春季トレーニングの終わりを告げるスプリングゲーム。その大半が先週末で幕を閉じました。
前回にも述べましたがゲームと言えどもたかが紅白戦。しかしファンからすればされど紅白戦。そんなイベントに沸いた週末でした。
ファンたちにしては待ちに待った一大イベント知れませんが、所詮は練習試合。どちらが勝とうが負けようがたいして意味はないわけで、自身が怪我をしないよう、そしてチームメートに怪我を負わせないようにするのが最重要課題。その中で誰がどれだけ出来るかを見極めるのはそう容易いことせはありません。
それでも試合は各地で行われ、それなりの話題を提供してくれはしました。それをここで紹介したいと思います。
ケンタッキー大のラン攻撃
昨年ケンタッキー大オフェンスはランゲームを多用せず、シーズントータルで419回しかランを用いませんでした。これはSEC内でミズーリ大に次いで低い数字です。どうやらこの状況を打破すべくヘッドコーチ、マーク・ストュープス(Mark Stoops=オクラホマ大のヘッドコーチ、ボブ・ストュープスの兄弟)はオフェンスをシフトするようです。
スプリングゲームでは56キャリーで274ヤードの走りを見せましたが、これは昨年の平均ランヤード162.7ヤードに比べれば100ヤードも多い数字です。キャリー数も平均30そこそこだったのに比べれば格段にランオフェンスをチョイスする頻度が高くなりました。おそらくこれでケンタッキー大オフェンスはよりバランスの取れたものとなりそうです。
未だオフェンスで苦戦するボストンカレッジ
昨シーズンのボストンカレッジオフェンスはお世辞にも良いものとは言えず、1試合平均得点は17.2ポイント、トータルオフェンスは1試合平均275.6ヤードとし、所属するACCでのカンファレンスレコードは全敗、トータルでも3勝9敗といいところがまったくありませんでした。
当然コーチも選手も、そしてファンもこの深刻な事態にどう立ち向かっていくのかが春季トレーニングの焦点となったはずですが、どうやらこの問題はそう簡単には解決しそうにありません。
その証拠にボストンカレッジのスプリングゲームのスコアを見てください。「6対2」。決して野球のスコアではありません。2つのフィールドゴールとセーフティーのみで得点されたスコアです。しかも前半でこのスコア。後半はスコアレスとなったのでした。結果的引き続き頭痛のみが残ってしまったのです。
ルイビル大のラマー・ジャクソン:ニューヒーロー?
スプリングゲームのプレー記録などあまり参考にはなりませんが、ルイビル大2年生QBラマー・ジャクソン(Lamar Jackson)が残した数字はなかなかのものです。この日ジャクソンは29投中24回のパスを成功させトータル519パスヤードを記録。しかも後半はたったの1度しかパスを投げなかったので前半だけで454ヤードもパスを投げたのです。そしてその後半に投げたたった一投のパスは65ヤードのTDパスというおまけ付き。
昨シーズンは54.7パーセントのパス成功率しか残せなかったジャクソンですが、春季トレーニングを通し何かを悟ったのでしょうか?
グリフィスの災難
アラバマ大Kアダム・グリフィス(Adam Griffith)といえば彼が1年生時の2013年でのアーバン大戦での有名な「キック6」を犯したキッカーとして覚えられてしまっていますので、今回のスプリングゲームでの失態が彼に対する評価を変えるものではありませんが…。スプリングゲームではFGを外しまくり、5回蹴って1回しか枠内に飛んでいきませんでした。シーズン中もスロースターターとして知られているグリフィスですが、きっと観客達のため息がスタジアム中にこだましたことでしょう。
噂通りのジョージア大QBイーソン
2016年のリクルーティングクラスの中でナンバー2のQBにランクされたジョージア大のジェコブ・イーソン(Jacob Eason)。春学期からすでにに入学を果たしチームとともにトレーニングを積んできた彼はスプリングゲームでその噂通りのパフォーマンスを見せてくれました。
3人の上級生が鳴かず飛ばずなプレーを見せた中、後半出場したイーソンは集まった大観衆を魅了するプレーを披露し続けました。途中出場にもかかわらず29回中19回のパスを成功させ、244ヤードを投げ切りTDも1つ奪いました。ジョージア大前コーチのマーク・リクト(Mark Richt)監督が口説き落とした5つ星QBのイーソンはリクト監督が残した最大の置き土産となるでしょうか。
オハイオ州立大が最多観客動員数を更新
昨年スプリングゲームと名を借りた「紅白戦」にもかかわらずカレッジフットボール史上最多となる9万9391人を動員したオハイオ州立大でしたが、今年はそれをさらにしのぐ10万189人のバッカイズファンがこの練習試合を見にスタジアムに足を運びました。
試合開始2時間半前にすでにチケットが全て無くなるという過熱さ。むしろ早い者勝ちのこのチケットを取るほうがレギュラーシーズンのチケットを取るよりも難しかったのかもしれません。