アイオワ州立大とキャンベル監督が契約更新
2016年にマット・キャンベル(Matt Campbell)監督が就任して以来、アイオワ州立大は徐々に力をつけてきています。昨年度は最後までBig 12カンファレンスタイトルを争い、カレッジフットボールプレーオフ(CFP)レースにも名を連ねたほどです。
元々フットボール部で知られた大学でなかったアイオワ州立大。キャンベル監督の5年間の戦績は35勝28敗で勝率は55.5%。一見大したことないように見えますが、かこにこの勝率を上回った監督は1919年のチャールズ・メイザー(Charles Meyser)監督時代まで遡らなければならず、それだけキャンベル監督が成し遂げていることがアイオワ州立大ではスペシャルなことがお分かりいただけると思います。
そんなアイオワ州立大はこの上げ調子を維持するためにキャンベル監督との契約を2028年まで更新することに成功。まだ41歳とまだまだこれからのキャンベル監督。他のチームがヘッドハントしてくることでしょうから、それを阻止するための契約更新とうわけですね。
セントラルフロリダ大の新監督に元アーバン大のマルザーン氏
FBS(フットボールボウルサブディビジョン)においてヘッドコーチ職を解雇となったコーチの再就職先は大抵どこかのチームのアシスタントコーチと言うのは一般的ですが、昨シーズン後にアーバン大から解雇されたガス・マルザーン(Gus Malzahn)監督は失職してから程なくしてセントラルフロリダ大の新監督に任命されると言う「幸運」を手に入れました。
セントラルフロリダ大は前監督のジョシュ・ハイペル(Josh Heupel)監督がテネシー大の新監督に就任したためにその後釜を探していました。マルザーン監督はアーバン大で68勝27敗の戦績を納め、2013年にはBCS(ボウルチャンピオンシップシリーズ)ナショナルタイトルゲームに進出(フロリダ州立大に敗戦)。ただ異常に高いアーバン大での期待度に振り回され、毎年彼の去就には注目が集まりましたが昨年度6勝4敗となったところで遂に大学はマルザーン監督との袂を分かったのです。
アーバン大は「パワー5」のSEC所属、一方のセントラルフロリダ大は「グループオブ5」のアメリカンアスレティックカンファレンス所属と言うことで一見マルザーン監督にとってはダウングレードにも見えますが、つい2017年には現ネブラスカ大のスコット・フロスト(Scott Frost)監督下で全勝シーズンを収めたこともありポテンシャルの高いチーム。
ハイペル監督は主にアップテンポのスプレッドオフェンスを用いましたが、マルザーン監督はよりオーソドックスなランアタックを中心に組み立てるオフェンス。このスタイルの変化がどうチームに影響を及ぼすかが見ものです。
リクルーティング禁止期間が5月末まで延期に
カレッジフットボール界において新型コロナウイルスの影響を受けたのは練習や試合だけではありません。リクルーティングの面でも大きな打撃を受けてきました。
人と人との接触を避けるために高校生リクルートをキャンパスに招待することもできず、コーチがリクルートの高校へ赴いて試合を見ることもできず、許されてきたのは電子メール、電話、Zoomのみ。一度も監督に直接面会することもなく、キャンパスに足を運ぶこともなく進学先を決めた2021年度のリクルートたちも少なくありませんでした。
世間ではワクチン摂取が少しずつながら進み大分希望の光が見えてきましたが、依然としてソーシャルディスタンスやマスクの着用はマストな状態であり、この状況はまだまだ続きそうです。そのため昨年から続けられているリクルーティング禁止期間(デッド・ピリオド)が5月末まで延期されました。
すでに4月15日まで延長されていたものがさらに1ヶ月半延びた訳ですが、これで引き続きキャンパスツアーやコーチの訪問はできなくなります。
在校生の指導によるチーム力向上は当然重要ですが、4年から5年で選手が居なくなってしまうカレッジスポーツの状況を考える、と長い目でチームを強くすると考えた場合リクルーティングは大変重要な側面です。そんな中でデッド・ピリオドが延長されてしまうことは厳しい現実ですが、それは特に中堅チームに言える問題です。
例えばアラバマ大やオハイオ州立大、クレムソン大などは名前だけでリクルートの気を引くことができますが、そうでない中堅チームは強豪チームからこぼれ落ちた選手たちをなんとか囲う作業をしなければならず、そこで他チームと差をつけるためにも実際に面会して自分たちの良さを売らなければなりません。それが出来なくなって1年以上が経とうとしている訳です。
しかもこれが最後の期間延長とも限らないわけで・・・。
オレゴン大QBシャックがテキサス工科大へ転校
昨年ルーキーながらロサンゼルスチャージャーズの先発QBとして君臨した元オレゴン大のジャスティン・ハバート(Justin Herbert)。そのハバートの後釜をオレゴン大で担ったのがタイラー・シャック(Tyler Shough)でした。新型コロナウイルスの影響で開幕が11月までずれ込んだPac-12カンファレンスにて7試合しか試合開催が叶いませんでしたが、そんな中でも1559ヤードに13TD(6INT)とまずまずの数字を残し、チームは大逆転でカンファレンスタイトルを獲得するに至りました。
確かにシャックはハバートと比べると格段に物足りなさを感じはしましたが、それでも結果は上記の通りのものを残すことに成功。しかしオレゴン大はオフシーズンに4つ星QBのタイ・トンプソン(Ty Thompson)の勧誘に成功。次世代のオレゴン大を担う逸材と高い期待が寄せられています。このトンプソンと次シーズンは先発を争うと予想されるシャック。当然この競争に勝てば先発の座を来年も射止めることができるのですが、彼はそれをせずに新天地での先発機会を模索することを決断。
そしてその転校先に決めたのがテキサス工科大。テキサス工科大は昨年QBプレーで大苦戦。2年目のマット・ウェルズ(Matt Wells)監督は2年連続負け越しに沈んでいますが、特に2020年度はアラン・ボウマン(Alan Bowman)とヘンリー・コロンビ(Henry Colombi)の2選手が起用されましたが、二人合わせて2667ヤードに18TD、11INTと惨敗。
ウェルズ監督は2018年度シーズンに解雇されたクリフ・キングスバリー(Kliff Kingsbury)監督の後釜としてユタ州立大から引き抜かれた人物。キングスバリー監督は6年で35勝40敗と結果を残せずクビを切られたわけですが、その後NFLアリゾナカーディナルズの監督に就任し2年間で13勝18敗と負けが先行しては居ますがこの先楽しみなチーム。そんな人物を追いやってまで獲得したウェルズ監督ですが今の所その期待には応えられていません。
オフェンス力が無いと頂点には立てないBig 12カンファレンスにおいて頼れるQBがいないというのは致命傷。ですから今回シャックがオレゴン大からやって来ることはウェルズ監督率いるテキサス工科大としてはまたとない戦力補充ということになりそうです。またシャック自身にしてもオレゴン大を出てまで求めた確実なプレー環境であり、ここまでして先発争いに敗れることは許されません。
シャックはスーパースターという訳ではありませんが、少なくともテキサス工科大としては大きく期待を寄せる選手であることに違いはありません。その期待にシャックが応えることができるか・・・。