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NCAAの大英断

どんなにスポットライトを浴びたとしても所詮アマチュア選手であることに変わりがないのがアメリカの大学アメフト選手を含む学生アスリートたちです。そのアマチュアリズムを守るためにNCAAがこれまで長きに渡り様々なルールを通して目を光らせてきたわけですが、その中の中核をなすものが「学生アスリートはスポーツを通してお金を稼いではならない」という事項でした。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

しかし先日カリフォルニア州の州知事が大学生でもお金を稼げるようになる「Fair Pay to Play Act(SE206)」に署名。するとそれに追随するように全米の多くの州で同じような法律を成立させようという動きが活発になっていました。

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NCAAは当初からこの動きに反対の意を示しており、新しい波との全面対決は間逃れないと思われていましたが、ここにきて彼らが舵を大きく切ってきました。というのもなんとNCAAが選手の名前、肖像権など(俗に言うNIL)を元に利益を得ても良いという方向転換を示してきたのです。

NILとはName、Image、Likelinessの略でこれを元にお金を稼ぐというのは例えば「NCAAフットボール」のようなビデオゲームで自分に似た選手が使用されたとするとその対価を受け取れるようになるとか、ポスターのモデルに使われることでお小遣いを稼げるとか、そういった類の収入源のことです。

参考記事懐かしの「NCAA Football」

NCAAの発表によると全部で3部ある全NCAAディビジョンにおいてこの新たなルールを直ちに実行できるように働きかけるということで2021年までにこの新ルールの施行を完遂させることを約束しています。

カリフォルニア州でのSB206の署名が大きな影響を及ぼしたことは言うまでもありませんが、100年以上の歴史があるNCAAのことを考えればこれは大変な変化といえます。もちろん選手たちにはもってこいの話ですが、実際にこれが大学スポーツ界にどのような影響をおよぼすのかはまだ未知の世界の話です。

来る新しい波に対応するためにNCAAは新ルールを制定しなければなりませんが、何の制限もなく選手たちがお金を稼げるようになることを許すわけではありません。この発表があった同日に彼らが示した規範には以下の様なものが含まれています。

  • 学生アスリートは特別な理由がない限り普通の学生たちと同じ扱われ方をされるべきであること。
  • 学生アスリートが成功するための教育や大学生活を優先させること。
  • 新しいルールは誰から見てもわかり易くあるべきで、平等でバランスの取れた競技となるよう注意をはらい、実行可能とし、そしてそれを遂行できるようにすること。
  • 大学生としての機会はプロのものとは異なるものであることを明確に示すこと。
  • 学生アスリートはプレーならびに競技参加から利益を得ることは出来ないこと。
  • 学生アスリートの本分は学生であり大学の被雇用者では決して無いということ。
  • ダイバーシティ(多様性)、インクルージョン(差別のない統合的・包括的考え方)、ジェンダーイクオリティ(性差の無い価値観)を推し進めること。
  • リクルーティング環境を保護し、この新ルールを使って選手を勧誘しようとしたり、チームに留めようとしたり、転校させようとすることを禁止すること。

今後この動きがどうなるかはわかりませんが、あの堅物なNCAAがこの決断を下した事自体が驚きです。もちろんカリフォルニア州の決定に乗っかろうとする州が後を絶たないため、将来的にNCAAが頑固なままだと非常に難しい決断を迫られることになるのは明白でした。そうなる前に自分たちも歩み寄ろうとしたNCAAの決断はまさに英断だと言えます。

こうなると個人的に期待したいのは先にも紹介した「NCAAフットボール」(EA社)のビデオゲームの復活です。2013年にリリースされた「NCAAフットボール2014」以来発売が途絶えているこのフランチャイズですが、それはまさに選手たちがアマチュアとしてNILを元にお金を受け取れないことが遠因となっているのです。

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もし今後本当に選手たちがNILを元に対価を受け取れることができれば、EA社が選手たちにいくらか支払うことで彼らに似せたキャラクターをゲームに起用することが可能になり、ゲーム自体が復活される可能性も出てくるかもしれません。

ただそうなればEA社は莫大な金額を選手たちに払わなければならなくなるかもしれないので、採算がとれるのかどうか微妙となることも考えられます。が、少なくとも復活があるかもしれないという仮定の話ぐらいは出来る状況になりそうです。

時代の流れに逆らえず遂に折れたNCAA。果たしてこの流れがアメリカの大学スポーツ界に何をもたらすのか・・・。

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