今週末の2月13日、いよいよNFLの頂上決戦、スーパーボウルが行われます。今年のマッチアップはNFC覇者のロサンゼルスラムズとAFC覇者のシンシナティベンガルズとなりました。ラムズは1999年以来のスーパーボウル制覇(リーグ合併前を含めると4つ目)を目指し、ベンガルズとしては自身初のスーパーボウル制覇を狙います。予想外となったこのマッチアップに大きな注目が集まっています。
当サイトはカレッジフットボールサイトですのでNFLを中心とした情報を提供されているサイトには到底情報の質が劣りますが、今回はこのスーパーボウルをカレッジフットボールファンの目線から見ていきたいと思います。
ラムズロースター(出身校付き)
ロサンゼルズラムズ
12勝5敗(3勝3敗 NFC西地区)
オフェンス
QB
マシュー・スタフォード
Matthew Stafford
ジョージア大
2009年ドラフト第1巡目
RB
キャム・エイカーズ
Cam Akers
フロリダ州立大
2020年ドラフト第2巡目
RB
ソニー・ミシェル
Sony Michel
ジョージア大
2018年ドラフト第1巡目
WR
クーパー・カップ
Cooper Kupp
イースタンワシントン大
2017年ドラフト第3巡目
WR
オデル・ベッカム・Jr
Odell Beckham Jr.
ルイジアナ州立大
2017年ドラフト第3巡目
WR
ヴァン・ジェファーソン
Van Jefferson
フロリダ大
2020年ドラフト第2巡目
TE
タイラー・ヒグビー
Tyler Higbee
ウエスタンケンタッキー大
2017年ドラフト第4巡目
LT
アンドリュー・ウィットワース
Andrew Whitworth
ルイジアナ州立大
2006年ドラフト2巡目
LG
デヴィッド・エドワーズ
David Edwards
ウィスコンシン大
2019年ドラフト第5巡目
C
ブライアン・アレン
Ryan Jensen
ミシガン州立大
2018年ドラフト第4巡目
RG
オースティン・コルベット
Austin Corbett
ネバダ大
2018年ドラフト第2巡目
RT
ロブ・ヘイヴンスタイン
Rob Havenstein
ウィスコンシン大
2015年ドラフト第2巡目
ディフェンス
DL
エイショーン・ロビンソン
A'Shawn Robinson
アラバマ大
2016年ドラフト第2巡目
DL
グレッグ・ゲインズ
Greg Gaines
ワシントン大
2019年ドラフト第4巡目
DL
アーロン・ドナルド
Aaron Donald
ピッツバーグ大
2014年ドラフト第1巡目
LB
レナード・フロイド
Leonard Floyd
ジョージア大
2016年ドラフト第1巡目
LB
アーネスト・ジョーンズ
Ernest Jones
サウスカロライナ大
2021年ドラフト第3巡目
LB
トロイ・リーダー
Troy Reeder
デラウェア大
2019年ドラフト外FA
LB
ヴォン・ミラー
Von Miller
テキサスA&M大
2011年ドラフト第1巡目
CB
ダリウス・ウィリアムス
Carlton Davis
アラバマ大バーミンガム校
2018年ドラフト外FA
SS
ニック・スコット
Nick Scott
ペンシルバニア州立大
2020年ドラフト第2巡目
FS
テイラー・ラップ
Taylor Rapp
ワシントン大
2019年ドラフト第2巡目
CB
ジェイレン・ラムジー
Jalen Ramsey
フロリダ州立大
2016年ドラフト第2巡目
スペシャルチーム
PK
マット・ゲイ
Matt Gay
ユタ大
2019年ドラフト第5巡目
P
ジョン・ヘッカー
John Hekker
オレゴン州立大
2012年ドラフト外FA
PR/KR
ブランドン・パウウェル
Brandon Powell
フロリダ大
2018年ドラフト外FA
ベンガルズロースター(出身校付き)
シンシナティベンガルズ
10勝7敗(4勝2敗 AFC北地区)
オフェンス
QB
ジョー・バロウ
Joe Burrow
ルイジアナ州立大
2020年ドラフト第1巡目
RB
ジョー・ミクソン
Joe Mixon
オクラホマ大
2017年ドラフト第2巡目
WR
ジャマー・チェイス
Ja'Marr Chase
ルイジアナ州立大
2021年ドラフト第1巡目
WR
ティー・ヒギンズ
Tee Higgins
クレムソン大
2020年ドラフト第2巡目
WR
タイラー・ボイド
Tyler Boyd
ピッツバーグ大
2016年ドラフト第2巡目
TE
C.J. ウゾマ
C.J. Uzomah
アーバン大
2015年ドラフト第5巡目
LT
ジョナ・ウィリアムス
Jonah Williams
アラバマ大
2019年ドラフト第1巡目
LG
クイントン・スペイン
Quinton Spain
ウエストバージニア大
2015年ドラフト外FA
C
トレイ・ホプキンス
Trey Hopkins
テキサス大
2014年ドラフト外FA
RG
ジャクソン・カーマン
Jackson Carman
クレムソン大
2021年ドラフト第2巡目
RT
アイゼア・プリンス
Isaiah Prince
オハイオ州立大
2019年ドラフト第6巡目
ディフェンス
DL
サム・ハバード
Sam Hubbard
オハイオ州立大
2018年ドラフト第3巡目
DL
D.J.リーダー
D.J. Reader
クレムソン大
2016年ドラフト第5巡目
DL
B.J. ヒル
B.J. Hill
ノースカロライナ州立大
2018年ドラフト第3巡目
DL
トレイ・ヘンドリックソン
Trey Hendrickson
フロリダアトランティック大
2017年ドラフト第3巡目
LB
ローガン・ウィルソン
Logan Wilson
ワイオミング大
2020年ドラフト第3巡目
LB
ジャーメイン・プラット
Germain Pratt
ノースカロライナ州立大
2019年ドラフト3巡目
LB
マーカス・ベイリー
Markus Bailey
パデュー大
2020年ドラフト第7巡目
CB
イーライ・アップル
Eli Apple
オハイオ州立大
2016年ドラフト第1巡目
SS
ヴォン・ベル
Vonn Bell
オハイオ州立大
2016年ドラフト2巡目
FS
ジェシー・ベイツ・III
Jessie Bates III
ウェイクフォレスト大
2018年ドラフト第2巡目
CB
チドベ・アウズィエ
Chidobe Awuzie
コロラド大
2017年ドラフト第2巡目
スペシャルチーム
PK
イヴァン・マクファーソン
Evan McPherson
フロリダ大
2021年ドラフト第5巡目
P
ケヴィン・ハバー
Kevin Huber
シンシナティ大
2009年ドラフト第5巡目
PR
トレントン・アーウィン
Trenton Irwin
スタンフォード大
2021年ドラフト外FA
KR
クリス・イヴァンズ
Chris Evans
ミシガン大
2021年ドラフト第6巡目
出身チーム&カンファレンス
スーパーボウルに出場する両チームの先発選手の中でどの出身大学が一番多くの選手をこの大舞台に送り出しているかというと・・・。
ルイジアナ州立大 | 4人 | |
オハイオ州立大 | 4人 | |
ジョージア大 | 3人 | |
フロリダ大 | 3人 | |
クレムソン大 | 3人 | |
フロリダ州立大、ウィスコンシン大、 アラバマ大、ワシントン大、 ピッツバーグ大、ノースカロライナ州立大 | 2人 | |
その他 | 1人 |
上位5チームのうち4チームが近年カレッジフットボールプレーオフ(CFP)に進出しているわけですが(フロリダ大以外)これは決して偶然ではないと思います。カレッジ界で優勝争いをするような大御所にはプロ級の選手が多く在籍していることの現れであり、これはもっと言えばリクルーティング力が大きく影響していると思われます。
しかしながらそれとは別にイースタンワシントン大(クーパー・カップ)、デラウェア大(トロイ・リーダー)のようにフットボールチャンピオンシップサブディビジョン(FCS、旧NCAA1部AA)出身選手がスーパーボウルに出場しているのを見ると必ずしもプロ選手の原石がフットボールボウルサブディビジョン(FBS、旧NCAA1部A)だけに埋もれているというわけではないことも分かります。もっとも今年の出場チームの先発選手はFBS選手の比率が圧倒的に多いですが。
今度は先発選手の出身カンファレンスを見てみたいと思います。
サウスイースタンカンファレンス | 15人 | |
Big Tenカンファレンス | 12人 | |
アトランティックコーストカンファレンス | 10人 | |
Pac-12カンファレンス | 4人 | |
Big 12カンファレンス | 3人 | |
グループオブ5 | 6人 | |
FCS | 2人 |
サウスイースタンカンファレンス(SEC)、Big Tenカンファレンス、アトランティックコーストカンファレンス(ACC)所属チーム出身選手が目立ちますね。俗に言う「パワー5」カンファレンスの中でもこの3カンファレンスとPac-12カンファレンス、Big 12カンファレンスの差は明確であり彼らの元気の無さは最近のカレッジフットボール界の勢力図を反映しているようです。
また、ドラフトされた順番を見てみるのも一興です。
とかくドライチ選手が注目されるのが世の定めですが、そうでないアンダードッグたちがスターダムにのし上がるのを観るのはいつの時代も爽快なものです。
たとえば先発選手でいうと、ラムズには4人、ベンガルスには3人のドラフト外FA選手、つまりドラフトでどのチームからも声をかけてもらえなかった選手がいます。そんな選手でもスーパーボウル出場チームで先発を張れるわけです。
とは言うものの、やはり第1巡目で引っ張ってきた選手が重要なのも事実。というよりは、第1巡目で選んだ選手がその期待どおりの活躍をしたかどうか、そしてそのような選手を選ぶだけの眼力がスカウト陣やコーチ陣にあったのかどうかということが反映されていることが見て取れます。
先発ロースターだけで見れば、ラムズには5人のファーストラウンダー、ベンガルスには4人のファーストラウンダーが今もチームに残っています。そして合計9人のファーストラウンダー中7人は皆過去5年以内にドラフトされた選手。さらに即戦力とも言われる2巡目と3巡目を合わせれば合計で30人が過去5年間にドラフトされています。
どちらのチームも比較的若い選手が多いチーム、つまり代謝が進んでいるチーム同士の戦いと言えるのかもしれません。
若さだけで言うならばどちらもスキルポジションのリーグ在籍年数の少なさが際立っています。ラムズのQBマシュー・スタフォード(Matthew Stafford)以外は皆過去5〜6年以内にプロになった選手ばかり。これは彼らのような消耗の激しいポジションならではの現象なのでしょうか。
スタフォードvsバロウ
ところでそのスタフォードですが、彼は今季からラムズ入りしたベテランであり、御存知の通りそれまでは12年間デトロイトライオンズ一筋でした。2009年のドラフトでジョージア大から総合ドライチでライオンズに入団。しかしながら中々いいチームに恵まれず12年間でプレーオフに出場したのはたったの3度きり。しかし今回移籍したそのシーズンにチームをスーパーボウルへ導いたのですから、ライオンズの調子が悪かったのはスタフォードのせいだったわけではないと言えそうです。
そんなスタフォードはプロ生活13年目にして初のスーパーボウル出場を果たしたのですが、過去にスーパーボウルに出場した総合ドライチQBの中でスタフォードはドラフトされてからスーパーボウルに出場するまで最も時間がかかったQBなんだとか。
一方ベンガルズのQBジョー・バロウ(Joe Burrow)も自身初のスーパーボウル出場となります。それもそのはず、彼はプロ生活2年目なのですから。彼は昨年シーズン途中に膝の靭帯断裂という大怪我を負いましたが、その怪我から復帰してプロ入り2年目にして晴れの舞台に出場を果たしたのですから大したものです。
このバロウですが彼もスタフォードと同じ総合ドライチQB(2020年度ドラフト)。そして総合ドライチQBとしてスーパーボウルに出場したこれまでの選手の中でバロウは最も短期間でこの頂上決戦に駒を進めたQBということです。
スタフォードもバロウもスーパーボウル初出場の元総合ドライチQBですが、そこに至るまではスタフォードは13年、バロウは2年かかったということで彼らの歩んできた道は似て異なるものになっています。非常に興味深いですね。
#NFLSU
このバロウはルイジアナ州立大出身選手ですが、彼が率いた2019年度のチームはここ近年で見ても最強と言われたチームでした。このチームにはバロウの他に現在の彼のチームメイトでもあるWRジャマー・チェイス(Ja’Marr Chase)が居ましたね。
ところでこんなツイートを見つけました。
Will @JoeyB and @Real10jayy__ improve their playoff record to 6-0 this weekend? 💯🐅 pic.twitter.com/YDOzxm8Xlt
— FOX College Football (@CFBONFOX) February 8, 2022
チェイスが1年遅れで今年度ベンガルスに入ってきましたが、そこで彼はバロウと再会することになります。そして彼らがチームメイトだったルイジアナ州立大で2019年にカレッジフットボールプレーオフ(CFP)で2勝0敗。そして今年のNFLプレーオフでここまで3勝0敗ということで、彼ら二人が一緒にプレーしたプレーオフの試合では大学・プロ合わせて5勝無敗ということになります。そして当然彼らが目指すのは6勝目となるスーパーボウルでの大勝利ということになりますね。
またその他にもラムズのWRオデル・ベッカム・Jr(Odell Beckham Jr)やOLアンドリュー・ウィットワース(Andrew Whitworth)もルイジアナ州立大出身ということで彼らの強さが光ります。
どちらが勝つのか?
なかなかフレッシュな顔合わせとなった今年のスーパーボウル、一体どちらが勝つのでしょうか?
ラムズのショーン・マクヴェイ(Sean McVay)監督は若干36歳の新進気鋭のヘッドコーチ。一方のベンガルズのザック・テイラー(Zac Taylor)監督も38歳とこれまた若いコーチ。しかもテイラー監督はかつてマクヴェイ監督の下で働いていたことがあり、このスーパーボウルはいわば「師弟対決」とも言えます。
今回のスーパーボウルの会場はラムズの本拠地であるSoFiスタジアムということでいわばラムズのホームゲーム。これがホームチームのアドバンテージとなるといいのですが、一方で最安値のチケットが6000ドル(1ドル100円計算で約60万円)なんて数字も出ていますので、いくらホームゲームだからといってラムズのファンでもそう簡単に手が出るようなチケットではなさそうですが・・・。
どちらにしてもカレッジフットボールを専門に扱っている筆者にとってどちらが勝つかなんてことはわかりません(笑)。そういうのはNFLを専門に扱ってらっしゃるファンの方に任せて、こちらは当日のワクワク感を噛み締めながらぶっつけ本番で雰囲気含めて楽しもうと思います。いい試合になるといいなー。
【おまけ】
先日音声配信アプリである「スタンドFM」で小さなゲストを招いてスーパーボウルに出場する2チームの事を話しましたのでもしよろしければご試聴ください!
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今週末いよいよNFLの頂上決戦スーパーボウルが開催。今年はLAラムズとシンシナティベンガルズが激突。当サイトはカレッジフットボールサイトですのでNFLの情報の質は劣りますが、今回はこの試合をカレッジフットボールファンの目線から見ていきます。
— Any Given Saturday (@ags_football1) February 11, 2022
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