オフシーズン便り Vol.6【2021年】

オフシーズン便り Vol.6【2021年】

オハイオ大ソリッチ監督が引退


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ミッドアメリカンカンファレンス(MAC)所属のオハイオ大を過去16年間指揮してきた名将、フランク・ソリッチ(Frank Solich)監督が現役を退くことを決意しました。

ソリッチ監督が就任するまでオハイオ大はボウルゲームに2度しか出場したことがありませんでしたが、彼が就任して以来実に11度もボウルゲーム出場を果たしています。またオハイオ大での通算戦績114勝82敗はオハイオ大で最多だけでなくMAC記録でも最多勝利数となっており、ソリッチ監督がオハイオ大で成し遂げたことの凄さを物語っています。

しかしソリッチ監督のルーツといえばネブラスカ大。選手としても活躍し、卒業後は同校のレジェンド、トム・オズボーン(Tom Osborne)氏の右腕として従事。そのオズボーン氏が引退した後1998年に後任を任され6年間母校で指揮を執りました。オスボーン時代からの流れを受けトリプルオプションを軸に自らオフェンスの指揮を執り6年間で58勝19敗という戦績を残しますが、2003年に9勝3敗という戦績を残したにも関わらずネブラスカ大はソリッチ監督を解雇。この時の驚きはまだ覚えています。

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ネブラスカ大時代のソリッチ監督

このサイトでもちょくちょく筆者がトリプルオプション好きであることを公言してきましたが、ネブラスカ大はソリッチ監督のオプションを捨て、当時流行り出していたウエストコーストオフェンスの使い手であるビル・キャラハン(Bill Callahan)氏を招聘します。しかし4年間での戦績は27勝22敗とぱっとせず、キャラハン氏は2007年度シーズン後に解雇されてしまいます。以来名門ネブラスカ大は迷走を続け今に至るまでその存在感はないに等しいものに落ちてしまいました。それを考えるとネブラスカ大がソリッチ監督を解雇した決断が愚断であったと言わざるを得ません。

それはソリッチ監督がオハイオ大で成し遂げきたことを考えるとなおさら際立ちます。確かにMACは中堅カンファレンスである「グループオブ5」勢の一員ですし、オハイオ大も全米を揺るがすようなチームではありません。しかし2007年にはピッツバーグ大を自身のホームで、2012年にはペンシルバニア州立大を相手のホームで倒すなどの金星をあげたり、16年間で負け越しが3度しかなかったことを考えればソーリッチ監督の手腕は確かであることは間違いありません。

現在76歳のソーリッチ監督は引退の理由を自身の健康上のものだとしています。同じ大学での勤続記録としてはアクティブレコードとしては4番目に長い記録。そして76歳という年齢は現在まで最高齢の現役監督の年齢。昔気質の監督がまた一人舞台から姿を消すことになり残念です。

ちなみにソーリッチ監督が引退することで現役最高齢の監督になるのはノースカロライナ大マック・ブラウン(Mack Brown)監督で69歳(8月で70歳)。それに続くのが同じく69歳(10月に70歳)のアラバマ大監督ニック・セイバン(Nick Saban)監督となります。


ネブラスカ大といえば・・・

ネブラスカ大は先日新しい体育局長(AD)にOBのトレヴ・アルバーツ(Trev Alberts)氏を任命しました。

1990年から1993年まで同校でスターLBとして活躍したアルバーツ氏は1994年のNFLドラフトで第1巡目5番目にインディアナポリスコルツに指名を受けプロ入り。しかし残念なことに怪我に見舞われ1996年シーズン後に引退。その後はメディアやキャスターの道に転身。2002年からは米スポーツ専門局ESPNのカレッジフットボール番組のコメンテーターに抜擢されます。

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現役時代のアルバーツ氏

ESPNでのメインのカレッジフットボール番組は「カレッジゲームデー(College Gameday)」ですが、アルバーツ氏らが担当した番組はそのサブ的位置づけであり、それに不満を抱いて出勤拒否したことで2005年に同局から解雇されてしまいます。

その後どうしていたのかなぁと思っていましたが、過去12年間の間ネブラスカ大オマハ校のADを務めていたのです。オマハ校ではフットボール部とレスリング部を廃部するという強行手段を用いてファンらの反感を買いましたが、それと引き換えに大学をNCAA2部から1部に昇格させることに成功。またアイスホッケーチーム強化に注力し、2015年には大学選手権で4強入りするなど結果を出し、痛みを伴う改革で体育局全体の土台固めを行ったのです。

その手腕を買われ今回母校に凱旋した訳ですが、アルバーツ氏のネブラスカ大での最大の仕事はいかにしてかつて栄華を極めたネブラスカ大フットボール部を復活させるか、その一つとなるでしょう。

アルバーツ氏は現役時代先にも紹介したオズボーン監督に従事した訳ですが、現在のHCであるスコット・フロスト(Scott Frost)監督はオズボーン監督最後の教え子であり、二人は1年だけ大学でチームメイトだった過去があります。

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ネブラスカ大現HCフロスト監督

フロスト監督はネブラスカ大が最後にナショナルタイトルを獲得した1997年のキャプテンで先発QBだった人物。「ゴールデンボーイ」と呼ばれた彼はオズボーン監督時代に培ったウィッシュボーンのトリプルオプションからインスパイアされたスピードオプションを用いてオレゴン大でオフェンシブコーディネーターを務めた後2016年にセントラルフロリダ大の監督に就任。そして2年目の2017年には13勝0敗の完全シーズンを成し遂げ、その翌年となる2018年に母校再建の切り札としてネブラスカ大に帰ってきたのです。

しかしここまで3年間の戦績は12勝20敗とお世辞にもチームは登り調子とは言えず、就任当初漂っていたファンたちの高い期待度もかなり薄れてしまっています。そこに来てネブラスカ大は2019年に早くも2026年までの契約更新を結んだのです。この時スコット監督の2年間での戦績は9勝15敗。この数字でなぜ契約延長をしたのか理解に苦しむのですが、それよりも驚きなのはバイアウト費

バイアウト費とは契約期間であるにも関わらずに解雇することで起きる契約違反費のことです。監督の起こしたスキャンダルなどで解雇される場合にはバイアウト費は発生しませんが、単に成績が芳しくないから解雇する場合にはバイアウト費をコーチに支払わなければなりません。

そしてネブラスカ大がフロスト監督と結んだバイアウト費は2600万ドル(1ドル100円計算で約26億円)。これは昨年アーバン大を解雇されたガス・マルザーン(Gus Malzahn、現セントラルフロリダ大監督)監督の2150万ドルや史上最悪の契約と当時罵られたノートルダム大チャーリー・ワイス(Charlie Weis)監督の1900万ドルを抜き史上最高額のバイアウト費となります(今年解雇された場合)。一体誰がこんな契約内容を許したのでしょうか・・・。

現在先行き不透明なネブラスカ大フットボール部ですが、もし新ADであるアルバーツ氏がネブラスカ大オマハ校で断行したような痛みを伴う改革を行うつもりであれば、かつて同じ釜の飯を食べた仲である後輩のフロスト監督の首を切るだけでなく、2600万ドルのバイアウト費をフロスト監督に支払わなくてはならなくなってしまいます。そういった苦渋の選択を強いられることになるかもしれません。

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