NCAA(全米大学体育協会)1部の上位サブディビジョンであるFBS(フットボールボウルサブディビジョン)の中でもさらに最上位のカンファレンス群と称される「パワー5」勢の一員であるアトランティックカンファレンス(ACC)。ここにはクレムソン大、マイアミ大、フロリダ州立大、ノースカロライナ大などが所属していますが、このACCがカンファレンス内の構造改革に乗り出して入るようです。
米大手スポーツ専門局「ESPN」の報道によると、ACCのコミッショナーであるジム・フィリップス氏および所属大学の体育局長(AD)らが先日会合し、将来のカンファレンスゲームのスケジューリングに関して新たな案を協議したことが明らかになりました。
これによると各所属チームは3つの固定された相手の他に、他の10チームの中からレギュラーシーズンで残りの5試合の相手をローテーションで2年ごとに決めていくというものだそうです。
そしてこのことにより現在敷かれている2地区制度も廃止されるのではないかと言われています。
現在ACCは大西洋地区(アトランティック地区)と海岸地区(コースタル地区)に分かれています。その内訳は以下の通りです。
大西洋地区
ボストンカレッジ
クレムソン大
フロリダ州立大
ルイビル大
ノースカロライナ州立大
シラキュース大
ウェイクフォレスト大
海岸地区
デューク大
ジョージア工科大
マイアミ大
ノースカロライナ大
ピッツバーグ大
バージニア大
バージニア工科大
地区制度を取り払うメリットとして挙げられるのは、現在ACCタイトルゲームは両地区の1位チーム同士の戦いとなりますが、強豪校が一方の地区に固まってしまった場合、タイトルゲームのマッチアップがカンファレンス全体の勢力図で見たときに必ずしもトップ2チームのマッチアップとはならないことがあり、それを回避する為には悪くないアイデアだと言えます。
これまでNCAAは、カンファレンスの優勝決定戦を行うには地区制度を敷かなければならないというルールを定めていました。しかしこのルールが緩和されることがこの夏のルール改正で期待されており、それを受けてACCはこの構造改革に乗り出したとも言えそうです。
地区制度を廃止するという論議は既にBig Tenカンファレンスでもされています。地区のパワーバランスが偏ってしまうという点においてBig Tenはそれが顕著であり、東地区と西地区という地区制度が敷かれてからBig Tenのタイトルゲームでは東地区が8勝0敗と圧倒的。東地区優勝チームが事実上のカンファレンス優勝チームという形が出来上がってしまっています。
昨年も東地区の優勝チームであるミシガン大が西地区優勝のアイオワ大を42対3と大差で破っており、その力の差は歴然です。
こうなればタイトルゲームが出来レースとなってしまうともいえ、そうなるとこの試合への注目度は下がってしまいます。真のトップ2チームを戦わせて優勝チームを決めるということは難しくなりますし、何よりもそんな結果が目に見えている試合を放映しても視聴率は上がらないわけで、ビジネス的な面でも偏った地区制度は不健全とも言えます。
ただ、この考えは落とし穴がないわけではありません。というのはこのことでタイトルゲームに出場できるのはいつもと同じ面々になってしまうという危惧です。
所属する地区で優勝さえすればカンファレンスタイトルゲームに進出できるということは、中堅チームにすれば一地区制よりもその可能性が多少なりとも増えると思われます。例えば昨シーズンのACCタイトルゲームはピッツバーグ大とウェイクフォレスト大でしたが、クレムソン大やノースカロライナ大、フロリダ州立大ばかりが出場してきたこの優勝決定戦でこのマッチアップは非常に新鮮でした。
またカンファレンスタイトル戦のさらに上にあるCFP(カレッジフットボールプレーオフ)にチームを送り出すという面でも偏った地区制度よりは一地区制度で上位2チームが確実に対戦する仕組みの方が可能性が高くなるとも言えます。
CFP出場のチャンスがある地区優勝チームが弱い地区の優勝チームとタイトルゲームで対戦してもCFP選考委員会に良い印象を与えることは難しいかもしれませんが、同じカンファレンスのトップ2チーム同士が争い、激戦の末にCFP進出候補チームが勝利をもぎ取れば、選考委員会への良いアピールになるからです。
Big 12カンファレンスがいい例です。彼らはFBSの中で唯一地区制度を敷いていないチームであり、タイトルゲームはレギュラーシーズン終了時におけるカンファレンス内のトップ2チームが出場して行われます。先シーズンはベイラー大とオクラホマ州立大が対戦しましたが、計算上はどちらのチームにもCFP出場の可能性が残されており、この試合の持つ意味は非常に大きく大変盛り上がったのです。
今回はACCが取り出されていますが、Big Ten、およびここ7年間もCFPに所属チームを送り込めていないPac-12カンファレンスもそれに追随することが考えられます。一方サウスイースタンカンファレンス(SEC)は今のところ東地区ジョージア大、西地区アラバマ大という、全米タイトルを狙えるチームが幸運にも別の地区にそれぞれ所属していることから、彼らにしてみれば一地区制にするメリットはあまりないのかもしれません。が、全体の流れからすると彼らも二地区制度を破棄することは大いにあり得そうです。
👇記事が気に入ったらいいねやリツイートで拡散お願いいたします!
【記事更新しました】
— Any Given Saturday (@ags_football1) May 18, 2022
NCAA1部のFBSの中でもさらに最上位のカンファレンス群と称される「パワー5」勢の一員であるACC。ここにはクレムソン大、マイアミ大、フロリダ州立大などが所属していますが、このACCが自身の構造改革に乗り出しているようです。
詳しくはこちら
⬇️⬇️⬇️https://t.co/ioL39jrTg4