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NCAA、2024年から3つの新ルールの導入を検討中【オフシーズン便り#5】

NCAA、2024年から3つの新ルールの導入を検討中【オフシーズン便り#5】

カレッジフットボールでは毎年ルールの改正がオフシーズンに検討され、投票によってその改正案が受諾されたり却下されたりしています。そして今回もオフシーズン中となる現在、NCAA(全米大学体育協会)の中で来季からの新たなルール改正が議題に挙がっているようですが、それが興味深いものになっています。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ヘルメット内のヘッドフォン搭載を許可

1つ目のルール改正の提案は、選手のヘルメット内にヘッドフォンをつけてサイドラインのコーチとコンタクトを取ることを許可するというものです。

これは現在NFLですでに使用されているものですが、カレッジではこれまで許されてきませんでした。これを今回カレッジでも使えるようにしようというものです。

実際カレッジの現場ではこのヘッドフォンの使用の許可を長年訴えてきましたが、NCAAはこの導入を許可してきませんでした。が、おそらく昨年起きた、ミシガン大のサイン盗み疑惑を受けてこの案が本格的に議論されたようです。

ミシガン大の疑惑とは、昨年同大のスタッフが対戦相手の試合に乗り込んで相手のハンドシグナル(サイン)をビデオで撮影して解析し、実際の試合で相手のサインを盗んで戦略に役立てていたという事件のこと。ミシガン大はこのスタッフを解雇し、現在も真相を究明中。また当時の監督だったジム・ハーボー(Jim Harbaugh、現LAチャージャーズHC)監督は監督不行き届きの責任を取りレギュラーシーズン最後3試合を謹慎処分に処されました。

チームのスタッフが相手チームのスタジアムに乗り込み、撮影機器などを使って録画することは禁止されています。ただ、実際のところはというと、フィールドを挟んで向かい側にいるチームのハンドシグナルは目視で確認できるわけで、これを解析するなというのが無理な話。だからこそそれぞれのチームは対戦相手にバレないようなサインを使用するわけですが、中にはリーグ内である特定のチームのサインの解析結果をシェアしあっているという話もあり、今回のミシガン大の事件を受けてNFLモデルでもある無線でのコミュニケーションを許可すべきだという声は高まりました。

提案としては攻守共にフィールド上でこの無線付きヘルメットを使用できるのは一人のみ。おそらくオフェンスならQB、ディフェンスならLBあたりが当該選手となるでしょうか。そしてこの無線機能はプレークロックが15秒以下になると自動的にオフになり聞こえなくなるとか。

今の所このヘッドフォン付きヘルメットの使用はオプショナル、ということなので、許可されればやりたいチームだけがやればいい、ということになるようですが、NCAA1部のFBS(フットボールボウルサブディビジョン)チームならばリソース的には問題はなさそうなので、もれなくこのヘルメットを導入することになるでしょう。

ただそれ以下のディビジョン(FCS、2部、3部)はそれぞれのカンファレンスやチームにその決定権が委ねられそうです。

ちなみにこのシステムは昨年度のボウルシーズンに幾つかの試合で試験運用されていたようですが、サイドライをいちいち気にして見る必要がなくなり、コーチからのプレーコーリングを聴きながら視界をフィールド上に置けるのは良かったと、選手からのフィードバックも上々のようです。


タブレット使用を許可

2つ目のルール改正案はサイドラインおよびハーフタイムのロッカールームでタブレットを使用することを許可するというものです。

こちらもすでにNFLでは使われている技術です。NFLはスポンサーを結んでいるWindowsのサーフェスタブレットを使っています。ドライブ後に選手たちがコーチと共にこのタブレットを使ってプレーのレビューをしたりしているシーンがよく見られますし、またフラストレートした選手がこのタブレットを投げつけているシーンもたまに見かけますよね(苦笑)。

NFLのサーフェスタブレットでは「Sideline Viewing System」というアプリを使って直前のドライブのプレーなどを即座に見ることができます。また、このタブレットでは怪我が起きた際に医療チームがどのようにして発症したのかをタブレットでリプレーを見ることで解析することもできるという利点もあります。

NFLでは2014年から全てのチーム(32チーム)にこのサーフェスタブレットがサイドラインに配給されており、どのチームも平等にこのシステムを使うことができています。

NCAAが提案しているタブレット使用の内容は、ブロードキャストされているTVの動画をサイドラインのアングルとエンドゾーンからのアングルのみで提供するというものらしいです。各チーム最大18台のタブレットが使用可能で、使用していいのはコーチのブース(スカイボックス)、サイドライン、ロッカールームのみ。ただタブレットをプロジェクターなどの大きな画面に映し出して使うことは許されないようです。

NFLではそれまでプリントされた画像をサイドラインで見ることは許されていましたが、カレッジフットボール界ではそれすら許されていませんでした。もしタブレット使用が許可されば、カレッジ界でどのように活用されるか気になるところです。

ただもしNFLのようにカレッジで各カンファレンスがタブレットを用意するのではなく、独自の判断に任せるということになればひょっとしたらリソースの問題でタブレットを揃えられるチームとそうでないチームが現れるかもしれません。といっても、FBSレベルの大学なら問題はないかもしれませんが・・・。

2ミニッツワーニングの導入

3つ目のルール改正案は2ミニッツワーニングの導入です。

このルールもNFLですでに使われているものですが、これは第2Qと第4Qの終了2分前になると自動的にタイムアウトがとられてクロックが止まる、というものです。

現在カレッジフットボール界では2ミニッツワーニングは使用されていませんが、昨年度に導入されたシンクロックルールでは、インバウンドのファーストダウンプレーでクロックが止まらなくなるというものに変更されるも、第2Qと第4Qの残り2分間はこれまで通りファーストダウンを奪えばクロックが一時的に止まるというものになっていました。

このルール自体は変わりませんが、NFLと同じように2ミニッツワーニングになると一度クロックが止まることになるようです。

NFLではこの2ミニッツワーニングは戦略上の重要なポイントとして使われることが多いです。特に自分が持っているタイムアウトを使用する必要がないのは大きいです。カレッジで導入された場合、試合の流れをどこまで変えるかは試合の展開によって変わってくるとは思いますが、コーチたちにとっては多少の戦略を練る上で多少のアジャストが必要になってくることでしょう。

投票は4月

今ご紹介したルール改正案はあくまで提案という状況であり、これは来月4月に行われるNCAAの規則制定委員会の会合で投票が行われ、その結果で導入されるか棄却されるかが判明するようです。

ただ、下馬評だとこれに意を反する声は聞かれないと言われており、かなりの確率でこの新ルールが承認される模様。ゲームやテクノロジーの進化によりカレッジフットボールでもそれに順応するようにルールを改正するあたりは、他の面で重い腰を見せているNCAAにしてみると足軽な対応に見えますね。

ちなみにNCAAのルールを準拠しているのが日本国内のフットボール機構ですが、果たして今回の新案が可決されることで国内リーグがどう動くかにも注目が集まりそうですね。

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