今オフヒューストン大からテキサス大のヘッドコーチに鞍替えしたトム・ハーマン(Tom Herman)監督。テキサス大という名門校の再建を託されたハーマン監督にはやることが山積みですが、それはチームのスタッフ組閣、戦術、リクルーティング、スケジュールと多岐に渡ります。そしてその有り余るリストの中には選手自身のフィジカル、もっと言えば体型に関してもハーマン監督にとっては改革の余地ありと見ているようです。
太り過ぎはNG
最初にターゲットになったのはディフェンシブラインマン達。ハーマン監督がやってきてからオフシーズンの冬季トレーンングを通して彼が感じたことはズバリ、「太り過ぎの選手が多すぎる」ということだったそうです。
「個人の選手がどれだけこのチームで本気なのか、それを知るにはまずはじめに太り過ぎの選手達は体重を絞らなければなりませんね。」とハーマン監督はインタビューで語ったと言います。
チームのメディアガイドによると、今の所5人のDL選手の体重が300パウンド(約136キロ)以上あるということになっています。おそらくハーマン監督はこの選手達が「太り過ぎだ」と言っているのでしょう。重すぎる体重のせいでスピードが落ちることを危惧していると思われます。監督によっては力押ししたい人と、スピードで相手を圧倒したい人と様々ですが、ハーマン監督は後者なのでしょうね。
水分補給も選手の仕事
またハーマン監督は選手の水分補給に関しても手を抜きません。
もちろんスポーツのパフォーマンスに置いて水分補給は重要な一面であります。水分不足なればプレーだけでなく思考能力にも影響を及ぼすことは知られており、それによる筋痙攣でも起きればプレーすらできなくなってしまいます。特に夏の暑さがハンパではないテキサス州では水分補給は生死に関わると言っても言い過ぎではありません。
そこでハーマン監督はチームのロッカーにあるトイレにこんな張り紙を貼ったのです。
Went to take a leak in Moncrief and this was hanging above the toilet. Tom Herman’s attention to detail is real 😳 pic.twitter.com/FoAMbkf56K
— Anwar Richardson (@AnwarRichardson) April 11, 2017
これは尿の色で水分補給の状態を簡単にチェックできるチャートですが、下に行けばいくほど水分が体内に足りていないということになります。実はこのようなチャートはどのフットボール部のロッカールームにもあるものなのですが、テキサス大の場合、それぞれの尿の色に記されたラベルが少しユニークです。
1−3:チャンピオンレベルの水分補給度
4−5:自分勝手なチームメート
6−7:チームメートに大変な迷惑をかけている状態。「エリア51」へ行け!
8:お前は悪者だ!!!
選手一人一人が自分の体調管理をしなければチャンピオンになれないばかりか、それはチームメートを裏切る行為である、というメッセージが込められています。体調管理も立派な必須事項であり、またチームは選手全体が同じビジョンを持たなくては頂点には立てないというメッセージを送っているのです。
幸いなことに2017年シーズン開幕まではまだまだ時間があり、これらの「太り過ぎ」選手達が体重を落とすことも水分補給のための生活習慣を改めるのも十分可能でしょう。ただ、今回ハーマン監督があえてこの時期にこれらの話をしたことは、今までのチームと彼が率いるチームは違うということをアピールしたかったからかもしれません。好きなものを好きなだけ規制もなく食べ続ければ太ることは決まっています。体重を絞るということは、食生活に敏感になり、そして選手達には生活習慣から意識の持ち方まで全てテキサス大で成功するために改革していくことを要求しているのでしょう。外側からだけでなく内側からもチームの立て直しを選手達にも迫っているのです。
もっともこの太り過ぎの選手というのはほんの一握りの選手達だけで、多くの選手達の短期間での変化にハーマン監督は満足しているようですが。