CFP5位のユタ大がカレッジフットボールプレーオフ(CFP)に進出するためには今日夜に行われるPac-12カンファレンス優勝決定戦でオレゴン大にただ勝つだけでなく、圧倒してCFP選考委員会に自分たちがトップ4に入るに値するチームであることを大いにアピールする必要があります。
今回対戦するオレゴン大が2週間前にアリゾナ州立大にまさかの番狂わせを食らってしまい、さらに先週アラバマ大がアーバン大に敗れたことにより、現在のトップ4から1つでもチームが陥落した場合にユタ大が滑り込む可能性が増えました。アラバマ大が負けるとは誰も思っていませんでしたから、ユタ大としてはこれ以上無いお膳立てをしてもらったことになります。
ユタ大ディフェンス vs オレゴン大オフェンス
ユタ大の唯一の敗戦はサザンカリフォルニア大に喰らったものですが、それ以降彼らのディフェンスは全米レベルで見ても数字の上では最上位クラス。ランディフェンスは全米1位、スコアリングディフェンス(失点数)は全米3位、パスディフェンスも14位と彼らの今シーズンの絶好調の源をここに見出すことが出来ます。
1試合平均で56ヤードしかランで許していない彼らですから、今回対戦するオレゴン大のRB陣を攻略できれば相手オフェンスを一面化することが出来るでしょう。特にオレゴン大ランオフェンスは1試合平均で全米46位と中堅クラスですからなおのことです。
そうなるとオレゴン大のオフェンスはQBジャスティン・ババート(Justin Herbert)の手に委ねられることになります。
ジャスティン・ハバート
開幕前にはハイズマントロフィー候補とも言われ、次期NFLドラフトでも目玉選手だという評価を受けてきましたが、今季のハバートは前評判ほどの仕事をしたという印象はあまりありません。特に最近4試合で4つものパスINTを犯してしまっていますから、ユタ大から勝利を奪うためには彼のミスのないパフォーマンスが必須事項となります。
ユタ大オフェンス vs オレゴン大ディフェンス
もしオレゴン大がスコアボードに得点を重ねることが出来ないとなると、ユタ大オフェンスがその隙を逃さないはずです。
ユタ大オフェンスはQBタイラー・ハントリー(Tyler Huntley)とRBザック・モス(Zack Moss)という全米屈指のQB/RBコンボを擁します。オハイオ州立大のQBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)とRB J.K.ドビンズ(J.K. Dobbins)、ルイジアナ州立大のQBジョー・バロウ(Joe Burrow)とRBクライド・エドワーズ・へレイヤー(Clyde Edwards-Haleire)、クレムソン大のQBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)とRBトラヴィス・エティエン(Travis Etienne)といった選手たちに隠れてあまり名前が出てこないユタ大の二人ですが、この優勝決定戦で彼らの真価が発揮されることでしょう。
タイラー・ハントリー(左)とザック・モス(右)
11月だけでハントリーは995ヤードのパスに6TDを獲得していますし、モスはチームがサザンカリフォルニア大に敗れた10月以降853ヤードに11TDを量産。またハントレーは脚力もあり255ヤードに5TDを記録もしています。
オレゴン大のランディフェンスは全米10位ですが1試合平均106.3ヤードを許し、パスでも225ヤードを相手に与えるなど決して屈強のディフェンスというわけではありません。ハントレーとモスの二人でオレゴン大ディフェンスに大ダメージを与えることは決して不可能ではないと見ます。
注目ポイント
数あるカンファレンスタイトルゲームでも金曜日に行われるのはこのPac-12カンファレンスの決勝戦のみ。つまり今夜全米のカレッジフットボールファンの目はこのユタ大とオレゴン大の一騎打ちに注がれるわけです。
カレッジフットボール界には「イーストコーストバイアス(East Coast Bias)」という言葉が存在します。これは全米の時差(東海岸時間と西海岸時間では3時間の時差があります)、そしてメディアの注目度からして東海岸ばかりが注目され西海岸チームが不遇の目にあっているという偏見を指す言葉です。
確かに筆者も長いこと東海岸に住んでいますが、3時間時差のあるPac-12カンファレンスの試合というのは東側の試合に比べると放映される頻度は低いです。そうなるとどうしてもファンの目は西海岸チームから離れ気味となり、どんなにいいチームが存在していても評価が行き届いていないという状況はあると思います。
だからこそ今日Pac-12カンファレンスが唯一の試合を開催することには大きな意味があります。そしてこの舞台でユタ大が全米獣の視線を浴びながらオレゴン大から完全勝利を上げることができれば、後続のBig 12カンファレンス優勝チーム(オクラホマ大かベイラー大)に差をつけてプレーオフレースを優位に進めることが出来るわけです。
最近5試合でパス成功率77パーセントと勢いに乗るハントリーがオレゴン大ディフェンスを切り崩し、ハバートという名QB率いるオレゴン大をユタ大ディフェンスが攻略できれば彼らの悲願のプレーオフへの布石を残せることになります。
あとはジョージア大が負けて4つの椅子の内1つでも空席が出るのを祈るばかりです・・・。