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BigTenコミッショナーのワレン氏がシカゴベアーズへ【オフシーズン便り#03】

BigTenコミッショナーのワレン氏がシカゴベアーズへ【オフシーズン便り#03】

NCAA(全米大学体育協会)の1部の上位カンファレンス群であるフットボールボウルサブディビジョン(FBS)の中でもさらに最上位とされる5つのカンファレンスを「パワー5」カンファレンスと呼びます。その中でもトップレベルにあると言われるのが主に五大湖周辺に所属チームを抱えるBig Tenカンファレンスです。

そのメガカンファレンスを一手に引き受けるのがコミッショナーのケヴィン・ワレン(Kevin Warren)氏ですが、このワレン氏が来季からNFLシカゴベアーズのプレジデント兼CEOに就任することになりました。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

Big Tenカンファレンスはミシガン大オハイオ州立大といった、カレッジフットボール界を代表するカンファレンス。そのカンファレンスを強くし続けるのがコミッショナーの責務となります。

かつて1989年から2019年までの30年間このカンファレンスをコミッショナーとして率いていたのがジム・デレイニー(Jim Delany)氏。彼がこれまで成し遂げてきた偉業の中には、長いこと10チーム編成だった同カンファレンスに1990年に11つ目のメンバーとなるペンシルバニア州立大を誘致することに成功したことや、それに続きネブラスカ大メリーランド大ラトガース大を引き入れることにも成功。また同カンファレンス専門のメディアネットワークであるBig Tenネットワークの設立、さらにはカレッジ界で初めてとなるリプレーシステムの導入など、Big Tenカンファレンスの確固たるポジションを築いてきた功労者でした。

その強権を振るう姿勢に批判がなかったわけではありませんが、台頭するSEC(サウスイースタンカンファレンス)に負けないために強いBig Tenを守り続けてきたデレイニー氏の功績は大いに評価されています。

そのデレイニー氏がコミッショナーの座から退いた後に就任したのがワレン氏でした。

ワレン氏はノートルダム大で司法を学び弁護士となります。その後1997年からセントルイス(現在のLA)ラムス付きの弁護士となりNFL入りを果たし、2001年からはデトロイトライオンズでフロントオフィス入り。そして2005年からはミネソタヴァイキングスのリーガルチームの長となり、さらに2007年にはNFLのコミッショナーであるロジャー・グッデル(Roger Goodell)氏から直々に緊急時のマニュアル制作を任されるまでに至ります。

2015年にはワレン氏はヴァイキングスのCOO(執行最高責任者)に昇格。リーガルチームからチームの運営に関わるポジションまで駆け上がるという、成功の道を歩み続けました。

そんなワレン氏に白羽の矢を立てたのがBig Tenカンファレンスだったわけです。

Big Tenカンファレンスの6代目のコミッショナーとなったワレン氏でしたが、就任して1年も経たずに正念場を迎えることになります。それが新型コロナウィルスの世界的パンデミックでした。

2020年の3月に本格的にアメリカに上陸した新型コロナウィルスの脅威は瞬く間に全米中に広がり、全米大学男子/女子バスケットボールの全米トーナメント「マーチマッドネス」が中止に追い込まれるなど、カレッジスポーツ界も未だかつてない事態に追い込まれていきます。

カレッジフットボールも春季トレーニングが中止。選手たちも実家に送り返されるなどして来る2020年度シーズンが果たして開催されるのかどうかも分からない時間が過ぎていきました。そんな中まだまだ感染者数が減らない中で開幕に向けて前向きに検討するカンファレンスと事態を見守る姿勢を示すカンファレンスにカレッジスポーツ界は分かれていきます。

そして「グループオブ5」のカンファレンスUSAサンベルトカンファレンスが開幕を強行することを決断。程なくしてACC(アトランティックコーストカンファレンス)とBig 12カンファレンスも第1週目から開幕。そしてSEC(サウスイースタンカンファレンス)も10試合に短縮したスケジュールで開幕に漕ぎ着けていました。

しかしながらBig TenカンファレンスとPac-12カンファレンスは新型コロナウィルスが人体に及ぼす長期的な影響を危惧してなかなか開幕するまで踏ん切りがつかない状態が続きます。が、学生アスリートだけでなく彼らの家族、そしてファンたちは、他のカンファレンスがシーズン開幕を迎える中どうして自分たちだけそれが出来ないのかというフラストレーションを、Big Tenの場合はその長であるワレン氏にぶつけるわけです。

結局Big Tenは10月第3週目にようやく開幕。Pac-12はさらに11月に開幕と周囲にかなりの遅れをとる感じでカレッジフットボールシーズン開幕を決断。Big Tenは最大8試合シーズン、Pac-12は最大7試合(レギュラーシーズン)という変則スケジュールながらなんとか選手たちはシーズンを送ることができました。

しかしこの時の決断力の遅さにBig Tenカンファレンス界隈ではワレン氏への不満が爆発。彼への評価はガタ落ちしてしまいます。(開幕したことが正しかったかどうかなどは後々にならないと分からないとは思いますが)

Big Tenカンファレンスのコミッショナーとしては初の黒人として就任し、昨年はPac-12カンファレンスの名門であるサザンカリフォルニア大UCLAを2024年からBig Tenカンファレンスへ誘致することに成功したり、CBS、FOX、NBCとの7年間の巨額のメディア契約を締結するなど大きな仕事も成し遂げてきましたが、やはり前述のパンデミックの時の一悶着の印象が強く残ってしまった人物といえます。

関連記事Pac-12のUSCとUCLAがBig Tenへ

もともとNFL畑を歩いてきたこともあり、今回のベアーズ入りはそこまで驚きはしませんが、デレイニー氏が30年間もトップに座っていたのに対してワレン氏はたった3年ばかりの就任期間だったこともあり、Big Tenカンファレンスの歴史にそこまでの存在感を残すまでには至りませんでした。

すでにワレン氏はベアーズに移ってしまったため現在Big Tenカンファレンスのコミッショナーは不在となっていますが、NCAA1部において最古のカンファレンスというBig Tenカンファレンスを誰が率いるのかは気になるところです。

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