2022年、フロリダ大は当時高校生だったQBジェイデン・ラシャーダ（Jaden Rashada）を勧誘するためにありとあらゆる手を用いましたが、この件に関してNCAA（全米大学体育協会）がリクルーティング違反の疑いで調査に乗り出したそうです。
昨夏、NCAAはすでに同校に「ある件」に関して調査のメスが入るという通知（A notice of inquiry）をしていましたが、どうやらこの「ある件」というのがラシャーダのリクルーティングに絡む疑惑だったようです。
何が起きたかは以前記事を書いたことがあるのでそちらを読んでいただけるといいかと思いますが、簡単に言うと、マイアミ大にすでにコミットしていた5つ星のラシャーダを心変わりさせるため、フロリダ大に関わっているNIL（Name/Image/Likeness）のコレクティブ（ブローカー）が巨額のNILディールを提示し、ラシャーダはそれに釣られてフロリダ大にやってきたのですが、いざやってきたもののこのコレクティブがラシャーダに当初約束していた額のNILディールを用意できないとなり、ラシャーダ側は話が違うとしてアリゾナ州立大へと転校していった、というものです。
このフロリダ大関連のコレクティブはラシャーダになんと4年間で1385万ドル（1ドル100円計算でも13億8500万円！！）を支払うと約束していたのですが、このコレクティブは資金難で破綻してしまったのです。
コレクティブと大学は直接関わることはできないことになっており、表上はフロリダ大に肩入れするシンパともいえるコレクティブが勝手にやった、と言うことになっていますが、話によるとチームのスタッフだったマーカス・カストロ・ウォーカー（Marcus Castro-Walker）氏とコレクティブに関わっていると言われるフロリダ大のブースター（後援者）、ヒュー・ハスコック（Hugh Hathcock）氏が深く繋がっていたという情報があったようです。
ハスコック氏はフロリダ大のブースターとしては巨額のドナーとして有名で、2022年には大学に1200万ドル（約12億円）を寄付もしています。その彼はのちに「Gator Guard」というコレクティブを立ち上げますが、このコレクティブがラシャーダの勧誘に大きく関わっており、さらに先に挙げたカストロ・ウォーカー氏もこのラシャーダのNILディールに関与していたということです。
NCAAはNILをリクルーティングの材料に利用させないように各大学に釘を刺していますが、実際にこれをしっかりと管理できているかは微妙であると言うのが実際のところです。が、最近では徐々にNCAAも行動を起こし出しており、もしフロリダ大とラシャーダとのやりとりに問題があったことが認定されればフロリダ大に何かしらの制裁が下されるでしょう。
ちなみにカストロ・ウォーカー氏はこのニュースを受けて2月初頭にフロリダ大から解雇されています。
このNILディールが出た当初、この報酬額はそれまでで史上最高額のものでしたが、内容といえばラシャーダがサイン会に参加するとか、ソーシャルメディアに何かしらのポストを投稿するとか、そういう非常にマイナーな内容。それだけでこんなにも高額の儲けがはいるという話なのですから、乗らない人間を探す方が難しいと言うものです。
ただ先にもいったようにラシャーダにはこのお金が払われることはなく、そのことでフロリダ大に文句を言う訳ですが、裏で何があったか分かりませんが建前上フロリダ大がこのディールを修復することは出来ず、結局無条件でフロリダ大はラシャーダの転校を許可。彼はアリゾナ州立大に転校。昨年は開幕先発QBとなりましたが、怪我で大半の試合を欠場。結果トータルで485ヤードに4TD、3INTという成績に終わりました。
フロリダ大はかつて強豪校としてナショナルタイトルを争うチームとして知られていましたが、ここ何年もその形をひそめたまま。2022年に監督に就任したビリー・ネイピアー（Billy Napier）監督は初年度に6勝7敗、昨年度は5勝7敗と2年連続負け越し。このままでは彼のクビも危ういですが、そこにきてこのNCAAからの調査。これで手痛いリクルーティングの制裁でも喰らって仕舞えば、ネイピアー監督としてはさらに窮地に立たされることになってしまいます・・・。
