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第55回スーパーボウル!

第55回スーパーボウル!

今週末の2月7日、いよいよNFLの頂上決戦、スーパーボウルが行われます。今年のマッチアップは昨年のチャンピオンであるカンザスシティチーフスと2002年以来2度目のタイトルを目指すタンパベイバッカニアーズとなりました。チーフスのライジングサン、パトリック・マホームズ・II(Patrick Mahomes II)と史上最強のQBトム・ブレディ(Tom Brady)という新旧スターとの対決となったこの試合、見どころ満載です。

当サイトはカレッジフットボールサイトですのでNFLを中心とした情報を提供されているサイトには到底情報の質が劣りますが、今回はこのスーパーボウルをカレッジフットボールファンの目線から見ていきたいと思います。

予想先発ロースター(出身校付き)

ここ数年スーパーボウルに出場するチームのロースターをリスト化してきましたが、その度にスターターの出身校を見て興味深くなっています。これはスーパーボウルに出場するチームだけというわけではありませんが、大学での評価やドラフト時の選択順位が必ずしもプロでの活躍に直結するわけではないということです。

例えばカンザスシティでいえばWRタイリーク・ヒル(Tyreek Hill)。今でこそ彼はチーフスの主力選手として相手ディフェンダーの驚異となっていますが、彼は大学時代NCAA2部のウエストアラバマ大出身。普通にカレッジフットボールを見ていたらドラフトに至るまで彼の名前を聞いたことがある人は超少数だったことでしょうし、実際のドラフトでも第5巡目ということでしたからヒルがここまで活躍する選手になると一体誰が想像したでしょうか。

またDLタノウ・パスニョ(Tanoh Kpassagnon、ヴィラノヴァ大大)もFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)出身ですし、タンパベイにはLBアリ・マーペット(Ali Marpet、ホバートカレッジ/NCAA3部)、Cライアン・ジェンセン(Ryan Jensen、コロラド州立大プエブロ校/NCAA2部)、RGアーロン・スティニー(Aaron Stinnie、ジェームスマディソン大/FCS)とFBS(フットボールボウルサブディビジョン)より下部のグループに所属する大学出身選手が少なくありません。

NFLで活躍できるタレントなんぞどこに落ちているかわからないというわけです。

そしてその最たる例といえるのがタンパベイのQBトム・プレディです。ミシガン大という名門出身ながら肩がめちゃくちゃ強いというわけでもなく、足が特別速いというわけでもなく、ヒョロヒョロだった彼は2000年のドラフトで第6巡目にてニューイングランドペイトリオッツに入団。

しかしそんな彼は周囲の予想を裏切る大活躍。これまで合計6度のスーパーボウル優勝を果たし今回で7度目の栄冠を目指します。

何よりも今回でスーパーボウル出場が10度目というとんでもない偉業を成し遂げ、今年43歳にも関わらずいまだ最前線に立ち続けています。第6巡目の選手としては破格の活躍です。

またFBSでも特にレベルが上とされる「パワー5」カンファレンス群出身とそれ以外の「グループオブ5」カンファレンス群出身選手を見ても面白いです。

カレッジフットボール界ではとかく「パワー5」カンファレンス(ACC、Big Ten、Big 12、Pac-12、SEC)が注目を浴びがちです。しかし今回スーパーボウルに出場する両チームの先発ロースターをみると、「グループオブ5」出身の選手がかなりいることに驚かされます。特にOL陣ですが、カンザスシティとタンパベイでそれぞれ「パワー5」出身選手は5人中2人しかいません。

ただディフェンス陣に目を向けると「パワー5」出身が顕著になり、両チーム合わせて22人中16人ものプレーヤーが「パワー5」でかつて名を馳せた選手たちでした。このオフェンスとディフェンスでの違いは興味深いですね。


出身チーム&カンファレンス

スーパーボウルに出場する両チーム合わせてどの出身大学が一番多くの選手をこの大舞台に送り出しているかというと・・・

ルイジアナ州立大が最多の6人、つづいてミシガン大クレムソン大アイオワがそれぞれ4人ずつ、セントラルミシガン大ミネソタ大ミシシッピ州立大ネブラスカ大ペンシルバニア州立大テキサスA&M大がそれぞれ3人ずつという内訳になっています。

そして前述の通り中には「パワー5」の大御所チームだけでなく中堅からFCS、ディビジョン2部3部のチームも垣間見ることが出来、「パワー5」勢出身ということがプロで活躍する必須事項ではないことが浮かび上がってきます。

またカンファレンス別に見ると・・・。

  • SEC:23人
  • Big Ten:19人
  • ACC:9人
  • Big 12:6人
  • Pac-12:6人
  • MAC:6人
  • カンファレンスUSA:6人
  • その他:40人

サウスイースタンカンファレンス(SEC)とBig Tenカンファレンスがダントツです。興味深いのは昨年度の覇者であり数多くの卒業生をプロの世界へ送り出してきたアラバマ大出身選手が皆無であるということです。それにも関わらずSECが最多選手をスーパーボウルに輩出しているという事実からもSECの層の厚さを実感できます。

ドラフト順位は・・・

ドラフトされた順番を見てみるのも一興です。

とかくドライチ選手が注目されるのが世の定めですが、そうでないアンダードッグたちがスターダムにのし上がるのを観るのはいつの時代も爽快なものです。

たとえば先発選手でいうと、カンザスシティには4人、タンパベイには3人のドラフト外FA選手、つまりドラフトでどのチームからも声をかけてもらえなかった選手がいます。そんな選手でもスーパーボウル出場チームで先発を張れるわけです。

とは言うものの、やはり第1巡目で引っ張ってきた選手が重要なのも事実。というよりは、第1巡目で選んだ選手がその期待どおりの活躍をしたかどうか、そしてそのような選手を選ぶだけの眼力がスカウト陣やコーチ陣にあったのかどうかということが反映されていることが見て取れます。

先発ロースターだけで見れば、カンザスシティには3人のファーストラウンダー、タンパベイには7人のファーストラウンダーが今もチームに残っています。特にタンパベイの7人中4人は皆過去5年以内にドラフトされた選手。鳴かず飛ばずだったタンパベイにようやくタレントが集まりだし、QBブレディを獲得してここまで成長したのは今年2年目のブルース・アリアンズ(Bruce Arians)監督とジェネラルマネージャー(GM)のジェイソン・ライト(Jason Licht)氏の手腕の賜物といったところでしょうか。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

また今年のカンザスシティはQBパトリック・マホームズ(Patrick Hahomes、元テキサス工科大)の神がかったパフォーマンスに率いられてきたという印象が強いですが(というかそれは事実)、選手たちのルーツをみると結構「シブい」顔ぶればかりなのがわかります。

先にも述べたように1巡目選手はマホームズ、RBクライド・エドワーズ・へレイヤー(Clyde Edwards-Helaire、元ルイジアナ州立大)、WRサミー・ワトキンス(Sammy Watkins、元クレムソン大)という3人しかいません。その他には4巡目以降の選手が半分を占める(22人中11人)という感じで彼らは大学時代から華があった選手、という訳ではなかったのです。

(元々の先発LTエリック・フィッシャーセントラルミシガン大出身の第1巡目選手ですが、先のAFCチャンピオンシップでアキレス腱を断裂してしまい残念ながら戦線離脱しています)

プロチームからドラフトされるからにはどの選手もトップクラスの能力を持っているわけですが、やはり1〜3巡目に選ばれる選手には当然ながら相当の期待が寄せられるわけです。その期待された能力が本物でありプロで開花するかどうかはまた別の話ですが、一方でそうでない選手たちでもコーチが持ち込むシステムに合うか合わないかで潜在能力が引き出される可能性も変わるわけです。

もちろん選手本人の弛まぬ努力もありますが、カンザスシティがここまで実力を挙げてきたのはやはり名将アンディ・リード(Andy Reid)監督の手腕によるところが大きいでしょうね。

特に2017年度のドラフトでマホームスを選択したこと、そして彼をフランチャイズQBとするために元総合ドライチQBで2017年に自身最高のシーズンを終えたばかりのアレックス・スミス(Alex Smith、元ユタ大)をトレードに出したこと。この決断が現在功を奏していることを考えればこれは敢行したリード監督ら上層部にとっては大英断だったと言えます。

正直筆者は当時の大学時代のマホームズの活躍を見てもまさか1巡目の選手だとは思いませんでしたし、スミスを手放してまでチームを託すほどの能力がマホームズにあるとは考えもつかなかったのですが、やはりプロは目のつけどころが違うんですね(←当たり前)。

エドワーズ・へレイヤー vs フォーネット

カンザスシティのRBは新人のクライド・エドワーズ・へレイヤー、一方のタンパベイは今年プロ4年目のレナード・フォーネット(Leonard Fournette)が先発予定。この二人、出身は同じルイジアナ州立大で同時期にチームメートだった期間がありました。

大学でのエドワーズ・へレイヤーのブレークアウトシーズンは3年生だった2019年度シーズン。チームとして近年稀に見る完成度を見せたルイジアナ州立大の先発RBとして活躍した彼は15勝0敗の完全シーズン達成に大いに貢献。そのまま2020年度のNFLドラフトでは第1巡目でカンザスシティに指名されました。

大学時代で印象に残っているのはアラバマ大との試合。「The Game of The Century II」とも呼ばれたこの試合でエドワーズ・へレイヤーは103ヤードに3TDと活躍し対アラバマ大戦連敗記録を11で止めるのに貢献しました。

今ではルーキーながらスーパーボウルチームの先発を張るほどの選手にまで台頭しているのですから立派なものです。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

一方のフォーネットの大学でのピークは2年生だった2015年度シーズン。そのサイズとポテンシャルからエイドリアン・ピーターソン(Adrian Peterson、元オクラホマ大)の再来とも謳われた逸材でした。

開幕から飛ばし2014年度シーズンから数えて9試合連続の3桁ラッシュヤードを達成。この頃までにはハイズマントロフィーレースの最有力候補に挙げられる程になっていました。ただアラバマ大戦では当時全米トップクラスのランディフェンスを誇る相手に31ヤードと沈黙。しかしそれでもシーズンが終わる頃にはスクールレコードとなる1953ヤードに22TDを記録しその名を轟かせました。

参考記事Statement Saturday 〜2015年度第10週目レビュー〜

2016年度は怪我に泣かされ本領発揮といきませんでしたが、翌年の2017年ドラフトでは第1巡目(総合4番目)にジャクソンビルジャガーズに入団。ルーキーシーズンにはいきなり1000ヤード超えを達成し翌年の2018年度には怪我で失速するも2019年度は再び1000ヤード超えを成し遂げてまずまずの数字は残しました。

しかしながら態度の悪さ、チームメートとの喧嘩騒動などフィールド外で度々問題を起こす素行の悪さが祟り2020年夏にフォーネットはチームから放出されてしまいます。ジャクソンビルとしては第1巡目の貴重な戦力をたったの3年で手放したことになり、彼と同じ時期にドラフト候補に挙がっていたカンザスシティのマホームズやヒューストンテキサンズのQBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson、元クレムソン大)の今の活躍を見れば当時のジャクソンビルのピックは失敗だったと言わざるを得ません。

しかし露頭に迷ったフォーネットに手を差し伸べたのがタンパベイ。当初彼は元来先発だったロナルド・ジョーンズ・II(Ronald Jones II、元サザンカリフォルニア大)のバックアップを勤めていましたが、ジョーンズが終盤怪我を負って戦線を離れるとその穴を埋めるに十分な働きを見せ、特にプレーオフでは3試合でトータルオフェンス313ヤード(3TD)とラッシャー並びにレシーバーとして勝利に貢献。

またブレディが加入したことでチームの士気が上がる中、少々天狗になり過ぎていたフォーネットはバイプレーヤーに徹しセカンドチャンスをものにしています。今後のことを考えるとフォーネットがジャクソンビルを追われタンパベイにたどり着いたことは逆に良かったのかもしれません。

そんな大学時代の先輩後輩ながら異なった道を歩みこのスーパーボウルで対決することになったエドワーズ・ヘレイヤーとフォーネット。そのフォーネットは今年ルーキーの後輩であるエドワーズ・ヘレイヤーを大学時代を回想してこれまでの活躍に賛辞を送っています。

参考記事Statement Saturday〜2015年度第10週目レビュー〜

元ルイジアナ州立大の先輩後輩同士の走り合いにも注目してみたいと思います。

ジャーニーマン

先程ご紹介したカンザスシティのエリック・フィッシャーの代わりにLTを任されたのはこれまでRTをプレーしてきたマイク・レマーズ(Mike Remmers、元オレゴン州立大)、新たなRTにはRGのアンドリュー・ワイリー(Andrew Wylie、元イースタンミシガン大)、そしてRGには元ペンシルバニア州立大のステフェン・ウィズニュースキー(Stefen Wizniewski)が急遽スターターに抜擢されました。

ウィズニュースキーは大学時代センターをプレー。2010年にはオールアメリカンに選出されるなどし、2011年にドラフト入りした際にはセンター選手として大いに注目を浴びました。そのドラフトでは2巡目という早い段階でオークランド(当時)レイダースに指名されました。

レイダースではセンターだけでなくタックルとしてもプレー。ルーキーとして先発出場するなどして華々しくプロデビューを果たしました。2015年にはジャクソンビルジャガーズに移籍して1年間センターとして先発出場すると2016年にはフィラデルフィアイーグルスに入団。2017年度にはチームは第52回スーパーボウルに出場しニューイングランドペイトリオッツを倒して自身初のスーパーボウルリングを獲得しました。

さらに2019年にはカンザスシティに移籍。この時は先発要員ではありませんでしたが、チームは快進撃を続けて第54回スーパーボウルに駒を進めここでサンフランシスコ49ersを下し優勝。ウィズニュースキーは2度目のスーパーボウルリングを手にします。

そして昨年には出身地であるペンシルバニア州ピッツバーグ市を拠点とするピッツバーグスティーラーズと契約。しかし出場したニューヨークジャイアンツとの今シーズン開幕戦で負傷欠場。そして11月にはロースター再編の煽りをうけてチームから放出されてしまいます。

しかしその彼を拾ったのがかつて彼が所属したカンザスシティ。プラクティス(練習)要員として契約を結ぶも12月終盤にはアクティブロースター入りを果たします。そして今回フィッシャーの怪我の影響でウィズニュースキーにスーパーボウルで先発出場するチャンスが巡ってきたのです。

もしこの第55回スーパーボウルでカンザスシティが勝てばウィズニュースキーにとっては3つ目のリング獲得となります。それを先発選手として手に入れることができれば嬉しさは格別なものになるでしょうね。

ちなみに・・・

選手たちに出身校があれば当然ながらコーチたちにも出身校あり・・・。

そこでこんなツイートを紹介します。

口ひげからも面影はバッチリですね(笑)。

カンザスシティのリード監督はブリガムヤング大出身。OL選手として同大学のレジェンドであるQBジム・マクマホン(Jim McMahon)氏とともに1978年から1980年までプレー。卒業後は9年間カレッジでコーチとしての腕を磨いた後に1992年からNFL入り。1999年にフィラデルフィアイーグルスの監督に就任すると14年間在任し130勝93敗1分けという数字を残し2004年度にはスーパーボウルに出場(ニューイングランドに敗退)。カンザスシティでの8年を合わせた22年の監督任期でプレーオフに進出したのが実に16回というレジェンド級の結果を残しています。

そして昨年はサンフランシスコ49ersをスーパーボウルで破り50年ぶりの栄冠をカンザスシティに持ち帰りました。ある時は緻密に、またあるときは大胆に攻めるリード監督はベテランながら脂が乗りまくっている監督だと言えます。

写真のポージングに時代を感じますね。

エリアンズ監督はバージニア工科大出身。現在の体型からリード監督と同じOL選手だったと思いきや実は現役時代はQBとしてプレー。QBとしてのランTD数(11)は2016年にジャロッド・イヴァンズ(Jarod Evans)に塗り替えられるまでスクールレコードでした。

そしてアリアンズ監督はかつてカレッジレベルでもコーチの経験があり、1981年と1982年にはアラバマ大でRBコーチを務めたのですが、この時のアラバマ大の監督はかのレジェンド、ポール・ベアー・ブライアント(Paul “Bear” Bryant)でした。アリアンズ監督はあの伝説のブライアント監督に従えた事がある人物だったんですね。

どっちが勝つのか?

ディフェンディングチャンピオンのカンザスシティは今最も熱く今後のNFL界を背負って立つマホームズを擁し、またそのサポート役であるWRヒルやTEケルシーなど駒は揃っており破壊力は抜群。どんな状況でもその能力で切り抜けてしまうマホームズを攻略するのは至難の業でしょうね。

一方タンパベイは「GOAT」の呼び声高いブレディが加入して手探り状態だった序盤から徐々にオフェンスがハマりだし、しかも途中からアントニオ・ブラウン(Antonio Brown、元セントラルミシガン大)が加入したことで武器が増えました。

ニューイングランドペイトリオッツで後にも先にもない成功を収めたブレディは今年で43歳ですが、INT数がちょっと多め(15)ながらその他の数字は過去と遜色ないものに落ち着いており、この大舞台に10回目の降臨という経験値は何物にも代え難いものです。

ロースター的にはカンザスシティがどうやら手薄のようで、OLフィッシャーの欠場で前述の通りOL陣は色々なパターンを模索しているようです。また一方のタンパベイはこの大舞台に調子を合わせるように怪我人たちが回復してきており、この面がどう試合に影響するかも見ものです。

そしてこの試合はご存知かと思いますが長いスーパーボウル史上初となる、ホスト地(タンパベイ)のフランチャイズが出場する試合。つまりタンパベイにとってはホームゲームなわけです(観客動員数は新型コロナの影響で制限されますが)。

しかしやはり最大の見所はマホームズとブレディの新旧QB対決となるのではないでしょうか。マホームズがブレディに引導を渡すのか、はたまたブレディがベテランの意地を見せ7度目のタイトルを獲得するのか。

どちらに転んでも見どころ盛り沢山な第55回スーパーボウル。日曜日(日本時間では月曜日朝)が待ちきれませんね。

 
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