTCUは自身の攻撃でも76ヤードを5分間で12プレーかけてミシガン大陣内へ行進し、最後はQBマックス・ドゥガン(Max Duggan)のランTDでこの日1つ目のTDを奪い、14対0と予想外の2ポゼリードを奪います。

その後ミシガン大はFGを決め、さらにロッド・モアー(Rod Moore)がドゥガンのパスをインターセプトし、自陣49ヤード地点からマッカーシーのロングパスで敵陣1ヤードラインまで迫りスコアの期待が高まりましたが、ゴールラインでボールをファンブル。これがTCUにリカバーされまたも得点の大きなチャンスを逸し、スタジアムのミシガン大ファンのため息がこちらにも聞こえてきそうなほどの落胆度合いでした。

ミシガン大はTCUのスピード感溢れるオフェンス並びにディフェンスに苦戦。今シーズン彼らのオフェンスはレッドゾーンでの得点率が95%と全米5位の成功率を誇っていましたが、ここまで2回レッドゾーンに到達するもスコアレスで終わるという不甲斐なさ。

またミシガン大はジム・ハーボー(Jim Harbaugh)指揮下で14点差以上つけられると3勝15敗という数字も残っており、14対0となっていたのは不吉な予感ともいえたのですが・・・。

ただそういった話は置いておいても、立ち上がりからミシガン大はTCUのスピード感に圧倒される場面が見られ、ファーストドライブでのエドワーズのロングランを除けばヤードが稼げるプレーを繰り出すのに苦労し続けました。


2度目のピックシックス

第2Qにはドゥガンからテイ・バーバー(Taye Barber)へのTDが決まり得点を21点に伸ばしたTCUに対してミシガン大は2つのFGにとどまり21対6で前半を終了。ミシガン大は大幅なアジャストメントが必須と考えられ、後半どのような試合展開になるのかに注目が集まりました。

そして後半。TCUの攻撃を食い止めパントを強いたミシガン大はTDを狙うも三度目のFG。しかし第3Q7分45秒でドゥガンのパスがまたもやインターセプト。ミシガン大は敵陣内で絶好のチャンスを手に入れます。そしてこれを逃さなかったマッカーシーはWRロニー・ベル(Ronnie Bell)へフリーフリッカーのパスで34ヤードのTDを決めて21対16とこの日最小点差である5点にまで縮めます。

波に乗りたいミシガン大でしたが、ここで焦ったのか返しのTCUの攻撃では不用意にブリッツをかけてその裏をとったドゥガンにエースWRクウェンティン・ジョンストン(Quentine Johnston)への46ヤードのロングパスを許し、それを起点にRBエマリ・デマカド(Emari Demercado)の5連続ランプレーでTD。ミシガン大が折角詰めた点差を再び12点に広げられます。

そして迎えたミシガン大の攻撃。これ以上離されたくないところでしたが、マッカーシーのパスはLBディー・ウィンターズ(Dee Winters)の胸元に吸い込まれ、それをウィンターズがエンドゾーンまで運びTCUがこの日二つ目の「ピックシックス」。ミシガン大にとって手痛いミスとなります。

点取り合戦へ

ウィンターズのピックシックスでスコアは34対16。時間はすでに第3Q残り時間3分弱ということで、いよいよ後がなくなってきたミシガン大。しかし彼らはそう簡単には諦めませんでした。

その前のドライブでの失態を埋め合わせるかのようにその次のドライブではマッカーシーのランが炸裂。自陣41ヤードからのスクランブルで39ヤードをゲインすると、その次のプレーでも20ヤードをエンドゾーンまで走り切りランTDを献上。なんとかTCUにくらいついていきます。

ただミシガン大ディフェンスはTCUオフェンスをなかなか止めることができません。この日先発RBケンダル・ミラー(Kendre Miller)が負傷退場したことでランアタックを任されたデマカドはミシガン大のTDドライブ直後の攻撃で69ヤードのロングランを繰り出しミシガン大陣内1ヤードラインまで進撃。

そして最後はドゥガンのQBスニークが決まって再びTCUがリードを広げます。が、負けじとミシガン大も再びマカーシーからベルへのロングパスでゴールライン直前まで前進するとカレル・ムリングス(Kalel Mullings)がランTD。さらにマッカーシーのランで2ポイントトライも成功させてスコアを41対30とします。

さらに次のTCUの攻撃ではデマカドがボールをファンブルしこれをミシガン大がリカバー。そしてこのチャンスを逃さなかった彼らは相手陣内18ヤードラインからリバースプレーでローマン・ウィルソン(Roman Wilson)がエンドゾーンまで疾走。このTDプレーの後に2ポイントコンバージョンも成功させ、第4Q開始早々にとうとうミシガン大が3点差にまで点差を詰めてきます。

死闘の末に・・・

一時は14点差をつけられ、点をとってもTCUに点を取り返されてなかなかギャップを縮めることができなかったミシガン大でしたが、第4QにTCUの尻尾をつかみかけます。スタジアムは盛り上がり、いよいよ本命ミシガン大の逆転も目と鼻の先だと思ったことでしょう。

ただその希望を打ち砕いたのが今年のハイズマントロフィーレースで2位となったQBドゥガン。彼が将来のNFLスター候補WRジョンストンへダンプしたショートパスをジョンストンがエンドゾーンまで76ヤードのデリバリー。ミシガン大が苦労して縮めた点差をあっという間に再び10点差に戻してしまいます。

刻一刻と残り時間が少なくなる中、ミシガン大もなんとかTCUに追いつこうともがきますが自陣奥地で何もできずにパント。これをTCUがうまくリターンしミシガン大陣内16ヤード地点からの攻撃権を得ます。ここでTDを喰らえばミシガン大としては致命傷でしたがディフェンスがなんとか堪えFGに抑え込み、スコアは51対38に。

この時点ですでにCFP史上稀に見るハイスコアゲームになっていましたが、追う展開のミシガン大はどうしてもパスに頼るオフェンスに傾倒していきます。しかし元々彼らのスタイルはパワーランからのプレーアクションを軸にしたチーム。マッカーシーも元5つ星QBではありますが、自分たちの持ち味を出せずにこういったオフェンスを強いられているところにこの試合の全てが詰め込まれているような気がします。

それでも攻め続けるミシガン大は残り時間約3分でマッカーシーからウィルソンへのTDパスが決まって51対45と再度ワンポゼ差まで追随。そしてTCU最後と見られた攻撃を必至のディフェンス力とタイムアウトで凌ぎ、ミシガン大は残り時間45秒を残して最後の攻撃権を得ます。

が、自陣25ヤード地点から何もすることができず、迎えた4thダウンではマッカーシーがスナップを受け取れずファンブル。これをエドワーズが拾い上げてやぶれかぶれのラテラルパスを繋ごうとしますが失敗。途中ボールを持っていたTEコルストン・ラヴランド(Colston Loveland)にTCUディフェンダーが頭部に向かってタックルしているシーンがあり、これがターゲッティングの反則となるかどうかのビデオ判定が行われましたが、結果的にターゲットではないという判断が下され万事休す。

ということでファイナルスコアは51対45でテキサスクリスチャン大がミシガン大をアップセット。この51対45というのはこれまで行われてきた26試合のCFP(ファイナル&セミファイナル)合わせて2番目に多いトータルスコア(最多は2017年のローズボウル:ジョージア大54、オクラホマ大48)。ブローアウト(一方のチームが圧倒する結果)となるのが多いCFPの中で非常に稀となる僅差で見応えのある試合となったのでした。

総括

ミシガン大はとにかくエンジンがかかるまでに時間がかかってしまい、特に最初のドライブでの無得点、次のドライブでのピックシックスで無得点ばかりか相手に得点を与えてしまうという出鼻を挫かれる形での序盤となってしまい、それにより少々我を失っている感じに見えました。

先ほども書いたようにミシガン大はランでテンポを作っていくチームで、そのリズムができるまではディフェンスで辛抱するというのがここまでの展開。それゆえにスタートダッシュでスコアしていくチームではありませんが、第1Qに14点差をいきなりつけられてしまい焦りが見えたのか、いつものようなランでこじ開けるのではなくマッカーシーの方に頼り気味なプレーコーリングが目立っていたように思います。

それだけでなく、TCUのタフネスとスピード感に若干出遅れている感もあり、これはこの試合に選手やコーチらが本当の意味で備えられていたのかという疑問が沸くほどのものでした。とにかく後手に回ってここまでの彼らの良さが十二分に発揮されず、常に追いかける展開になってしまったところに大きな敗因があったのかもしれません。

そういった意味ではTCUは攻守ともに本当に優れていました。全米でも5本の指に入ると言われるミシガン大のディフェンスから51点も奪ったのですから(ピック6が2つあったとは言え)これは評価されるべき点です。

またディフェンスも強力なミシガン大のランアタックを攻略。エドワーズに許した最初のロングラン以降は効果的にランアタックを封じ込め、そのロングランを除けばミシガン大に許した1プレー平均のランヤードは3ヤード以下に抑えることができました。

前半消されてしまったウィルソンのTD(下参照)、ラヴランドへのターゲッティングのノーコールなど、審判団による疑惑のコールもありはしましたが、これはフィジカルなミシガン大にフィジカルで打ち勝ったTCUの勝利だと言えます(TCUのランヤードは263ヤード、ミシガン大は186ヤード)。

これでTCUは夢にまで見たCFPナショナルタイトルゲームに進出。昨年の王者であるジョージア大と対決し、1938年以来のナショナルタイトルを目指します。ミシガン大は2年連続セミファイナル戦で敗退。1997年以来の全米制覇は来年度以降に持ち越しとなりました。

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