第15週目レビュー

第15週目レビュー

2019年度シーズンもカンファレンスチャンピオンシップウィークを迎え、来週の伝統の一戦、陸軍士官学校(アーミー)vs海軍士官学校(ネイビー)の試合を残してレギュラーシーズンの全行程を終えることになります。

第15週目の金曜日と土曜日には各地のカンファレンスで頂上決戦が熱く繰り広げられました。そして特に「パワー5」カンファレンスと呼ばれる上位カンファレンス群ではカンファレンスタイトルの更に先にあるナショナルタイトルへの道、カレッジフットボールプレーオフ(CFP)への切符を手に入れるための負けられない戦いがあったのです。

その週末を終えいよいよプレーオフ進出を果たすことになるであろう4チームが見えてきましたが、まずは各地の試合を簡単に振り返りたいと思います。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

SEC優勝決定戦

ルイジアナ州立大37、ジョージア大10

全米2位のルイジアナ州立大と同4位のジョージア大との争いとなった今年のサウスイースタンカンファレンス(SEC)優勝決定戦。結果はルイジアナ州立大の圧勝で終わりました。

この試合は兎にも角にもLSUのQBジョー・バロウ(Joe Burrow)の神がかったプレーが冴えまくった試合でした。

パスの精度、ディフェンスを読む力、スクランブル能力、リーダーシップ・・・。何をとってもハイズマントロフィー最有力候補(というかもう当確?!)にふさわしい活躍で強力と言われるジョージア大ディフェンスを翻弄。特にこのプレーは思わず観戦中に「うわーっ」と叫んでしまいました(笑)

サイズも有り想像以上に走れるバロウ。アラバマ大を倒した時も彼の脚力が相当功を奏していましたが、ここまで来ると一体どうやって彼を止められるのか・・・。と思ってしまいます。

ジョージア大はLSUのRBクライド・エドワーズ・へレイヤー(Clyde Edwards-Helaire)を57ヤードに抑えるなどしある程度の威力を発揮しましたが、単純にバロウ一人にやられたと言っても過言ではないでしょう。349パスヤードに4パスTD(0INT)というバロウが残した数字からもそれが分かると思います。

オフェンスもQBジェイク・フローム(Jake Fromm)が2つのINTを犯せばRBデアンドレ・スウィフト(D’Andre Swift)はたったの13ランヤードに抑えられるなどLSUディフェンスに何もさせてもらえませんでした。またジョージア大は多くの選手が怪我でサイドライン送りに。アメフトの試合に怪我はつきものですが、次から次へとフィールドに倒れ込むジョージア大選手の姿を見ると同情すらしてしまいましたが、それを抜きにしてもLSUとジョージア大の力の差は歴然としていました。

ちなみにバロウはこの試合でSECの新記録となる1シーズン最多TD記録(45)を更新。名実ともにこの強豪カンファレンスの歴史に名を残す選手となりました。

これでルイジアナ州立大がプレーオフ進出を確実なものとし、一方のジョージア大はこの敗戦でトップ4から陥落。2年前にはナショナルタイトルゲームに進出しましたが、これで2年連続プレーオフ進出を逃すことになります。

またジョージア大の敗戦は5位以下のチームにプレーオフ進出の可能性が出ることを意味します。はたしてこの空いた椅子に座るのは・・・。


Big Ten優勝決定戦

オハイオ州立大34、ウィスコンシン大21

今年のBig Tenカンファレンス優勝決定戦はレギュラーシーズン中のリマッチ、全米1位のオハイオ州立大とウィスコンシン大の顔合わせとなりました。

試合の方は前半スロースタートなオハイオ州立大の隙をつきウィスコンシン大がリード。しかし後半オハイオ州立大が怒涛の反撃を見せて24連続得点をきめて、またディフェンスが後半ウィスコンシン大を無得点に抑えて見事逆転勝利を飾りBig Tenカンファレンスタイトル三連覇を果たしました。

ウィスコンシン大RBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)は前回オハイオ州立大ディフェンスに抑え込まれた汚名を晴らす148ランヤードを記録しましたが、後半ギアを上げてきたオハイオ州立大を前にそのパフォーマンスもウィスコンシン大に勝利を呼び込むには不十分でした。

今季オハイオ州立大は相手に僅差に持ち込まれる、あるいはリードを奪われるような展開の試合を経験してきませんでした。しかしそんないつもとは違う状況に置かれてもそのハードルを乗り越えてしっかりと勝利を掴めたことは今後プレーオフを勝ち抜く上でのいい経験になったのかもしれません。

QBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)は脚力をウィスコンシン大ディフェンスに抑え込まれ、またパスもいつもと比べるとシャープさに欠けていましたが、リードされて迎えた後半に3つのTDパスを決めるなどして大逆転勝利に大いに貢献しました。

またこの試合ではリードされながらハーフタイムに効果的な戦略の縦の直しをして逆転劇を演出したライアン・デイ(Ryan Day)監督の手腕も評価されるべきでしょう。前半のまま引き下がる彼らではないとは分かっては居ながらそれを現実のものに出来るのがデイ監督が本物のコーチである証拠です。

これでオハイオ州立大はBig Tenタイトルを引っさげて2014年以来の全米制覇にまた一歩前進しました。

ACC優勝決定戦

クレムソン大62、バージニア大17

全米3位のクレムソン大とバージニア大との対戦となった今年のACCタイトルゲーム。試合は予想通りクレムソン大が勝利を収めましたが、その点差からも分かるようにタイトルゲームに似つかわない一方的な試合になってしまいました。

試合開始直後は7対7とタイゲームでスタートしますが、ハーフタイムを迎えるまでにクレムソン大はそこから24連続得点とし31対7で前半を折り返します。すでにこの時点で試合は決まりかけていましたが、クレムソン大オフェンスはその攻撃の手を緩めず、結果的に45点差もついたスコアとなったのでした。

両チームの獲得ヤード数はクレムソン大が619ヤードに対してバージニア大が387ヤードと力の差は他の方面でも現れており、WRティー・ヒギンズ(Tee Higgins)がACCタイトルゲームの新記録となる3TDを含む182ヤードのパスレシーブヤードと大暴れ。RBトラヴィス・エティエン(Travis Etienne)も114ランヤードに1TDを勝利に花を添えました。

昨年完全無敗で全米制覇を成し遂げたクレムソン大はここまで実に28連勝中。最後に負けたのは2017年のCFP準決勝戦でのアラバマ大戦以来。ACCのレベルの低下がささやかれる中でクレムソン大の真価を疑う声も聞かれましたが、バージニア大が好敵手であったかどうかにかかわらず彼らが全米トップ4の一角を成すに値するチームだることは十分全米中に知れ渡りました。

Pac-12優勝決定戦

オレゴン大37、ユタ大15

先週唯一金曜日に行われたPac-12カンファレンス優勝決定戦。5位のユタ大がリーグタイトルだけでなくCFP進出をかけてこの試合に臨みましたが、逆にオレゴン大に勝利を奪われプレーオフ進出だけでなくローズボウル出場も逃すというダブルパンチを食らってしまいました。

試合は開始時からオレゴン大ペース。いきなり20連続得点を奪ったオレゴン大が一度もリードを許さずにPac-12王者に返り咲き。ユタ大自慢のランディフェンス(全米1位)に対しRBのC.J.ヴァーデル(C.J. Verdell)は208ヤードに3TDを記録。QBジャスティン・ハバート(Justin Herbert)はヴァーデルの活躍もあり193パスヤードに留まりましたが、大きなミスのない(0INT)パフォーマンスで勝利に貢献しました。

ユタ大はオレゴン大のスピードに攻守双方でついていけず、RBザック・モス(Zack Moss)が113ランヤードに57レシーブヤード(共にチーム最多)としますが、彼以外いいところがまったくなく悲願のプレーオフ進出をあともう少しというところで逃してしまいました。

Big 12優勝決定戦

オクラホマ大30、ベイラー大23(OT)

金曜日の時点でユタ大敗戦が分かっていたことでこのBig 12カンファレンス優勝決定戦の勝者にプレーオフ進出の可能性が増えたことで俄然注目が上がった試合はオーバータイムにもつれ込む大接戦に。それを制したのはオクラホマ大。見事にカンファレンスタイトル5連覇を成し遂げ3年連続となるCFP出場へ望みをつなぎました。

この日のオクラホマ大を牽引したのは言うまでもなくQBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)。ハイズマントロフィー候補選手でもあるハーツはこの試合で1つのパスINTとファンブルを1つ犯してしまいますが、その苦境を超えて決めるべきときにプレーを決めてベイラー大戦との僅差の試合を制しました。

数字上ではハーツはLSUのバロウ、オハイオ州立大のフィールズに並ぶ物を持っていますが(3634パスヤード、50トータルTD)、後半にかけて彼自身のプロダクションは低下。上に挙げた2人のQBと比べるとこれまで彼が犯した7回のパスINTと言うのは非常に目立ちます。

ただこの試合だけで見れば彼の後半の活躍は目をみはるものがあり、それがオーバータイムの末に勝ち逃げできた要因でもあります。しかしそれ以上にここぞというところで威力を見せたディフェンス陣に拍手を贈りたいところ。

ベイラー大オフェンスに何度も自陣に攻め込まれ僅差の展開に持ち込まれますが、オーバータイムでのフロントセブンの怒涛のブリッツがピンポイントで決まりそれが勝利の分かれ目となりましたから、ある意味オクラホマ大が勝てたのはやられても粘り続けたディフェンス陣のお手柄であったともいえます。

負けたベイラー大ですが決して棚ぼただけで全米7位まで上がってきたのではないところを十分見せつけてくれました。痛かったのは先発QBチャーリー・ブリューワー(Charlie Brewer)が脳震とうのために退場を余儀なくされ、彼の代わりに投入されたゲリー・ボハノン(Gerry Bohanon)はTDを奪うもそれ以降苦戦し、マット・ルール(Matt Rhule)監督は三番手のジェイコブ・ゼノ(Jacob Zeno)を投入せざるを得なかったこと。

ゼノは試合をOTに持ち込むFGをお膳立てするドライブを演出するなど予想以外の活躍を見せましたが、OTでオクラホマ大ディフェンスの怒涛のプレッシャーに遭い撃沈。1年生という経験不足にやられた感は否めませんでした。

当然敗戦は敗戦でしか無いのですが、それでもベイラー大が全米でトップクラスに属するチームであることは全米中に知らしめることが出来ましたし、そんなチームを数年で育て上げたルール監督の株を更に上げることにもなりました。

ジョージア大がルイジアナ州立大に負けたことにより、この試合の勝者であるオクラホマ大が結果的にプレーオフに進出することになるのですが、完璧なチームではないにしろ1敗を守ったBig 12カンファレンス王者としてプレーオフ進出するに値する結果を残したと言えそうです。

AAC優勝決定戦

メンフィス大34、シンシナティ大24

つい前週に戦ったばかりの両校が2週連続対戦するという珍しいケースとなったアメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)優勝決定戦。AACタイトルだけでなく「グループオブ5」出身チームとして「ニューイヤーズ6」ボウルへの出場権を得るために是非とも勝利を収めたかったこの試合ですが、その栄冠を手に入れたのは全米18位のメンフィス大でした。

試合は開始時にいきなりメンフィス大のクリス・クレイブルックス(Chris Brooks)が94ヤードのキックオフリターンTDを奪いメンフィス大ペースに。QBブレディ・ホワイト(Brady White)は2TDを含む233ヤードを記録して勝利に貢献。

シンシナティ大のQBベン・ブライアント(Ben Bryant)も229ヤードに1TDを記録しましたが、一方でパスINTを2つ犯してしまうなどしてここぞというところでチャンスを得点に結びつけることが出来ず、それが点差にも響いてしまいました。

この勝利で「グループオブ5」カンファレンス群出身チームでランク最高位に位置した(17位)メンフィス大が見事に「ニューイヤーズ6」ボウルの一つであるコットンボウルでBig Tenの雄・ペンシルバニア州立大と対決することが決定しました。

 

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