目次
#3 オハイオ州立大 14、#1 テキサス大 7
前年度全米覇者のオハイオ州立大(全米3位)がテキサス大(全米1位)をホームに迎えたメガマッチ。蓋を開けてみるとオハイオ州立大のディフェンスがテキサス大オフェンスを圧倒し、若い新QBジュリアン・セイイン(Julian Sayin)がデビュー戦ながらプレッシャー下で仕事をこなして僅差の試合をものにしました。
第1Qはどちらもスコアレスでなかなか自分たちの形を見いだせないスローな展開でしたが、第2Qにオハイオ州立大のRB CJ・ドナルドソン・Jr(C.J. Donaldson Jr.)のショートヤードランTDが決まってホームのオハイオ州立大が先制。スタジアムは大いに盛り上がります。
前半を終え後半に入っても一進一退の展開が進みますが、第4Q開始直後にセイインからWRカーネル・テイト(Carnell Tate)への40ヤードのロングトスが決まってスコアを2ポゼ差に引き離します。
CARNELL TATE 40 YARD TD 😱
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The @OhioStateFB Buckeyes make it a two-score game pic.twitter.com/QwOtTZExl6
なかなかボールを動かせないテキサス大でしたが、残り時間約3分半でQBアーチ・マニング(Arch Manning)からパーカー・リビングストン(Parker Livingstone)へのパスTDが決まりやっとこの日初のスコア。逆転へ向けての僅かな望みをつなぎます。
ARCH MANNING TO PARKING LIVINGSTONE FOR THE TOUCHDOWN@Texasfootball takes one back 🤘 pic.twitter.com/AqihAtErFO
— FOX College Football (@CFBONFOX) August 30, 2025
しかしここで勝負を決めたのがオハイオ州立大のディフェンス。残し時間2分でテキサス大が同点に向けてのドライブを決行しますが、残り1分半で迎えた4thダウン&5ヤードというシチュエーションでマニングのパスがジャック・エンドリーズ(Jack Endries)に成功するもこれをオハイオ州立大のディフェンスが食い止めコンバート阻止。このプレーが試合を決定づけることになったのでした。
THE BUCKEYE DEFENSE SHUTS DOWN TEXAS ON 4TH DOWN… AGAIN 😱@ohioStatefb pic.twitter.com/W9ziVhZYc5
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今季からオハイオ州立大のディフェンスを率いるのがマット・パトリシア(Matt Patricia)氏。彼の率いるディフェンスが第4Qにスコアされるまでテキサス大オフェンスをシャットダウン。また試合中に迎えた4つの4thダウントライを全て阻止するという離れ技も成し遂げるなど勝利に大貢献。特にLBのアーヴェル・リース(Arvell Reese)とDBのジャーメイン・マシューズ・Jr(Jermaine Mathews Jr)の活躍が顕著で、マシューズはマニングからINTを奪うパフォーマスを見せたのでした。
またカレッジデビュー戦となったセイインですが、この日は20回の投球で13回のパス成功、126ヤードと控えめな数字でしたが、前述の通りテイトに40ヤードの綺麗なパスTDを放るなど、先発デビュー戦としては悪くない出来。またセイインは、デビュー戦で全米1位チーム相手に勝利したQBとしては1984年以来初という偉業も成し遂げました。
一方で大きな期待を背負って敵地に乗り込んだマニングでしたが、この日は30回の投球で17回のパス成功、170ヤードに1TD(1INT)という数字。オハイオ州立大のディフェンスに終始苦しめられ、出入りが激しくパスの精度もイマイチな苦い船出となりました。
テキサス大オフェンスも全体的にパンチ力に欠け、昨年に続きレッドゾーンでの得点力のなさに泣く結果に。この試合では2度レッドゾーンに侵入しましたが、どちらも無得点で終わるという不甲斐ない結果となってしまったのも痛かったです。非常にコンサバティブ(無難な)プレーコーリングに終止したのは気がかりです。スタッツ上ではトータルオフェンスがオハイオ州立大よりも上回っていた(336yd vs 203yd)ことを考えると尚更です。
開幕戦でしっかりと結果を残したオハイオ州立大としてはこれ以上ない出だしとなりました。特に若いQBセイインを擁立する中で、ディフェンスが相手の攻撃を潰してくれたのは彼にとっては心強い後方支援となったことでしょう。テキサス大は全米1位という高い前評判を受けてはいましたが、それに見合うだけの決定力に欠けていたのが敗因。果たして彼らはしっかりと立て直してこれるでしょうか?
#9 ルイジアナ州立大 17、#4 クレムソン大 10
どちらも「タイガース」のニックネームで愛されているため「虎対決」となったこの試合は非常に拮抗した展開となりましたが、最後はルイジアナ州立大が敵地クレムソン大で逆転勝ち。貴重な開幕戦白星を飾りました。
前半お互いにFGを奪い合って3対3となった第2Q、敵陣内1ヤードラインまで迫ったクレムソン大はRBアダム・ランダル(Adam Randall)のランTDで10対3とリードすることに成功しハーフタイムへ突入します。前半は特にクレムソン大ディフェンスの気迫溢れるプレーが目立ち、僅差ながらホームの大歓声に背中を押される形でモメンタムはクレムソン大に流れているように見えました。
しかし後半に入るとLSUが息を吹き返します。特に彼らのディフェンスがクレムソン大オフェンスに立ちはだかり、相手にほぼ全く仕事をさせませんでした。その間にLSUオフェンスはケイデン・ダーラム(Caden Durham)の2ヤードランTDで同点に追いつき、試合は振り出しに戻ります。
29 punches it in for the score @CadenDurham29 | 📺 ABC pic.twitter.com/gQwE1DqNpD
— LSU Football (@LSUfootball) August 31, 2025
そして第4Qに突入してもなお攻めあぐむクレムソン大に対し、LSUはエースQBギャレット・ナスマイアー(Garrett Nussmeier)からトレイデズ・グリーン(Trey’Dez Green)へのパスを左エンドゾーンへ決め、遂にLSUがこの日初めてリードを奪います。
Jump Ball. It's not even fair. @TreyDez_Green 📺 | ABC pic.twitter.com/c2gLCKEIqh
— LSU Football (@LSUfootball) August 31, 2025
なんとか同点に持ち込みたいクレムソン大でしたが、LSU陣内15ヤード地点まで辿り着くも、4thダウンでのQBケイド・クルブニック(Cade Klubnik)のパスはLSUディフェンスに阻まれ無常にも失敗。LSUがアウェーという厳しい環境の中で逆転勝ちをものにしたのでした。
ナスマイアーはアウェーながら大きく崩れることなくクレムソン大の強力ディフェンスに対して38回中28回のパス成功で230ヤードに1TDを記録。特に後半に挽回する形で2つのTDドライブをお膳立て。開幕前から高かった評判を裏切らない堅実なプレーを披露していました。
また目立ったのはLSUのランディフェンス。クレムソン大のランをたったの32ヤードに抑え込んだのは圧巻。このおかげでクレムソン大の攻撃が単調になり、結果後半相手を無得点に抑えることに成功。それもこれもオフシーズンのロースター補強が功を奏したと言えるでしょう。
一方のクレムソン大のオフェンスは苦戦。クルブニックは前半魂のこもったプレーを見せモメンタムを一時は掴みましたが、一方でパスの方は230ヤード投げるも成功率は5割でパスTDはゼロな上にパスINTを1つ献上。上記の通りランが出ず、そのせいでクルブニックは執拗にプレッシャーを受け続け大いに手こずりました。
ブライアン・ケリー(Brian Kelly)監督指揮下のLSUが開幕戦で勝利するのは実はこれが初めてのこと。晴れ舞台に弱いとされてきたケリー監督でしたが、その呪縛から遂に解放されたことは中々殻を破りきれなかったLSUが遂にトップを狙うことができるチームの仲間入りを果たすかと期待させるには十分です。
一方のクレムソン大は前半こそディフェンス勝負で競り勝ってはいましたが、ランを封じ込まれると厳しい展開に追い込まれることを痛いほど実感したことでしょう。まだまだシーズンは開幕したばかりですし、1ポゼ差での僅差の敗戦ですからここから立ち直ることは十分できると思われますが、修正点が露呈されたことは確かです。
#10 マイアミ大 27、#6 ノートルダム大 24
開幕戦最後のトップテンチーム同士の戦いは全米6位のノートルダム大が全米10位のマイアミ大の本拠地・ハードロックスタジアムに乗り込んだ大一番。かつてはライバル関係にもあったこのマッチアップ、非常にスリリングな試合展開になりましたが、最終的にはホームのマイアミ大が3点差を守って勝利。マイアミ大にとっては2017年以来初となるトップ10チームからの白星となりました。
試合の流れを牛耳っていたのはマイアミ大。ジョージア大からのトランスファーQBカーソン・ベック(Carson Beck)のデビュー戦となりましたが、2TDに絡む活躍を見せ、しかもそのうちの1つであるCJ・ダニエルズ(C.J. Daniels)へのパスは、ダニエルズの素晴らしいワンハンドキャッチと大きなインパクトを残しました。
OH. MY. CJ. DANIELS. 🤯🖐️
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📺 ABC x @CanesFootball pic.twitter.com/FnoKVni8nw
さらに第3QにはランによるTDを決めてマイアミ大がスコアを21対7とし、流れは完全にマイアミ大のものになったように見えました。しかし第4Qに入るとノートルダム大が反撃を開始。QB CJ・カー(C.J. Carr)のジョーダン・フェイソン(Jordan Faison)へのパスTDが決まり点差をワンポゼ差に縮めてきます。
1️⃣3️⃣➡️6️⃣
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📺 ABC #GoIrish☘️ | @13Cjcarr | @Jordan6Faison pic.twitter.com/diiqBlaZmc
いよいよノートルダム大に流れがくるか・・・と思われましたが、そこでモメンタムを手繰り寄せたのがこのプレー。カーのパスがブロックされますが、その弾かれたボールをマイアミ大のルーベン・ベイン(Rueben Bain)がジャンプ一番でインターセプト。ノートルダム大は折角の反撃のチャンスを自ら潰してしまいます。
Picked off by Rueben Bain and Hard Rock is jumpin' 🟠🟢
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が、ノートルダム大も腐りません。お互いFGを決め合って24対17というスコアになった試合終盤、なんとしても同点に追いつきたいノートルダム大は残り3分強という場面で相手レッドゾーン内に飛び込むと、最後はカーのQBドローが見事に決まり土壇場でノートルダム大が24対24と同点に追いつきます。
CJ CARR.
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TIE GAME#GoIrish☘️ pic.twitter.com/OVz4i35EeG
しかしホームのマイアミ大はベックの小気味よいパスプレーで素早く相手陣内へ攻め込むと残り1分ちょっとというところで46ヤードのFGが決まり再びマイアミ大が逆転。後のないノートルダム大も最後まで足掻きますが、マイアミ大ディフェンスの前に撃沈。カーが二発連続のサックを喰らい万事休す。マイアミ大がホームでの金星を手に入れたのでした。
この46ヤードのFGを決めたKカーター・デーヴィス(Carter Davis)は昨年FGを7回蹴って成功させたのがたったの2回というKでしたが、この大舞台で46ヤードというビッグキックを決めたのは大きかったです。
マイアミ大のベックはこの日31回中20回のパス成功で205ヤードと決して目から鱗が出るようなスタッツではありませんでしたが、重要な場面で経験値の高さを見せていました。一方のノートルダム大のカーは1年生(レッドシャツ)ながら221ヤードに2TD、さらにランで1TDとし、敗戦となったものの確かな手応えを感じられた試合になりました。
またこの日光ったのはマイアミ大のルーキーWRマラカイ・トニー(Malachi Toney)。この日は6キャッチに2TDと大活躍。ベックとの息もバッチリといった感じでした。
一方不発に終わったのはノートルダム大のエースRBジェレマイア・ラブ(Jeremiyah Love)。この日は10キャリーにたったの33ヤードと起用法にも疑問が。チーム全体としても94ヤードのランに終止し自分たちの良さを発揮することができずにいたようです。
マイアミ大は開幕戦での大試合に勝利したことでチーム内の士気は一気に上がることでしょうから、今後彼らの動向には目が離せません。ノートルダム大は敗れはしましたがまだ初戦。彼らは昨年ノーザンイリノイ大に大番狂せを喰らいながら、最終的には全米タイトルゲームに出場しました。しかも新人QBカーが予想以上にやれるところを見せてくれたのは敗戦の中でも手に入れることができた一筋の光だったと言えるでしょう。
その他の主な試合結果
フロリダ州立大31、アラバマ大17
全米8位のアラバマ大はアンランクのフロリダ州立大に完敗。新たに起用した元アーバン大・UCF監督のガス・マルザーン(Guz Malzahn)氏のダイナミックなオフェンスの下でランで230ヤードを記録。QBトミー・カステラノス(Tommy Castellanos)も足で78ヤードを稼ぐなど完全にアラバマ大のランディフェンスが崩壊。またフロリダ州立大のディフェンスもアラバマ大のランを制御下に置き、また3つのQBサックを喰らわすなど全てにおいてアラバマ大を上回っていました。
一方のアラバマ大は攻守におけるラインプレーで相手に圧倒され、捻出できたランヤードはたったの87ヤード。アラバマ大が開幕戦で100ヤード以上のランを出せなかったのはなんと1975年以来のこと。攻守ともにいいところがなく、ポスト・セイバン(Nick Saban)体制においてかつてのダイナスティーの完全終焉を実感させられた試合となりました。
#2 ペンシルバニア州立大46、ネバダ大11
全米2位のペンステートが攻守ともにネバダ大を圧倒。特にディフェンスは3つのターンオーバーを引き出し、またQBドリュー・アラー(Drew Allar)も22回中26回パス成功、217ヤードに1TDと堅実なプレーでチームを牽引。期待のツインタワー、ケイトロン・アレン(Kaytron Allen)とニック・シングルトン(Nick Singleton)は2人合わせて62ヤードと少々拍子抜けするスタッツでしたが、オフェンスは全体的に小気味よいテンポで最初の9ポゼッション全てを得点に絡めるなど圧倒。隠した相手に隙を見せない展開で開幕戦を勝利で収めました。
#5 ジョージア大45、マーシャル大7
マイアミ大へ転校したカーソン・ベックに代わり今年からジョージア大のQB1を任されるガナー・ストックトン(Gunner Stockton)が190ヤードのパス(2TD)と79ヤードのラン(2TD)と合計4つのTDに絡む大活躍でマーシャル大を一蹴。ディフェンスも試合開始直後から相手に仕事をさせず格の違いを見せつけました。
#13 サウスカロライナ大24、バージニア工科大11
非常にフィジカルな試合となったこの試合、試合を決定づけたのはサウスカロライナ大ヴィカリ・スウェイン(Vicari Swain)の第4Qの80ヤードパントリターンTDと、QBラノリス・セラーズ(LaNorris Sellers)の64ヤードのロングTDパス。バージニア工科大のドロップパス、ペナルティー、決定力の欠如にも助けられ、かつてバージニア工科大を率いていたレジェンド、フランク・ビーマー(Frank Beamer)氏の息子であるシェーン・ビーマー(Shane Beamer)氏がサウスカロライナ大の監督を務めていることから「ビーマー・ボウル」と称されたこの試合をサウスカロライナ大が制しました。
#14 ミシガン大34、ニューメキシコ大17
ミシガン大はアラバマ大からの転校生RBジャスティス・ヘインズ(Justice Haynes)の159ヤードのランに3TDというプロダクションが功を奏しニューメキシコ大を34対17で退けました。新人QBブライス・アンダーウッド(Bryce Underwood)はこのデビュー戦で251ヤードに1TDをパスでゲット。大器の片鱗を見せつけました。またディフェンスも相手から3つのパスINTを奪うなど難なく開幕戦を手中に入れました。
(ニューメキシコ大所属のRB岩井零選手はスタッツなしでした)
#18 オクラホマ大35、イリノイ州立大3
全米18位のオクラホマ大が格下イリノイ州立大に難なく勝利。この試合ではワシントン州立大から転校してきた期待のQBジョン・マテアー(John Mateer)が392ヤードに3TDを獲得。オクラホマ大QBとしてのデビュー戦でのパスヤードとしては、これまでスクールレコードだったベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)の記録を更新。鮮烈デビューを果たしました。
アリゾナ大40、ハワイ大6
大敗したハワイ大ですが、チームに所属するK松澤寛政選手が2つのFGを決めてチーム唯一の得点源に。特に2つ目のFGは前半終了直前の「メーデー」シチュエーション。前半終了と同時に41ヤードのFGを決めるという難しいタスクを完遂するパフォーマンスを見せました。





