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「Tebow Time」 is Back?

「Tebow Time」 is Back?

フロリダ大QBで2007年のハイズマントロフィー受賞者でもあるティム・ティーボ(Tim Tebow)氏がNFLに復帰か・・・という報道がにわかに流れています。

もし私がカレッジフットボール界で最も好きな選手は誰かと尋ねられれば、ティーボ氏はその5本の指に入るほどお気に入りだった選手。でもちょっと今回の復帰劇には複雑な思いです・・・。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ティーボ氏のレジェンド

フロリダ大はアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督2年目の2006年度シーズンにBCSナショナルタイトルを獲得します。このときの先発QBはクリス・リーク(Chris Leak)氏でティーボ氏は彼のバックアップでしかありませんでした。しかしティーボ氏は高校時から5つ星リクルートとして注目を集めており、1年生のバックアップながら2006年にはティーボ氏の十八番とも言える「ジャンプパス」など彼専用プレーでチームに貢献しました。

2007年の2年生時には正QBとしてフル先発。しかも数々の金字塔を打ち立てる過去にないシーズンをおくりました。たとえば・・・

  • QBとして1試合最多ラッシュヤード(166ヤード)
  • 自身最多となる1試合最多ラッシュTD(5)
  • SECのシーズン最多ラッシュTD(20)
  • SECのシーズン最多トータルTD(55)

そしてこの年にカレッジフットボール界の最高栄誉と言われるハイズマントロフィーを受賞するのですが、当時2年生としてこの賞を受賞したのは長いハイズマンの歴史の中でティーボ氏が初めてのことでした。

2008年にはフロリダ大のレジェンドRBであるエミット・スミス(Emitt Smith)氏が保持していた最多ラッシュTDの大学記録(37)を抜き去り2年連続のハイズマントロフィー受賞に期待がかかりましたが、この年最も注目されたシーンは第4戦目となったミシシッピ大戦後のインタビュー。

当時全米4位だったフロリダ大はホームでミシシッピ大を迎え撃ったのですが、ここで30対31とまさかの敗戦。SECタイトルだけでなく全米タイトルを目指していたフロリダ大にとっては大打撃となったのです。

そしてその試合後。ティーボ氏は会見場にて後に伝説となるスピーチを残したのです。

I just want to say one thing to the fans and everybody in Gator Nation. I’m sorry. Extremely sorry. We were hoping for an undefeated season. That was my goal. It’s something Florida’s never done here. But I promise you one thing: a lot of good will come out of this.

You have never seen any player in the entire country play as hard as I will play the rest of this season, and you’ll never see someone push the rest of the team as hard as I will push everybody the rest of this season. You’ll never see a team play harder than we will the rest of the season. God bless.”

(すべてのフロリダ大ファンに伝えたいことがあります。申し訳ありません。本当に申し訳ありません。我々みな今シーズン完全無敗となることを望んでいました。それが私の目標でもありました。それはフロリダ大が今まで成し遂げたことがなかったことだからです。しかし私は一つ約束します。この敗戦から得るものがたくさんあるということを。

今後私は全米の他の誰よりもがむしゃらにプレーします。また私は全米の他の誰よりもチームの先頭に立って仲間を鼓舞し続けます。そして我々チームは他のどのチームよりも猪突猛進に試合に望みます。神の御加護あれ)*意訳

この敗戦後、チームはティーボ氏の言葉通り人が変わったように快進撃を続け、当時全米1位だったアラバマ大をSEC優勝決定戦で蹴散らし、BCSナショナルタイトルゲームではオクラホマ大を24対14で倒して見事2年ぶりの全米制覇を成し遂げたのです。

ティーボ氏はそのままNFLドラフトに早期入りすると思われていましたが、4年生シーズンもチームに残ることを明言してファンを大いに喜ばせました。このシーズンはシーズンの半分以上を全米1位チームとして過ごしましたが、SEC優勝決定戦でアラバマ大に雪辱を果たされてしまいます。この時人目をはばからず悔し涙を流していたティーボ氏のことは今でも覚えています。

4年間の大学キャリアでティーボ氏は5つのNCAAレコード、14つのSECレコード、そして28つものフロリダ大レコードを樹立。そのうちSEC新記録で主なものといえば・・・

  • パスエフィシェンシー(170.8ポイント)
  • パス成功率(67.1%)
  • パスTDとパスINTの比率(5.5対1)
  • QBとしてのランヤード(2947ヤード)
  • ランTD数(57)
  • トータルTD数(145)

フロリダ大のレジェンドとなっただけでなく、カレッジフットボール史に名を残す程のインパクトを残していったのでした。


NFL入りそして・・・


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大学時代に名を馳せたティーボ氏でしたがNFLドラフトに向けてプロのスカウトたちがティーボ氏を査定していく過程でプロレベルでのQBとしては荒削りすぎる面が露呈されていきました。特に取り上げられたのは彼のパスのメカニクス。大きな振りかぶりのせいで球離れが遅く、また彼の得意なランプレーもプロでは通用しないというのが大方の評価でした。

しかし2010年のドラフトでは総合ドライチのサム・ブラッドフォード(Sam Bradford、元オクラホマ大)氏に次ぐ2人目のQBとして第1巡目25番目にデンバーブロンコスに指名を受けたのです。

ただその年のブロンコスは絶不調。ティーボ氏をドラフトしたジョシュ・マクダニエルズ(Josh McDaniels、現ニューイングランドペイトリオッツOC)監督はシーズン途中で解雇され、ティーボ氏のポジションは微妙になってきました。そしてチームは翌年に往年のレジェンドであるジョン・エルウェイ(John Elway、元スタンフォード大)氏をGM兼球団副社長に据え、新監督にジョン・フォックス(John Fox)氏を迎えて心機一転を図り、ティーボ氏は構想外とまで言われるようになったのです。

しかし2011年度シーズン、先発QBカイル・オートン(Kyle Orton、元パデュー大)は開幕後1勝3敗と冴えず、いよいよチームは第5戦目にティーボ氏を先発に起用。この試合(サンディエゴチャージャーズ)は惜しくも敗れますが、翌週のマイアミドルフィンズ戦にOTの末勝利すると、最悪な立ち上がりでファンの肝を冷やすも後半にミラクルを起こすことで試合終盤にリードされた時間帯が「ティーボ・タイム」と呼ばれるようになり、その調子でティーボ氏率いるブロンコスはヒヤヒヤさせられながらも6連勝を飾ります。

レギュラーシーズンを8勝8敗で終えたブロンコスはAFC西地区で1位となり見事プレーオフに進出。そしてワイルドカードラウンドとなったピッツバーグスティーラーズ戦ではOTでの最初のプレーでティーボ氏からWRデマリウス・トーマス(Demaryius Thomas、元ジョージア工科大)氏への80ヤードの決勝TDパスが決まり、ブロンコスが見事2005年以来のプレーオフ勝利を飾ったのでした。

ただ、結果的にティーボ氏の活躍のピークはこの試合が最後に。翌週のAFC地区優勝戦ではニューイングランドペイトリオッツ相手にいいところなく45対10と大敗。2012年にはインディアナポリスコルツの名QBペイトン・マニング(Peyton Manning、元テネシー大)を獲得したためティーボ氏は完全に戦力外となりニューヨークジェッツにトレードに出されますが、以降目立った活躍はなく、その後ニューイングランドやフィラデルフィアイーグルスを渡り歩き2015年以降は実質引退状態となっていました。

野球界へ転向


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大学での輝かし活躍とは正反対にNFLでのキャリアが短命に終わってしまったティーボ氏はかつて高校までフットボールと兼業していた野球をもう一度極めたいと11年ぶりにグラブを手にすることになります。その知名度からニューヨークメッツがティーボ氏に興味を示し、教育リーグという底辺からのスタートを切ります。

ここからメジャーリーグを目指したティーボ氏は2018年にAAレベルにまで達し、打率が2割7分3厘、本塁打も6本とそれなりの数字を残して2019年にはとうとうメジャーの一歩手前であるAAAレベルに至りました。しかしここでティーボ氏は1割6分7厘と低迷。2020年は新型コロナのパンデミックの影響でリーグが開催されず、結局今年2月に野球界からも引退することを決意したのでした。

NFL復帰の噂


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野球界からの引退を発表してから約2ヶ月。世間はNFLドラフトに向けてボルテージが上がっていましたが、そんな折なんとティーボ氏がジャクソンビルジャガーズでTEとして調整を行っているという話題が飛び込んできます。

ジャクソンビルといえば今年からアーバン・マイヤー監督が現場復帰してNFL初挑戦することが決まっています。そしてマイヤー監督といえばティーボ氏の大学時代の恩師であり、ティーボ氏が卒業してからは親しい友人として固い絆で結ばれていることは周知の事実でした。そのマイヤー監督がティーボ氏をチームに招いてTEとしてティーボ氏を査定にかけているという情報が流れたのです。

そして5月10日。情報筋からの話によるとジャクソンビルは本気でティーボ氏をTEとして入団させようとしていることが明らかになるのです。(5月10日現在まだ正式な発表はありませんが)

ティーボ氏はもともとジャクソンビル市出身。地元出身選手として根強いファンの指示を得ているティーボ氏ですが、彼が最後に選手としてフィールドに立ったのが2013年。ニューイングランドでのプレシーズンゲームで試合に出て以来8年近くフットボールをプレーしていないのです。

ティーボ氏のNFL復帰には賛否両論です。

賛成する声はもともと存在した「ティーボ・マニア」の面々と地元のファンのものが大多数。未だに知名度の高いティーボ氏を地元ジャクソンビルで拝めるとなればファンたちは歓喜に包まれます。すでにNFLで結果を残せていないという事実があるにせよ、ティーボ氏が持つ独特のカリスマ性に惹かれる人はまだまだ多いのです。

しかしながら厳しい声も聞かれます。特に元選手らはティーボ氏並びにマイヤー監督の決断に否定的です。例えば・・・

  • QBとしてやっていけないとわかっていた10年前の時点でTEにコンバートの話が出ていたのに断固としてそれを固辞してQBにこだわっていたにもかかわらず、今になってコンバートするのかとか、
  • 8年間実戦を離れていた人物が33歳にもなって新しいポジションなど務まるのかとか、
  • 生活をかけてプロフットボール一筋で頑張っている選手たちに失礼だとか、
  • NFLでの挑戦は終わった、潔くそれを認め諦めて次の人生を歩むべきだとか、
  • 知名度があれば何をやってもいいのかとか・・・

また新体制で再建を目指しているはずのジャクソンビルですが、先日のドラフトで総合1番目にてQBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence、元クレムソン大)を獲得してフレッシュスタートを切ろうとしているのにも関わらず、ティーボ氏が入団となれば自ずとメディアの注目はティーボ氏に集まることになり、ローレンスを中心にチーム作りをするという盛り上がりに水を差してしまう可能性もあります。

それにメディアはすでにティーボ氏はTEとしてプレーなど出来ないという批判の声を上げており、実際本当にティーボ氏を招き入れてTEとして起用して失敗したとなれば「ほれ見たことか」と一斉に批判はマイヤー監督に集まることになります。1年目の監督として余計なストレスとなりかねません。

ティーボ氏をよく知るマイヤー監督はティーボ氏のリーダーシップが若い選手にとっていい影響を及ぼすだろうと踏んでいると言われていますが、現役時代に対した結果を残せずしかも8年間も実戦から離れている人物がどれだけのリーダーシップをロッカールームで発揮できるのか疑問です。何と言ってもティーボ氏が最後にNFLでプレーした時、ローレンスは中学校1年生だったのですから。

地元ジャクソンビルで絶対的な知名度を誇るティーボ氏がチームに加入すればジャージは飛ぶように売れるでしょうし、彼見たさにチケットを買い求めるファンも増えるに違いありません。それがオーナーであるシャヒド・カーン(Shahid Khan)氏の目論見なのかもしれません。

しかしながら選手としての不安要素が多すぎるTEとしてのティーボ氏の起用作戦と、彼がチームに加入することで起こりかねないチーム内のしこりなどを考えれば、果たしてティーボ氏を招き入れるというマイヤー監督の決断が正しいのか分かりません。もちろんティーボ氏がミラクルを起こしてくれる可能性は無いことはないでしょうし、私自身も実際そんなシーンを見てみたいですが、その可能性は高くないことは確かです。

この世論に負けてティーボ氏がNFL復帰を断念する可能性もあるでしょう。先にも述べたとおりかつてお気に入りの選手だったティーボ氏がNFL復帰すれば筆者も応援するに違いありませんが、一方で新体制となりNFL初挑戦となるマイヤー監督にとってはこれが命取りになる可能性もあるのではないかと思ってしまいます。

マイヤー氏とティーボ氏の関係が密接であるがゆえに可能性が生まれたこの噂話。もしそうでなければ誰も33歳で現場から長年退いているティーボ氏に触手を伸ばそうと考えるチームなどあろうはずがありません。できればその固い絆が仇とならなければよいのですが・・・。

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