2024年度の全米タイトルを獲得したオハイオ州立大。2014年以来の栄冠を獲得するのに大きく貢献したのはその強力なディフェンス陣でしたが、そのユニットを指揮したディフェンシブコーディネーターのジム・ノールズ(Jim Knowles)氏が優勝直後にペンシルバニア州立大(ペンステート)のディフェンシブコーディネーターに就任することが電撃的に決まりました。
It’s official. Welcome to Happy Valley!#WeAre x @CoachJimKnowles pic.twitter.com/XwoyEs20sv
— Penn State Football (@PennStateFball) January 27, 2025
ペンステートとの契約年数は3年。平均年収が310万ドル(1ドル100円計算だと約3億1000万円)ということなので、トータルのパッケージでは900万ドル超えということになります。ちなみにオハイオ州立大では昨年220万ドル稼いでいたということですが、ペンステートからのオファーがあった同じ頃にオハイオ州立大もノールズ氏に275万ドルの増額を提示していたようです。
これまでは、かつてNFLでDCを歴任し2024年にミシガン大のDCに就任していたドン・マーチンデイル(Don Martindale)氏の年収250万ドルがコーディネーターとしては最高額のサラリーでしたが、今回のペンステートとのディールでノールズ氏が史上最高年収コーディネーターとなりました。
ただ、全米優勝を果たしたばかりのチームから移籍する、しかもその移籍先がオハイオ州立大と同じBig Tenカンファレンスに所属しているペンステートであり、彼らは毎年対戦するようなライバルチームでもあるため、このノールズ氏のヘッドハンティングのニュースは驚きを持って報道されました。
ペンステートは昨年度準決勝戦まで駒を進めるなど躍進を果たしましたが、彼らの成功もまたディフェンス力を背景にしていました。その守備陣を束ねていたトム・アレン(Tom Allen)氏がシーズン後にクレムソン大の新DCに就任。その空きを埋めるために後任を探していたわけですが、そこに白羽の矢が立ったのがノールズ氏だったのです。
オハイオ州立大のディフェンスは数々のスタッツで軒並み全米1位の数字を叩き出すなど今季はカレッジ界最強ディフェンスと謳われましたが、それを演出したノールズ氏の株は急上昇しており、ペンステートの他にもオクラホマ大やノートルダム大も彼に触手を伸ばしていたと言われています。
ノールズ氏がペンステートに移籍を決めた背景には、高額のサラリーもあったと思いますが、もともとペンシルバニア州フィラデルフィア出身だった彼は小さい頃からペンステートに特別な思いを持っていたということで、今回はその夢にまで見たチームでコーディネーターを務めることができるというチャンスを見逃せなかったという点もあったのかもしれません。
The Penn State roots run deep.#WeAre x @CoachJimKnowles pic.twitter.com/3vgLYwRlmJ
— Penn State Football (@PennStateFball) January 28, 2025
ペンステートはジェームス・フランクリン(James Franklin)監督指揮下で現在対オハイオ州立大戦8連敗中。Big Tenタイトルおよびナショナルタイトル獲りを目指す上で避けては通れないオハイオ州立大になんとか対抗するための作戦として、相手の中枢人物を自らに取り込むというウルトラC級の手に出たわけです。
ペンステートはこれまでに無い規模でフットボール部に投資を続けています。フランクリン監督は現在年収850万ドルで全米では13番目の高額監督となっていますし、ごく最近ではビーバースタジアムの大規模な改修工事が始まりました。そんな中でコーディネーターに310万ドルもの大金を支払うというのは、これまでのペンステートと比べると大変な金の流れができています。それもこれも大学側は「トップを狙うなら今」とばかりにオールインしているからと言えそうです。
これでペンステートおよびフランクリン監督は強力な補強をすることができたわけですが、逆に言えばこれで彼らは負けた時の言い訳ができなくなったとも言えます。果たしてノーズル氏のディフェンスがペンステートでどれほどインストールできるのか・・・。半年後が楽しみですね。
*今回の記事はこちらのポッドキャストでも話されています!