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ハワイ大のお家騒動

ハワイ大のお家騒動

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ベースボール・マガジン社 (編集)

グラハム監督解雇

全米大学アメフト、ないし全米大学スポーツの中でも少しだけ異色なのがハワイ大です。主にそれは立地条件に言えることですが、当然本土から飛行機で6時間近く離れているこの大学がアウェーの試合を行う場合には当然この距離を行き来しなければならず、マウンテンウエストカンファレンスに属しているとは言え、ハワイ大そしてカンファレンス内で彼らと対戦する他の大学にとっても通常以上の労力が必要になってきます。

そんなハワイ大ですが、オフシーズンにちょっとした「お家騒動」が勃発しました。

2020年度からこの大学の指揮を執っていたのがトッド・グラハム(Todd Graham)氏。彼はこの2年間で11勝11敗という勝率5割のレコードを残してきましたが、今シーズン終了直後から大学内で不穏な空気が。

というのも部内でグラハム監督の学生アスリートらに対するパワハラが常習化していたという情報が明るみに出たからです。このことに関しては大学内だけの調査だけでなくハワイ州の州議会もグラハム監督を呼び出しして公聴会を行ったほど。

大学側は往々にしてグラハム監督を支持する姿勢を保っていましたが、1月14日にグラハム監督自身が辞任を決意。彼はたったの2年でハワイ大を去ることになりました。

11月までに実に17人もの在校生が転校するためにトランスファーポータルに登録。しかもその中にはグラハム監督の実子でもあるDBマイケル・グラハム(Michael Graham)も含まれていたとか。実の子供まで転校しようと決断したからにはよほどのことが起きていたとしか考えられません。

ちなみにこのグラハム監督は5年契約だったため3年の契約期間を残して辞任。これまでライス大タルサ大ピッツバーグ大、そしてアリゾナ州立大を転々としてきましたが、その赴任方法には批判の声も上がっていました。

参考記事歴代ワースト15ヘッドコーチ


ジョーンズ元監督に白羽の矢が立つも・・・

グラハム監督の後釜探しを開始したハワイ大ですが、真っ先にコンタクトを取ったのがジューン・ジョーンズ(June Jones)氏でした。

かつて1970年代にハワイ大で1年だけQBとしてプレーしたジョーンズ氏はその後コーチとしてNFLを転々とし1994年から1996年まではアトランタファルコンズでヘッドコーチも務めました。

そして1999年に古巣のハワイ大にヘッドコーチとして就任。彼が就任するまでハワイ大は18連敗中でしたがそんなチームでジョーンズ氏は初年度に9勝4敗という素晴らしい成績を収め当時からNCAA史上最大級のチーム再建を実現した監督として注目を浴びました。

以来かつてお荷物扱いされていたハワイ大を戦える集団に変えたジョーンズ氏の手腕は高く評価されました。中でも2007年度シーズンはハワイ大創部史上最高のシーズンとされ、レギュラーシーズンを12勝無敗で乗り切ってWAC(ウエスタンアスレティックカンファレンス、現在はフットボールカンファレンスとしては消滅)を制覇すると現在の「ニューイヤーズ6ボウル」に相当する「BCS(ボウルチャンピオンシップシリーズ)ボウル」の1つであるシュガーボウルに出場。残念ながらそこで対戦したジョージア大には敗れましたが、当時のQBコルト・ブレナン(Colt Brennan)はハイズマントロフィーファイナリストにも選ばれまさにハワイ大で絶頂期を迎えていました。

(ちなみにこの時対戦したジョージア大のQBは先日スーパーボウルで優勝したロサンゼルスラムズのマット・スタフォードでした)

その後ジョーンズ監督は本土に移ってサザンメソディスト大の監督を務め、CFL(カナディアンフットボール)、XFL(現在は消滅したプロフットボールリーグ)を渡り歩いていました。そんな彼にハワイ大は次期監督として白羽の矢を立てたのです。

ハワイ大を強豪校に生まれかえたジョーンズ氏が凱旋することは至極普通のアイデアだとは思いましたが、驚くことにジョーンズ氏はこのオファーを拒否しました。その理由はハワイ大が提示した条件が「常軌を逸している(ジョーンズ氏談)」からだったそうです。

その内容は2年契約でさらに彼のスタッフの任命権は大学側にあるということらしかったのですが・・・。

ジョーンズ氏はツイッターで「2年しかいないかもしれない監督の元にどんなリクルートたちがやってくるというのでしょうか?それに自分にアシスタントコーチの任命権がないというのもいかがなものか・・・。私がこのチームをコーチするならばそれは決してお金のためでは無くチームを再建するためであり、他の誰かに自分のスタッフを選ばせたり誰かにコーチの仕方を教えて村うためではありません」と吐露していました。

すると今度はハワイ大側が猛反発。ソーシャルメディア上でこのようなメッセージを送ったジョーンズ氏を品位に欠けているとこき下ろします。「ジョーンズ氏はハワイ大で多数の勝利数を飾った人物だが、一方で独裁者気取りであることに我々は危機感を感じていた。」

だったら何で面接したんだと思ってしまいますが・・・。

新監督にはティミー・チャン氏

そんな感じでハワイ大とジョーンズ氏のリユニオンは仲違いに終わった訳ですが、結果的に彼らが新監督に選んだのは卒業生であるティミー・チャン(Timmy Chang)氏。

チャン氏はハワイ出身で当然大学時代はハワイ大でプレー(2000年〜2004年)。何を隠そう彼は上に紹介したジョーンズ氏が指導したQBだったのです。

ジョーンズ氏のハワイ大再生計画の中心人物だったチャン氏は所属していたWACおよびNCAAのQBレコードを次々と更新。大学生涯通算パスヤード(17072ヤード)は2011年にヒューストン大ケイス・キーナム(Case Keenum、現クリーブランドブラウンズ)に破られるまでNCAA史上最多パスヤードでした。

NFLでは大成しませんでしたが、引退後はコーチ道に足を踏み入れ最近ではネバダ大でWRコーチを務めていました。ハワイ大はこのOBである元スター選手のチャン氏を母校に凱旋させたわけです。ただ監督経験はこれまでありませんが。

「おらが村」精神が比較的強いと言われるハワイらしい起用法といえばそれまでですが、果たしてチャン監督新体制でハワイ大は強くなることが出来るでしょうか?

ちなみに・・・

ハワイ州出身のQBといえばここ最近は非常に逸材が輩出されています。

マーカス・マリオタ(Marcus Mariota、現ラスベガスレイダーズ)は元オレゴン大でハイズマントロフィーも獲得した選手ですし、元アラバマ大のトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)は現在マイアミドルフィンズの先発QB。またセントラルフロリダ大やフロリダ州立大を渡り歩いたマッケンジー・ミルトン(McKenzie Milton)、そして同じくセントラルフロリダ大を経て今季からオクラホマ大入りしたディロン・ガブリエル(Dillon Gabriel)もハワイ州出身。

まずは地元の逸材を本土の大学に奪われないようにキープすることを目指したいところです。

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