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OBJ、母校に2年間出入り禁止へ

OBJ、母校に2年間出入り禁止へ

今シーズン、ディフェンディングチャンピオンであるにも関わらず既に2敗を喫して全米ランキング外へ転落したままのルイジアナ州立大。前年度覇者が翌年にここまでスランプに陥るのは1997年に優勝し1998年に開幕2連敗したミシガン大以来と言われています。その1998年度のミシガン大はその後立て直し10勝3敗でファイナルランキング12位まで何とか復活しましたが、今年のルイジアナ州立大は戦力的に見てさらに黒星を重ねてしまう可能性が非常に高く、ディフェンディングチャンピオンとしては近年稀に見る戦力の低下が顕著なのです。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

それは同時にいかに昨年のチームが数十年に一度といっても過言ではないくらいの完璧なチームだったかを物語っています。もちろん昨年の時点で就任4年目だったエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督の育て上げたチームだったことは当然なのですが、攻守に渡り逸材がゴロゴロしており、その筆頭としてはハイズマントロフィーを獲得してドラフトでは総合ドライチでシンシナティベンガルズに指名されたQBジョー・バロウ(Joe Burrow)、LBケイラヴォン・チェイソン(K’Lavon Chaisson、現ジャクソンビルジャガーズ)、WRジャスティン・ジェファーソン(Justin Jefferson、現ミネソタヴァイキングス)、LBパトリック・クイーン(Patrick Queen、現ボルティモアレイヴンズ)、RBクライド・エドワーズ・へレイヤー(Clyde Edwards Helaire、現カンザスシティチーフス)と実に5人の選手が第1巡目に選出されていきました。そしてトータルで見ると・・・

なんとその数14人!つまり2019年度のルイジアナ州立大にはプロでやっていけると判断された選手が14人もチームにいたということになります。あれだけの強さがあったことにもうなずけるというものです。

そんな史上稀に見る強さを見せて昨年度のカレッジフットボール界を駆け抜けていったルイジアナ州立大ですが、そのナショナルチャンピオンシップゲームではクレムソン大と対決。現在のところ来年のドラフトで総合ドライチとなる可能性が高いQBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)を擁したクレムソン大でしたが、彼らですらルイジアナ州立大には刃が立たず敗退。2007年以来の美酒に酔いしれたのでした。

12年ぶりの快挙に多くのルイジアナ州立大OBやファンが喜びを爆発させたのですが、当日フィールドレベルで観戦していたVIPの中に現クリーブランドブラウンズのWRオデム・ベッカム・JR(Odem Beckham Jr.=OBJ)の姿がありました。

OBJは2011年から2013年までの3年間をルイジアナ州立大で過ごし、2014年のNFLドラフトでは第1巡目12番目という高順位でニューヨークジャイアンツにドラフトされます。その2014年度シーズンにはルーキーながら1305ヤードに12TDという数字を残して最優秀新人賞を獲得。2017年度に怪我で出場機会が減るもそれ以外の4年間は全て1000レシーブヤード超え。2019年には現チームのブラウンズへ移籍しチームのオフェンスの中心人物として存在しています。

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2013年度のLSU時代のOBJ

彼のフィールド上での活躍は多くを語るまでもないのですが、それと同時に彼はやんちゃ坊主としてもよく知られています。フラストレーションが溜まればその感情を隠すことなく表現し、その結果試合中でもサイドラインで一悶着起こしているシーンを見ることが良くありました。典型的なルイジアナ州立大出身選手とでも言えましょうか(笑)。

そんなOBJですが、母校の晴れ舞台にも卒業生のセレブリティーとして参戦。間近で後輩たちの偉業を目の当たりにしたのですが、ここでも彼はやんちゃ坊主ぶりを発揮。

というのも試合後のセレブレーションの中で彼は選手たちを捕まえて激励しながらなんと現金を掴ませたのです。

このシーンはバッチリテレビでも映されており、「いまのは本当のキャッシュだったのか」という疑惑が生まれました。当然アマチュア選手であるルイジアナ州立大の選手が現金を受け取っていいはずがないのですが、当初大学側はあれはフェイクの紙幣だったと発表するも、実際そこにいたQBバロウが「あれは本物だった」と暴露。すると大学側はその釈明に追われるなどしOBJの悪行に振り回されたのです。

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試合後のOBJとジョー・バロウ

しかもOBJはその後チームのロッカールーム内で警備員のケツを引っ叩くという暴れん坊ぶり。これにはスタジアム側並びに試合会場となったスーパードームのあるニューオーリンズ氏も激怒。OBJに逮捕状を突きつけるなど一触即発の自体に陥っていたのです。

OBJが現金を後輩たちに配ったことにNCAA(全米大学体育協会)が黙っているはずがなく、調査の結果如何ではルイジアナ州立大にペナルティーを課す事も囁かれていました。そしてあれから9ヶ月、NCAAからは何もまだ判決は下されていないもののルイジアナ州立大が自ら制裁を下すことを発表。

まずは今後2年間のスポーツ奨学金(スカラシップ)授与選手の数を8人削減することとリクルーティングにおいて高校生にコンタクトを取ることの出来る機会を削減。

そして制裁の手はこの騒動を起こしたOBJにも及び、チームはOBJを今後2年間ルイジアナ州立大施設から締め出すというものでした。

この判断が下ったのはおそらく自制することでNCAAから恩赦を引き出そうとしているからだと思われます。これ以上の制裁(例えば制裁金だとか、ボウルゲーム参加禁止だとか、さらなるスポーツ奨学金の削減だとか)をNCAAから食らう前に、自ら反省の念を示そうとし同情を買おうとしたというわけです。

リクルーティング(高校生をチームに勧誘する一連の行動)は大学チーム育成において非常に大きい割合を占めています。特にゲームのスピードがどんどん上がる近代フットボールでは、選手の伸びしろの大きさよりも元々持っているタレントの質の高さのほうが重要視されています。ルイジアナ州立大が昨年あれ程の選手を保有していたのもリクルーティグの賜物と言えますが、今回の自主制裁のせいでそのリクルーティングに大なり小なり影響が出るのは必至。

つまりOBJの行き過ぎた悪戯は母校の今後に悪影響を及ぼすという結果になったわけです。

やんちゃ坊主の悪戯で終わらせるにはちょっとイタすぎます。OBJは自身のネガティブイメージの歴史にまた汚点を残してしまいました。

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