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2021年度全米大学王座決定戦プレビュー④【展望】

2021年度全米大学王座決定戦プレビュー④【展望】

CFP(カレッジフットボールプレーオフ)ナショナルチャンピオンシップのプレビュー第4弾の最終回はプレビューの総括です。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

開催日時

🏈 ジョージア大(全米3位)vs アラバマ大(全米1位)
🏟 ルーカスオイルスタジアム
📍 インディアナ州インディアナポリス市
⏰ 米東部時間1月10日(月曜日)午後8時
🇯🇵 1月11日(火曜日)午前10時
📺 ESPN

2021年度の全米王者を決めるCFPナショナルチャンピオンシップゲームはいよいよ現地1月10日月曜日の午後8時から米スポーツ専門局ESPNで放送されます。といっても放送直後は試合前の情報などが紹介されることでしょうから、おそらく実際のキックオフは8時半近くとなるでしょう。


過去の対戦結果

同じサウスイースタンカンファレンス(SEC)所属の両校ですが、ジョージア大は東地区所属、アラバマ大は西地区所属となっています。これまで71回の対戦があり42勝25敗4分けでアラバマ大がリードしています。さらに過去最近の対戦成績だけ見るとアラバマ大が7連勝中。ジョージア大がアラバマ大を苦手としているところが浮かび上がってきます。

2017年度のナショナルタイトルゲームでの対戦は記憶にも新しいところですが、この時はジョージア大が優勢に試合を進めるも、アラバマ大が苦戦していた先発QBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts、現フィラデルフィアイーグルス)を後半に下げてトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)を投入。これが功を奏しオーバータイムの末アラバマ大が逆転勝利で全米優勝を果たしました。

その翌シーズンとなる2018年のSEC優勝決定戦でもこの2校は対決しています。リベンジを狙ったジョージア大はこの時も先制してリードを奪う展開。しかもタガヴァイロアが途中足の怪我で退場を余儀なくされピンチに陥りますが、彼の代わりに出場したハーツが逆転勝利を演出。タガヴァイロアのバックアップに徹してきた元先発QBであるハーツのドラマチックな活躍は多くのファンの心を打ちました。

2020年度にはレギュラーシーズン中に対決。この時はアラバマ大が全米2位、ジョージア大が同3位というマッチアップでしたが、この時もジョージア大が前半をリードして折り返す展開。しかし後半にスキルポジションで勝るアラバマ大がジョージア大を逆転し突き放し41対24と後半相手に点を奪われることなくアラバマ大が勝利しました。

そして今季。SEC優勝決定戦で対戦した両校はここでもジョージア大が10対0とリードを奪う立ち上がりを見せますが、OL陣の奮闘とQBブライス・ヤング(Bryce Young)とWRジェミソン・ウィリアムス(Jameson Williams)のホットラインによりジョージア大ディフェンスが陥落。41対24(偶然にも2020年度の対戦と同じスコア)でまたアラバマ大に軍配。

ということでこの試合はジョージア大のリベンジゲームという色合いが濃いですが、ただのリベンジではなく連敗記録を7で止められるかどうかという大きな命題も掲げられているのです。

師弟対決

アラバマ大のニック・セイバン(Nick Sabam)監督とジョージア大のカービー・スマート(Kirby Smart)監督はいわば師弟関係にあると言えます。

その関係は2004年まで遡り、セイバン監督がルイジアナ州立大の監督をしていた際に彼がスマート監督をDBコーチとして雇ったことが始まりです。セイバン監督がマイアミドルフィンズの監督を務めていた時も2006年の1シーズンだけスマート監督はセーフティーコーチとしてセイバン体制の一員を担っていました。

そして2007年にドルフィンズからアラバマ大へと移ってきたセイバン監督と共にスマート監督もアラバマ大入り。以来2015年までの9年間アラバマ大で指導し2008年からの8年間は守備コーディネーターとしてセイバン監督の頼れる右腕として王朝を築いたのでした。

ディフェンスコーチとしての技術、そして監督としての帝王学をセイバン監督から直々に伝授されたスマート監督は2016年に母校であるジョージア大の監督に就任するとまたたく間にチームは全米トップクラスに位置するようになり、またリクルーティングではセイバン監督を食う年もあったほど。現在ダイナスティを築いているセイバン監督率いるアラバマ大を下すチームがあるとすればそれは酸いも甘いも知っているスマート監督率いるジョージア大であるのは間違いありません。

ただ先にも述べたとおりジョージア大は現在7連敗中であり、当然その中の敗戦にはスマート監督が率いるチームも含まれています(0勝4敗)。

セイバン監督は今シーズン同じく師弟関係にあったジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督率いるテキサスA&M大に敗れるまで、かつて自分に仕えていた元アシスタントが率いるチームとの対戦で無敗を誇っていました(現在のところ25勝1敗)。この連勝記録を止めるのはてっきりスマート監督だと思っていましたが、どちらにせよスマート監督が師匠から白星を獲得する日は遅かれ早かれ訪れるはずです。それがこのナショナルタイトルゲームとなるのかどうか・・・。

ストーリーライン

アラバマ大が勝つと・・・

新型コロナウイルスのパンデミックに悩まされた先シーズン、様々な制約があったにもかかわらずアラバマ大は今後長く語り継がれるような完璧に近いオフェンスを擁してナショナルタイトルを獲得しました。よって彼らが目指すのは2連覇です。もし2連覇となれば2011年と2012年に自身が記録した以来の偉業となります。

またチームとしては勝てば通算19勝目となり、次点のミシガン大ノートルダム大サザンカリフォルニア大の11勝にさらに差をつけることになります。そしてこれは過去最近13年間で7つ目のナショナルタイトルとなり、なんとタイトル獲得の確率がこの期間で5割という驚異的な数字となるのです。

さらに言えばセイバン監督にとってはアラバマ大で7つ目、ルイジアナ州立大でのタイトル(2003年)も含めれば8個目となり、昨年7つ目を獲得したことで元アラバマ大のポール・ブライアント(Paul “Bear” Bryant)監督の6つを抜いて歴代最多優勝獲得監督となっており、更にその記録に箔が付くことになります。

ジョージア大が勝つと・・・

ジョージア大がもし今回ナショナルタイトルを取ればこれは1980年以来3つ目の栄冠となります。言い換えれば過去40年間彼らは全米タイトルから遠ざかっていることでもあり、当然チーム関係者並びに長年のファンとすればなんとしても手に入れたい勲章です。

そして先にも述べたようにジョージア大がアラバマ大から勝利を奪うことができれば連敗記録を7でストップすることになります。そしてスマート監督としては5度目の対戦でようやく師匠のセイバン監督から白星を獲得するということになり、喉の奥に支えていた魚の骨が取れるような気分になるでしょうね。

そしてSEC東地区所属チームとしては2008年度のフロリダ大以来13年ぶりのタイトル奪取となります。過去15年間で見てみると実に11つのタイトルがSEC所属チームの手に渡っていますが、その中でも西地区チームが手にしたタイトルの数は8(アラバマ大6、ルイジアナ州立大2、アーバン大1)ということでジョージア大としては東地区代表チームとしての意地もあります。

もっとも今回両チームがSEC所属チームということでどちらが勝ってもナショナルタイトルが3年連続SECチームに贈られることになり、SECの一人勝ちが続いていきます。

展望

アラバマ大がテキサスA&M大に敗れた際、多くの人がアラバマ大の今季優勝はなくなったと思ったことでしょう。彼らはその後もルイジアナ州立大、アーカンソー大に手こずり、アーバン大戦に至っては第3Qまで無得点で4度のオーバータイムの末に辛くも白星を手に入れたほどでしたから。

関連記事Rivalry Saturday【2021年度第13週目レビュー】

しかしSECタイトルゲームではジョージア大を下し、CFP準決勝戦でシンシナティ大を軽くいなすと自身6度目となる全米王座決定戦に駒を進めてきました。その原動力となっているのはハイズマントロフィーを獲得したスターQBブライス・ヤングを中心としたハイスコアリングオフェンスの存在です。

ジョージア大とのSEC優勝決定戦ではヤングが400ヤード以上をパスで稼ぎ、そのターゲットとなったウィリアムスは180ヤード以上のレシーブを記録。平均失点数7点以下というとんでもない数字を持っていたジョージア大ディフェンスを丸裸にしたのです。

シンシナティ大とのコットンボウルではヤングのパスヤードは200ヤードを切りましたが、それでもしっかりと3つのTDを奪っています。確かにWRジョン・メッチー・III(John Metchie III)の不在は痛手ですが、一方でこのコットンボウルでRBブライアン・ロビンソン(Brian Robinson)が200ヤード以上を足で稼げたのは朗報でした。

参考記事コットンボウルレビュー【2021年度CFP準決勝第1試合】

ジョージア大戦にしてもシンシナティ大戦にしても光ったのはOL陣の奮闘でした。シーズンを通して波があったユニットでしたが、負ければそれでおしまいという現在の状況でベストの状態に持ってこれたのは彼らの働きとコーチ陣の手腕の賜物でしょう。もしアラバマ大が2連覇を成し遂げたいのならばその全てはOL陣の出来にかかっていると言っても過言でないと思います。

アラバマ大のディフェンスを支えるのはLBウィル・アンダーソン(Will Anderson)。ヤングが受賞したハイズマントロフィーの投票結果では2位に守備選手であるミシガン大のDLエイダン・ハッチンソン(Aidan Hutchinson)が食い込みましたが、このアンダーソンは授賞式に呼ばれなかったとはいえ投票結果で5位。それはQBサック数(17.5個)とタックル・フォー・ロス(TFL、34.5個)で全米1位という数字にも表れています。特にTFLは次点が17.5個であることを考えるとアンダーソンの凄さが分かると思います

彼らが最も苦戦したアーバン大戦で試合を僅差に持ち込めたのはアンダーソン率いるディフェンスの奮迅があったからこそ。敵をトータル137ヤードに抑え込み、3rdダウンのコンバート率が30%以下に留めたことが間接的にヤングの劇的な同点ドライブそしてOTの末の逆転劇に繋がったのです。

そしてその勢いはSECタイトルゲームでのジョージア大戦でも衰えず、QBステソン・ベネット(Stetson Bennett)に絶えずプレッシャーをかけ続けましたが、その中でもアンダーソンは9つのQBハリーを記録。これはジョージア大にとって2016年以来一人の選手に許した最多のハリー数だったそうです。彼のプレッシャーが間接的にベネットの2つのINTパスを引き出したとしても不思議ではありません。

ジョージア大とのリマッチに際し、セイバン監督はこのアンダーソンを中心とするフロントセブンには大いなる信頼を置いていることでしょう。ジョージア大オフェンスの軸となるランアタックも前回の対戦では100ヤードそこそこに抑えました。

ただ唯一この試合で抑えることが出来なかったのがTEブロック・ボワーズ(Brock Bowers)。彼には10キャッチに139ヤード(1TD)を奪われてしまいディフェンス陣も彼に対する対処に苦労しました。当然ジョージア大はなんとかしてボワーズを活用していきたいと思っていることでしょうが、アンダーソンらがベネットに絶え間なくプレッシャーをかけ続けていけばミスを誘うことが可能となりそれが試合を決することになるかもしれません。

一方ジョージア大としては全米最強ディフェンスと謳われ開幕以来12勝無敗を守った中で迎えたアラバマ大とのSEC優勝決定戦で惨敗したことはかなりのショックだったと思います。選手やコーチ、並びにファンたちもいよいよアラバマ大の牙城を崩せる日がやってきたと思っていたことでしょうから。

その試合においてその技量に疑問符が投げられたのがQBのベネットでした。アラバマ大ディフェンスに対して340ヤードに3TDを記録したものの、不成功パスが19回、INTパスが2つ、QBサックが3つと得点を重ね続けたアラバマ大から再びリードを奪うだけのプロダクションを生み出すことは叶わなかったからです。

ただシーズンを通してベネットはプレーメーカーとしての役割を担っておらず、周囲に球を散らして彼らに仕事をさせるのが任務であり、パス成功率64.4%、27TDに7INT、パサーレーティングが178ポイント(ヤングは173ポイント)と頼れるパフォーマンスを残していたのも確か。

ジョージア大にはアラバマ大のウィリアムスやメッチーのようなプレーメーカーがWRにいなかったことは事実ではありますが、前述のTEボワーズは健在でありミシガン大とのオレンジボウルでも今季自身12個目となるTDを獲得しています。アラバマ大との対戦でも相手ディフェンスはボワーズに手こずったことを考えれば当然ベネットは彼を多用してくることでしょう。

またそのオレンジボウルでは元フロリダ州立大で現ミネソタヴァイキングスのRBダルヴィン・クック(Dalvin)の弟であるジェームス・クック(James Cook)が112ヤードに1TDをキャッチ。ラッシャーだけでなくレシーバーとしても大いなる武器となることを証明してくれました。前回のアラバマ大戦では11回のキャリーで38ヤードしか走らせてもらえませんでしたが、ミシガン大先で見せたキャッチ能力はアラバマ大ディフェンスとしては無視できない側面であることは間違いありません。

そんなパスゲームにおいてジョージア大のXファクターとなり得るのがWRジョージ・ピッケンズ(George Pickens)です。能力的には今季5本の指に入るとも言われたピッケンズですが、3月に膝の靭帯(ACL)を断裂。長いこと戦線を離脱していましたが、シーズン終了間際にギリギリチームに戻ってきました。今季4キャッチに55ヤードしか獲得していませんが、このSECタイトル戦では41ヤードを記録。元々ポテンシャルの超高い選手ですからこの大舞台でそのポテンシャルを開放してくる可能性もあるかもしれません。そうなればジョージア大のランアタックも活きてくることでしょう。

そして元々の強みであるスクリメージラインでの力勝負でジョージア大は今回こそレギュラーシーズン中に見せた圧倒的強さを再現する必要があります。前回の対戦では彼らのパスラッシュはことごとく相手OL陣に跳ね返され、そのことでQBヤングはポケットの中で十分すぎるほどディフェンスを読む時間を費やすことが出来ました。ヤングを倒すにはアーバン大が見せたようなアグレッシブなブリッツが必要になってくるのではないでしょうか。

SECタイトル戦ではジョージア大はウィリアムスとメッチーの脅威に備えるためにブリッツを控えていました。しかしメッチーが怪我でタイトルゲームに出場しない事となり、その驚異はウィリアムス一人(もっとも他にも能力のあるレシーバーは居るには居ますが)に減ったことでナコビ・ディーン(Nakobe Dean)ら2列目からのブリッツに費やすことの出来る余裕が生まれるかもしれません。これこそがヤングを封じ込める策のような気がします。

そして何よりも彼らは41失点してしまったことに対する雪辱に燃えているはずであり、その闘志は他のどのユニットよりもみなぎっているはず。同じ轍は二度踏まないと必ずやヤングを仕留めるために想像を絶するようなプレッシャーを掛けてくるに違いありません。だからこそジョージア大のフロントセブンとアラバマ大OL陣の勝負が試合の行方を占うと思うのです。

今季の王者を決する大舞台まであと僅か。果たして勝利の女神が微笑むのは・・・。

🚨朗報🚨

今年は「日テレジータス」でこのCFPナショナルチャンピオンシップゲームが生放送されますよ!是非この機会にこのビッグゲームを日本で観戦してみてください!

>> 詳しくはこちら

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