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オフシーズンのニュースまとめ:Vol.1【2022】

オフシーズンのニュースまとめ:Vol.1【2022】

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ベースボール・マガジン社 (編集)

アリゾナ州立大に調査のメス

NCAA(全米大学体育協会)はアリゾナ州立大がパンデミック中にリクルーティング違反を犯していたのではないかという疑惑に基づき調査を開始。そしてその余波を受けてアリゾナ州立大は4人のアシスタントコーチと袂を分かちました。その中にはオフェンシブコーディネーターのザック・ヒル(Zak Hill)氏も含まれています。

ヒル氏以外の3人はこの疑惑が噴出した昨夏から自宅謹慎処分に処されていましたが今回正式に解雇。昨年OCを務めたヒル氏はシーズン後に自ら辞任という決断を下しました。

新型コロナウィルスが全米中を襲った2020年春、感染を防ぐために春季トレーニングがキャンセルされたばかりか、対面式のリクルーティング(高校生アスリートを勧誘する一連の作業)も禁止されていました。にもかかわらずアリゾナ州立大はその期間(俗に「デッドピリオド」と呼ばれる)に秘密裏に高校生リクルートをキャンパスに呼び寄せていたらしいのです。

アリゾナ州立大の現監督はNFLでも指揮を執ったハーム・エドワーズ(Herm Edwards)氏。今の所エドワーズ監督自身はこのリクルーティング違反に関わっていなかったとされお咎めなしとなっています。


スウィニー監督、学生のプロ化に警鐘

クレムソン大ダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督は自分の思ったことをズバッと言うことで知られています。時にそれが思わぬ批判を呼ぶこともありますが・・・。

そんなスウィニー監督は先日ゲスト出演したあるポッドキャストでNIL(Name/Image/Likeness)を発端とする、カレッジアスリートの収益獲得を容認する現在の新たなトレンドについて話していました。

(NILとは自身の肖像権などを元手に学生アスリートがお金を稼げるようになった新たな動き)

「私はNILに関しては全く反対していません。私が危惧しているのはこの新たな動きが大学での教育を蔑ろにしてしまわないかということです。そして大学アスリートがプロ化することにも反対です。それが何を引き起こすかと言えば、18歳そこらの学生が収入を得る事によって税金を払う義務が生まれることですが、それはいいことだとは思えません。」

「我々大人は彼らが大学を卒業することに注力させることであり、卒業することの大事さを教えること、そして現在ある奨学金のシステムを改善することが重要であり、それありきでのNILだと考えるべきです。」

「NILというシステムは素晴らしいものです。しかし現行のNILといい、トランスファーポータルといい、今取り上げられている新しいトレンドの一部に継続性があるとは思えません。そして個人的にはこれらのシステムは未来ある若い学生たちに必ずしもいいことだけを与えるとは思えないのです。」

「18、19、20歳そこらの彼らのうち98%の学生たちはNFLに行くことは出来ません。だからカレッジアスリートである間にNILを通じて最大限に利益を得ることをサポートしていくのは悪いことではありませんが、度が過ぎないように目を光らせなければならないと思うのです。」

過去、NILが登場する以前にスウィニー監督はもしカレッジアスリートがお金を稼ぎだしたら監督を辞めると豪語したことがあります。NILの新システムは決してプレーすることでお金を稼ぐことは出来ませんが、一方でスター選手にもなればとんでもない額の利益を既に手に入れていることが報道されています。そういった意味ではスウィニー監督の危惧していた「現実」が起きてしまっていることになります。

今後NILは選手をリクルートする際の重要な側面になっていくことは用意に想像できます。大学側が直接NILのディールを斡旋することは出来ませんが、それが整っている環境をもつ大学とそうでない大学とでは高校生たちが進学する際の重要な決定要素になりかねません。スウィニー監督はそういったことに警鐘を鳴らしているんだと思います。

「怪我したふり」は取り締まることが可能か?

毎年進化するカレッジフットボールにおいてそれに対応するためにルールも変化しています。そして近年よく見られるようになってきた「怪我したふり」に対応するルール改変が現在議論されているようです。

「怪我のふり」が顕著になりだしたのは2010年代に入り高速オフェンスが各地で見られるようになってからです。その最たるチームはチップ・ケリー(Chip Kelly、現UCLA)監督が率いていたオレゴン大。ノーハドルで相手ディフェンスにセットアップさせる間を与えずに攻め込んでいくオフェンスが成功を収めると、その高速オフェンスに対応するために選手に怪我のふりをさせてドライブを止めるという手法がよく見られるようになりました。当然それを行うチームは怪我したふりをしているとは認めませんが・・・。

また怪我のふりをした(と疑われた)チームの対戦相手のファンがその選手にブーイングを浴びせるという光景もよく目にするようになりました。せっかく攻め込んでいるのに怪我せいでドライブが中断してしまえばその選手にファンがブーイングしたくなる気持も分からないでもありませんが、一方で怪我が本当だった場合もあるわけで、そのような選手に対してブーイングを浴びせるのは見ていて気持ちいいとは言えません。

ただ一体どうやってフェイクかどうかを見分けるかということですが・・・。サッカーなどでは怪我の際のオーバーリアクションは既にスポーツの一部と化していますが(笑)、そういうことを良しとしないアメリカ人の気質からすると怪我のフェイクは受け入れがたいものです。

昨年ミシシッピ大レーン・キフィン(Lane Kiffin)監督は怪我した選手は無条件に定められた数のプレーの間はフィールドに戻れないというルールを設定すべきだと話していました。現在怪我した選手は1プレーの後に試合に復帰できることになっています。この期間を伸ばすべきだと提言したのです。たとえば怪我で退いた場合は3プレーは絶対に戻れないとか、そのドライブではもどれないとかすれば、フェイクで負傷退場するケースは減るのではないか、と。

NCAAのルール設定委員会は3月1日にミーティングを行う予定だそうなので、そこでおそらくこのテーマも議題に挙がることでしょう。

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