今シーズンのレギュラーシーズンも残すところ今週末の各カンファレンスタイトルゲーム、及び来週末に行われる伝統の一戦、陸軍士官学校vs海軍士官学校の試合のみとなりました。
カレッジフットボールにおいてプレーオフ進出を果たして全米王座を狙うのは当然究極の目標ではありますが、一方でそれぞれのチームが所属するカンファレンスタイトルを獲得するのもまた大きな目標です。現在のフォーマットでは4チームしかプレーオフに駒を進めることが出来ないわけですから。
そしてプレーオフを狙う一握りのチームにとってはカンファレンス優勝決定戦で負ければその大舞台への道を閉ざされる事を意味します。今週末を迎えるに当たり試合があるチームたちは様々な思いを胸にその日を待つのです。
そんな多くの思惑が混じり合う第14週目の主な見どころをご紹介します。
目次
オレゴン大vsユタ大(Pac-12優勝決定戦)
Pac-12カンファレンスの優勝決定戦は北地区王者のオレゴン大(10勝2敗、全米10位)と南地区王者のユタ大(9勝3敗、全米17位)との間で現地金曜日(12月3日、日本時間で土曜日朝10時)に行われます。
この両チームは11月20日に一度一戦交えておりこの時はユタ大が38対7で完勝。ユタ大は2連勝を、オレゴン大はリベンジをかけて戦うわけです。
参考記事Judgement Saturday【2021年度第12週目レビュー】
12週目に対戦した当時、オレゴン大は全米3位でプレーオフ進出圏内に位置していましたが、ユタ大に2敗目を喫してプレーオフレースから脱落。彼らとしてはぜひとも雪辱を果たしてPac-12チャンプとなり伝統のローズボウル出場を果たしたいところ。またユタ大としてもこれはある意味リベンジゲーム。というのも彼らは2019年の優勝決定戦でオレゴン大と対戦しており、この時はオレゴン大に敗れて夢のPac-12タイトルを取り逃がしているからです。
注目はオレゴン大が先日の敗戦の要因をしっかりと修正してこれるかです。この時はまずスペシャルチームが不発。FGをミスしたりブロックされたりするだけでなく、キックオフチームやパントチームも冴えず、そのせいで28−0というロケットスタートを許したのです。
また先の対戦ではオレゴン大ディフェンスはユタ大オフェンスに3rdダウンコンバージョンを奪われる率が非常に高く、その数字は14回中11回も成功されたという数字に表れています。さらには相手RBタヴィオン・トーマス(Tavion Thomas)を中心としたランアタックにより208ヤードも足で稼がれてしまいました。
更には自身のランアタックも23回キャリーでトータルたったの63ヤードしか稼げなかった点もなんとかしなければなりません。
ディフェンスに関して言えばやはりスターDEケイヴォン・ティボデウ(Kayvon Thibodeaux)の強い存在感がこの試合でも必要になってきます。前回は7タックルを記録するもQBサックは一つも奪えませんでした。ユタ大のタフオフェンスを少しでもスローダウンさせるにはランディフェンスで効果を発揮してティボデウによりアグレッシブにQBハントをさせてあげることが鍵かもしれません。
ベイラー大vsオクラホマ州立大(Big 12優勝決定戦)
Big 12カンファレンスの優勝決定戦はオクラホマ州立大(11勝1敗、全米5位)とベイラー大(10勝2敗、全米9位)との間で現地土曜日正午(12月4日、日本時間で日曜日深夜2時)に行われます。
現在CFPランキング5位のオクラホマ州立大はカンファレンスタイトルだけでなくプレーオフ進出のを目指す上で絶対に負けられない試合。この試合に勝ち上位4チームの内1チーム(ジョージア大以外)にでも土が付けば念願のプレーオフ進出が見えてきます。一方のベイラー大は勝てば2014年以来のカンファレンスチャンプに輝くことになります。
両チームはシーズン中に一度相まみえており、この時は24対14でオクラホマ州立大が競り勝ちました。オクラホマ州立大が勝つか、ベイラー大が雪辱を晴らすか。土曜日正午キックオフということで、CFPレースにおいて今週末最初のサバイバルゲームとして大いに注目される試合です。
2005年に監督に就任して以来今年で16シーズン目を迎えるマイク・ガンディ(Mike Gundy)監督にとってこの試合に勝ちプレーオフに進出すれば自身最高のシーズンとなることは間違いありません。オクラホマ州立大はかつて一度もカンファレンスタイトルゲームに出場したことがないからです。
ガンディ監督率いるオクラホマ州立大はオフェンスばかりが注目されるBig 12の中で唯一と言っていいほどディフェンス力が全米トップレベルなチーム。それはトータルディフェンスが全米3位という数字にも示されています。その事からもどのチームが相手でも彼らならばある程度失点を防げることが予想されますから、勝つためにはやはりそのディフェンスを盾に相手から得点を奪うことが出来るかに懸かっているのではないでしょうか。
そのためにはQBスペンサー・サンダース(Spencer Sanders)のベストなパフォーマンスが必須となります。決して優れたパサーというわけではありませんが、アスリートとしてのポテンシャルの高いQBとしてチームのオフェンスリーダーを担ってきました。しかし調子の並が激しい傾向にありミスで自滅する過去を持っています。それでも先週のオクラホマ大戦ではキレッキレのパフォーマンスでオクラホマ大ディフェンスを翻弄。特に彼のスクランブルからの鬼神の如しランプレーは見るものを興奮させてくれます。このときのようなプレーをサンダースが再現してくれればベイラー大に対して効果的に得点を重ねることが出来るのではないでしょうか。
一方のベイラー大もディフェンス畑出身のデイヴ・アランダ(Dave Aranda)監督が育てたチームだけあってタフでフィジカルなチームに仕上がっています。昨年2勝しか出来なかったチームがアランダ監督就任2年目でカンファレンスタイトルゲームに出場したという事実だけでも特筆すべき点です。
ベイラー大がオクラホマ州立大に敗れたのは第5週目の10月2日のことですが、彼らは以来オフェンスは1試合平均30得点を挙げており、その間にはオクラホマ大やブリガムヤング大といった強敵とも対戦しています。このオフェンスがオクラホマ州立大との再戦で前回の14点を上回るスコアを挙げられるかが見もの。
しかし不安材料もあります。開幕からの先発QBゲリー・ボハノン(Gerry Bohanon)が先週末のテキサス工科大戦で太ももを負傷して途中退場。今週末のこの大一番にも出場できるか微妙ですし出場できてもおそらく100%である可能性は極めて低いです。そのテキサス工科大戦ではバックアップのブレイク・シェイプン(Blake Shapen)が出場し勝ちはしましたがやはりこの大一番でバックアップQB出場を余儀なくされるとなると厳しいかと思われます。
そのためにもベイラー大はサンダース率いるオクラホマ州立大を何とか抑え込み、少ないチャンスをものにする必要があります。相手ディフェンスの力を考えると点差を離されてしまったら追いつくことは困難。僅差のゲームに持ち込むことが重要ではないでしょうか。
ジョージア大vsアラバマ大(SEC優勝決定戦)
長くなったので別のページを用意しました。詳しくはこちら。
ミシガン大vsアイオワ大(Big Ten優勝決定戦)
長くなったので別のページを用意しました。詳しくはこちら。
シンシナティ大vsヒューストン大(AAC優勝決定戦)
アメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)の優勝決定戦はシンシナティ大(12勝0敗、全米4位)とヒューストン大(11勝1敗、全米21位)との間で争われます。10カンファレンスある中でも中堅レベルの集まりである「グループオブ5」勢の1つであるAACのタイトル争いですが、今年のこのカンファレンスの優勝争いはただ単にAAC王者を決定するだけに留まりません。というのも4位のシンシナティ大には「グループオブ5」勢出身チームとして初のCFP進出という大きな期待がかかっているからです。
最新のCFPランキングで4位にとどまったシンシナティ大はこのヒューストン大との一戦を制して13勝0敗となればプレーオフに進出できる上位4チームの一角に食い込むことが予想されており、何としても落とせない一戦なのです。しかも下からの突き上げ(オクラホマ州立大並びにノートルダム大)を気にするならばただ勝だけでなく内容的に圧倒してCFP選考委員会に大いにアピールする必要もあります。
そんな感じで「グループオブ5」の希望の星となるシンシナティ大ですが、一方で対戦相手のヒューストン大にしてみれば勝ってもプレーオフに行けるわけではないため、この歴史的シナリオを達成するためにもヒューストン大にはぜひ負けてほしいと願う人は少なくないでしょう。しかし彼らは当然そんな空気を読むこともなく(笑)全力でシンシナティ大を倒しく来るに違いありません。彼らにしてみれば11勝1敗という素晴らしい戦績を引っさげてこの舞台にまでやってきたわけですから手ぶらで変えるわけにはいきません。
シンシナティ大およびヒューストン大共々攻守において非常にバランスの取れたチーム。ヒューストン大のオフェンスは1試合平均得点数で全米10位のオフェンスを持ちディフェンスは1試合平均非獲得ヤードで全米6位。シンシナティ大はというと1試合平均得点数で8位のオフェンスとトータルディフェンスでも全米8位というディフェンス力を持つチームなのです。
またQB対決を見てみてもシンシナティ大のデスモンド・リダー(Desmond Ridder)はここまで3000パスヤードを稼いできたのに対してヒューストン大のクレイトン・トューン(Clayton Tune)も3013パスヤードと似たりよったりの高ナンバー。まるで鏡を除き合っているような2チームが激突するとあり、勝負はどうなるかわかりません。
しかしやはり注目したいのはシンシナティ大のリダー。現在ハイズマントロフィーレースでも名前が挙げられている彼はここ2年間のシンシナティ大の顔。 彼の活躍なくして現在のシンシナティ大はありえないといっても過言ではありません。当然彼を守る強力なOL、そしてRBジェローム・フォード(Jerome Ford)のように堅実なラッシャーが居たことも忘れてはなりませんが、それでも「ファイター」であるリダーのベテランの存在感がチームをまとめたことは大きかったでしょう。
そして若き敏腕監督ルーク・フィッケル(Luke Fickell)監督の指導力です。ディフェンス畑出身ならではのタフネスを売りにしたチーム作りが成功し去年そして今年と二桁勝利を挙げる要因となっています。その手腕から「パワー5」チームから引く手数多ですが、最近ではノートルダム大の次期監督候補にまで名前があがっていたほど。ただ現在プレーオフを目指すチームとしてはこの噂は雑音以外の何物でもありませんでしたが、幸運にもノートルダム大は次期監督を既に指名(マーカス・フリーマン氏)しておりフィッケル監督の噂話も打ち止めとなりプレーオフに集中できそうです。
ただやはりヒューストン大は伊達に11勝1敗という戦績を引っさげてこの舞台に上がるわけではありませんから、シンシナティ大が楽に勝つというのは想像できません。彼らは既にノートルダム大に勝っていますが、ひょっとしたらヒューストン大はシンシナティ大が対戦してきたどのチームよりも手強い相手かもしれません。油断は大敵です。
ピッツバーグ大vsウェイクフォレスト大(ACC優勝決定戦)
アトランティックコーストカンファレンス(ACC)優勝決定戦はコースタル地区代表のウェイクフォレスト大(10勝2敗、全米16位)と海岸地区代表のピッツバーグ大(10勝2敗、全米15位)の対戦となりました。これまでのACCの優勝決定戦といえばクレムソン大にマイアミ大やバージニア工科大などが挑戦していく構図が続いていましたが、今年はクレムソン大が絡んでこないだけでなく、マイアミ大やバージニア工科大さらにはフロリダ州立大などでもない2チームが相まみえるというのは大変新鮮です。
両チームとも2敗を喫しており優勝してもプレーオフには到底手が届きませんが、リーグ制覇を成して「ニューイヤーズ6」ボウルのいずれかに招待されることは他のどのボウルゲームに出場するよりも価値があることです。
両チームとも二桁勝利を収めてこの大舞台に臨みます。ウェイクフォレスト大は2006年以来、ピッツバーグ大は2013年にACCに加盟してから初めてのタイトルを狙います。
見どころは双方の秀逸QBの戦いです。
ピッツバーグ大は今季5本の指に入ると言われるケニー・ピケット(Kenny Pickett)を擁します。同大出身QBといえばNFL殿堂入りも果たしているダン・マリーノ(Dan Marino)氏が有名ですが、彼が保持していたピッツバーグ大の1シーズンでの最多パスTD数(37)をピケットは今年塗り替えました(現在のところ40)。ハイズマントロフィー候補としても名前が上がっているピケットは将来NFLドラフトでの有望株です。
一方のウェイクフォレスト大はサム・ハートマン(Sam Hartman)が健在。 まだ2年生ではありますがACCの歴史上5番目となる、パスで30TDランで10TDを獲得したQBになりました(ちなみに最後にこれを達成したのは元ルイビル大で現ボルティモアレイヴンズのラマー・ジャクソン)。この事実からも分かるようにハイブリッドQBであるハートマンは投げても走っても敵の脅威になる選手。チーム内にはWR A.T.ペリー(A.T. Perry)とジャックアリ・ロバーソン(Jaquarii Roberson)という1000ヤード超えレシーバーが存在しますが、それもこれもハートマンの球さばきがあればこその数字です。
試合の行方はピケットとハートマンのどちらが多く点を取れるかという単純明快な展開に懸かっているのではないでしょうか。ハイスコアゲームの予感がプンプンします。
カレッジフットボールにおいてプレーオフを経て全米王座を狙うのは究極の目標ですが、各チームが所属するカンファレンスのタイトルを獲得するのも大きな目標。そのタイトルゲームが盛り沢山な第14週目の主な見どころをご紹介します。
— Any Given Saturday (@ags_football1) December 3, 2021
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