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1980年以来の栄冠!【2021年度全米大学王座決定戦リキャップ】

1980年以来の栄冠!【2021年度全米大学王座決定戦リキャップ】

1月10日に行われた2021年度の全米王座決定戦。1位のアラバマ大と3位のジョージア大のマッチアップはSEC(サウスイースタンカンファレンス)優勝決定戦の再現となりました。この時はアラバマ大がジョージア大を41対24で倒したということで、今回のこの対戦はジョージア大にとってその雪辱を晴らすためのリベンジゲームだったわけです。

結果からいえばジョージア大が33対18で見事に前年度覇者の王者アラバマ大を倒し1980年以来3度目の全米制覇を成し遂げました。その手に汗握る対戦からすでに数日経ちその余韻も徐々に薄れかかっていますが、その熱量が消えてしまう前にこの試合を振り返ります。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

第1Q:ディフェンスゲーム


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両校とも今季全米指折りのディフェンスを擁するチームですが、特にジョージア大は平均失点数が一桁台というとんでもないユニットの持ち主。そのディフェンスが前回の対戦で41失点も犯してしまったわけですから、彼らが今回こそはとアラバマ大オフェンスを完全に止めにかかるのは目に見えていました。

アラバマ大先攻で始まったこの試合、最初のドライブではランとパスを織り交ぜた構成で準決勝戦でのシンシナティ大戦で見せたランでゴリ押しのドライブとは流石に違うところを見せてきました。強力なジョージア大ディフェンス相手にギリギリのところで1stダウンを奪いながら相手陣内へ攻め込みますが、14プレーののち結局ウィル・ライカード(Will Reichard)の37ヤードFGで3点にとどまります。

対するジョージア大の攻撃は一発目でQBステソン・ベネット(Stetson Bennett)がLBクリスチャン・ハリス(Christian Harris)からサックを食らい嫌な立ち上がり。さらにベネットがディレイ・オブ・ゲームの初歩的なミスでチャンスを潰すと結局ジョージア大はパントを強いられます。お互いにとって最初の攻撃だったとは言え、14プレーでFGを獲得したアラバマ大と3rd&アウトとなってしまったジョージア大は対称的な立ち上がりとなりました。

ただこのあとはお互いのディフェンスが奮闘。どちらも大した攻撃の形を見せることなくパントを繰り返し点が入る気がしないディフェンスの力比べのような展開となっていきます。しかしジョージア大にとってこの日3度目のドライブは自陣8ヤードラインからの攻撃となりましたが、ここでようやくまともなドライブを披露することに。ここまでアラバマ大が21プレーに対してジョージア大はたったの6プレーでしたが、ベネットがこの日ようやく初の1stダウンを奪うと少し落ち着きを取り戻したのか、WRジョージ・ピッケンズ(George Pickens)のディープポストを見逃さず52ヤードのロングトス。一気にアラバマ大陣内に急襲をかけます。

一気に形勢逆転となったかと思われましたが、ジョージア大はこのあと相手陣内5ヤードまで進撃しますが結局TDまで手が届かずジャック・ポドレズニー(Jack Podlesny)の24ヤードFGで3対3の同点に。


第2Q:ウィリアムスの負傷退場


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第2Qも引き続きディフェンスの力比べが続きます。そんな中アラバマ大のスターWRジェミソン・ウィリアムス(Jameson Williams)に不運が。QBブライス・ヤング(Bryce Young)がこの日初のロングゲインとなる41ヤードパスをウィリアムスに成功させますが、このプレーでウィリアムスは膝に怪我を負ってしまいます。

アラバマ大はこのドライブもFGに甘んじますが、そんなことよりもこのウィリアムスの怪我の影響を考えるとこっちのほうが何倍も重要な状況。アラバマ大はすでに1000ヤードレシーバーのジョン・メッチー・III(John Metchie III)が同じように膝に怪我を負って欠場しており、今季1500ヤード以上を稼いだウィリアムスの欠如はアラバマ大にとって大いなる痛手となったのです。

そんな中、その後もお互いが1つずつのFGを決めて9対6というロースコアで前半を終えるという手に汗握る試合展開になりました。

スタッツを見る限りパスヤードがアラバマ大のほうが多少上回っている以外はほぼ互角。ジョージア大はペナルティーヤードの多さが気になるも、QBヤングの操るオフェンスをよく抑え込みました。SEC優勝決定戦の時はジョージア大フロントセブンはアラバマ大OL陣を崩せませんでしたが、この日はヤングを焦らせるに十分なプレッシャーを掛けることに成功しレッドゾーン内でのディフェンス力でTDを与えませんでした。

一方のアラバマ大ディフェンスもエッジから果敢にジョージア大OL陣に襲いかかり、ベネットのパスの精度を落とすことに成功。LBウィル・アンダーソン(Will Anderson)はもとよりダラス・ターナー(Dallas Turner)のスピード感も目立っていました。

第3Q:均衡破れる


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ジョージア大の攻撃で始まった後半戦。ハーフタイムでお互いがどのような作戦を練ってくるのかが気になるところでしたが、RBザミアー・ホワイト(Zamier White)のランによる2連続1stダウンプレーで「これは何か変えてきたな」と思わせてくれるも、クリスチャン・ハリスのこの日2個目のQBサックを食らうなどしてジョージア大は結局パントを余儀なくされます。

折角の後半先攻というチャンスをモノに出来なかったジョージア大には不穏な雰囲気が立ち込めますが、返しのアラバマ大の攻撃ではヤングの不用意なパスがジョージア大CBクリストファー・スミス(Christopher Smith)にインターセプトされヤングにとってこの日最初の大きなミス。ジョージア大にとってはモメンタムを変える起点にしたいところでした。

しかしこのチャンスにオフェンスは1度も1stダウンを奪えずにみすみすチャンスを逃します。シーソーゲームを続ける中で数少ないチャンスを活かせないジョージア大のフラストレーションは続きます。ただそんな中でもディフェンス陣は全く腐らず、続くアラバマ大のドライブは所要時間7分45秒の17プレーという怒涛の攻撃を受け続けるも最後はFGをブロックし無得点に。このドライブは完全にジョージア大ディフェンスに軍配です。

このディフェンスの奮闘に遂に応えたのがオフェンス。ここまで数回のロングゲインプレーを見せたもののアラバマ大ディフェンスに手こずっていたジョージア大攻撃陣ですが、RBジェームス・クック(James Cook)の67ヤードの好ランプレーで自陣20ヤードから一気にアラバマ大レッドゾーンに侵入すると敵陣1ヤードラインでの1st&ゴールプレーでは巨漢のDLジョーダン・デーヴィス(Jordan Davis)をブロッカーに起用する超ゴリ押しのランプレーでRBホワイトが遂にエンドラインを割りこの日両チーム通じて初のTDをゲット!

ここまでディフェンスに押され気味でどちらも中々点が取れなかった中でジョージア大が7点を奪ったことで遂に均衡が崩れることに。特にウィリアムス、メッチーを欠くWR陣のことを考えればいかにヤングがハイズマントロフィー受賞QBとはいえ手駒が足りないのは目に見えています。いよいよこのままジョージア大が試合の主導権を握ることになると思われました・・・が。

第4Q:ドラマの末に・・・


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ボールを動かすことは出来てもなかなかエンドゾーンに飛び込めないアラバマ大。そんな彼らはこの日初めてリードを奪われてしまったわけですが、なんとしてもここで点を返しておきたい彼らは手駒が少ないながらもヤングとRBブライアン・ロビンソン(Brian Robinson)のラン、さらにはジョージア大ディフェンスのパーソナルファールにも助けられてジョージア大陣内へ。

そしてQBヤングからWRアジャイ・ホール(Ajiye Hall)への28ヤードパスが決まっていよいよアラバマ大はジョージア大陣内5ヤード地点までたどり着きます。

しかしここでも立ちはだかるのがジョージア大フロントセブン。果敢にヤングへ襲いかかり自陣5ヤードラインでエンドゾーンを死守。ここまで攻め込みながらアラバマ大はこの日4つ目のFGを強いられ、普段は冷静沈着なヤングもTDを取れないことへのフラストレーションを爆発させます。

ただここでカレッジフットボールの神様のいたずらが舞い降ります。この日初のTDを獲得してリードを奪い、相手の猛攻をゴールライン際で防いだことでジョージア大の押せ押せムードが高まるかと思われましたが、QBベネットが自陣27ヤードで痛恨の「ファンブル」。それをアラバマ大がたまたまリカバーするという奇跡的な出来事が起きたのです。

まずベネットのこのプレーがファンブルなのかどうかという議論は当然沸き起こると思いますが、それをリカバーしたブライアン・ブランチ(Brian Branch)のリカバリーも奇跡的。見る限りインバウンドでリカバーしているように見えるものの、偶然にキャッチしたかのようなカジュアルさ(笑)。

このミラクルな(もしジョージア大が負けていたらこの判定は史上最悪の判定とか言われていたでしょうが)シークエンスはビデオ判定の末にファンブルリカバーと認定され、アラバマ大は突如として絶好のチャンスを手に入れます。またジョージア大にしてみればここまで来たのにやっぱりだめなのか・・・というような不安もよぎったに違いありません。

そしてようやくアラバマ大はヤングからTEキャメロン・ラトゥ(Cameron Latu)へのパスがエンドゾーンで成功してこの日初のTDをゲット。18対13と再びリードを奪い返します。

ここまで来てやっぱりアラバマ大なのか・・・という雰囲気も漂い始めたこのドライブ。ここでジョージア大は大きな博打に打って出ます。オフェンシブコーディネーターのトッド・モンケン(Todd Monken)氏はアラバマ大バックフィールドに突如として積極的にアタックを仕掛けます。特に若いCBカイリー・ジャクソン(Khyree Jackson)を果敢に攻め立て、最後はベネットからWRアドナイ・ミッチェル(Adonai Mitchell)へのこの日一番のパスTDが決まってジョージア大が再び逆転します。

ベネットは不運とも言えるファンブルを犯し相手にリードを許すきっかけを作ってしまいましたが、このドライブでそのミスを挽回。試合残り時間8分というところで19対18と1点差のリードを奪うことに成功します。

この時間帯を考慮するといよいよアラバマ大もそこまでチャンスが残されているとは言えず、なんとしても点を取り返したいところでしたが、ここで痛恨の3&アウト。試合の流れは着実にジョージア大へと傾いていきます。

ここまで来るとジョージア大オフェンスはランで時間を削る戦法にシフトし4連続のランプレーが威力を発揮してアラバマ大陣内へ突入すると相手ディフェンスのパスインターフェアレンスの反則にも助けられラン、ラン、ランでレッドゾーンへ。と思いきや、今日ここまで見せ場のなかったスーパールーキーTEブロック・ボワーズ(Brock Bowers)への意表を突くスウィングパスでジョージア大がダメ押しとも言えるTDを決めます。

試合残り時間は3分半で点差は8点。ここで追いついて2ポイントコンバージョンを決めれば土壇場で同点に追いつくという状況は、アラバマ大が先に対戦したアーバン大とダブりました。となればハイズマントロフィーQBヤングの見せ所とも言えるわけですが、自陣25ヤード地点からの攻撃となったアラバマ大はそのヤングのパスで決死の追撃を開始。残り1分ちょっとのところでジョージア大陣内へ足を踏み入れます。

しかしここにきてWRウィリアムスならびにメッチー不在が大きくのしかかります。当然ジョージア大のフロントが終盤までバテずにアラバマ大OL陣を押し込んだという事実もありましたが、試合を決めるというこの場面に頼れるレシーバーが居なかったのは痛かったです。

そして残り時間1分を切りあとのないヤングの祈るようなロングパスはDBキーリー・リンゴ(Kelee Ringo)にインターセプトされ、しかもリンゴはそのまま相手エンドゾーンまでリターンする「ピックシックス」を披露。遂にジョージア大がアラバマ大にとどめを刺したのです。

結局試合はこのまま終了し、ファイナルスコアが33対18で遂にジョージア大がアラバマ大という牙城を崩して41年ぶりの栄冠を手に入れたのです。

ジョージア大の先発QBを任されながら常にその能力を疑われ続けてきたベネットはその批判の声をチームをナショナルタイトルに導いた英雄として蹴散らしました。その安堵感からかベネットは一目はばからず涙するシーンも。

試合後フィールド上で言葉を交わしたアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督とカービー・スマート(Kirby Smart)監督。かつてセイバン監督の下でアシスタントコーチを長年勤めてきたスマート監督はここまで4回「師匠」と戦って全敗中でしたが、5度目のトライにして遂にその壁を崩しました。

その二人は試合終了直後お互いの健闘を称え合いましたが、負けたセイバン監督がスマート監督と笑顔で会話しているのが印象的でした。セイバン監督は常日頃からかつての右腕であるスマート監督を高く評価していましたが、今回は試合後の会見で「もしこんな大舞台で負けるのであればカービー(スマート監督)に負けるのが本望だ」とまで話していました。

ということで強力ディフェンスを擁するチーム同士の戦いとなった2021年度のCFPナショナルタイトルゲームはジョージア大が前年度覇者のアラバマ大を倒して1980年以来の栄冠を手に入れて幕を閉じたのでした。

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