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昨シーズンをオプトアウトしてNFLドラフトに備えた選手たち

昨シーズンをオプトアウトしてNFLドラフトに備えた選手たち

昨年度の2020年度シーズンは開幕前から新型コロナウイルスによって多大なる影響を受けました。当時はただ増え続ける感染者数を前に為す術なしといった絶望感が漂っていましたが、それと同時に感染してしまった際の将来的な体への影響がまったく分からなかったことも忘れてはなりません。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

まだ新型コロナが人体に及ぼす影響を医者や研究者たちが模索していた当初から、感染してしまったアスリートたちの体に及ぼす被害がどの程度まで起こるのかには注目が集まっていました。そして少しずつではありましたが、コロナ感染後に心臓の筋肉が炎症を起こす「心筋炎」の危惧が指摘されており、原因が解明されないままリスクを背負って秋シーズン開幕へ突き進むことに疑問を投げかけたのでした。

そしてそれは将来NFLで活躍することを夢見る精鋭選手たちに秋シーズンへの参加を一考させます。

「果たしてこの状況下で開幕を迎え、万が一新型コロナ感染してしまったことで将来を棒に振るような事態に陥らないだろうか」

そういった不安がよぎっていたことはNCAA(全米大学体育協会)も重々承知しており、選手たちがこの未知なるパンデミック下で参加を強いられる重圧から開放させてあげるために、全選手に1シーズンのプレー資格を上乗せしました。

ただこの決定とは別に来年以降にチームに戻ってくるという意志のもとでの「オプトアウト(参加辞退)」するのではなく、この事態を見限って来るNFLドラフトに備えるために「オプトアウト」することを決めた選手たちもいました。その中には2020年度シーズンにて活躍が期待されていたトップ選手も何人か含まれていたのです。

中にはオプトアウトを宣言したものの、状況が変わってオプトインしてチームに戻ってきた選手も居ます。

当初Big Tenカンファレンスは秋シーズン開幕を見送る決定を下しましたが、それを受けて同カンファレンスに所属するオハイオ州立大のCBショーン・ウェイド(Shaun Wade)やOLワイアット・デーヴィス(Wyatt Davis)は早々にオプトアウトを決定。しかし後にBig Tenが秋季シーズン開幕に舵を切ると彼らは共にオプトアウトを撤回してチームに戻ってきました。

結果的にFBS(フットボールボウルサブディビジョン)所属の全カンファレンスは遅かれ早かれシーズン開幕を迎えたわけで、オプトアウトした選手らは望めばおそらくオプトインすることは可能だったはずですが、それでもオプトアウトしたままNFLドラフトへの準備を個々で行い、今年1月のドラフト入り期限までに早期ドラフト入りを宣言した選手も少なくありませんでした。

ただ唯一気がかりであるのはいかに才能あふれる候補生だと言っても昨年度オプトアウトしたことで実践から1年以上も遠ざかってしまっていることです。

当然ここに紹介する選手たちは独自にプライベートでトレーニングを積んできているはずです。そうなれば試合における怪我を回避することができても、実践経験を通して得られる成長は止まってしまうわけですし、試合感も鈍ってしまうかもしれません。

もともと2020年度シーズンは新型コロナの影響でNFLスカウトが満足に練習施設や試合に足を運ぶことができず、試合数も減ったのでフィルムの数も減り、またスカウティングコンバインも行われないことで圧倒的に選手たちがアピールできる機会、そしてNFLチームが選手を査定する機会も減少してしまいました。

そんな中でオプトアウトしてしまった選手がいかにNFLチームに自分を売り込むことができるのかにも注目が集まっています。

今回ここでははそんな2020年度シーズンをオプトアウトして今年のドラフトに望む選手たちを紹介します。

ペネイ・セウェル(オレゴン大OT)


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実力的には昨年プロ入りしていてもおかしくないと言われていたのがオレゴン大のOTペネイ・セウェル(Penei Sewell)です。

2019年度にはオールアメリカンの1軍に選出され、ラインマンの思考のアワードと言われるアウトランドトロフィーを受賞。当時から押しも押されぬ勢米最高峰のOTと謳われたセウェル。

そんな彼はPac-12カンファレンスがBig Tenと足並みをそろえて秋季シーズン延期を表明するとチーム活動からオプトアウト。目標を2012年のドラフトに修正しました。

身長6フィート6インチ(約198cm)に325パウンド(約147kg)という恵まれたフレームをもつセウェルは1年生からすでに先発の座を確保。そして2年目には前述の通りアウトランドトロフィーを獲得するなど台頭し、今ドラフトのOT勢でも注目株です。


マイカ・パーソンズ(ペンシルバニア州立大LB)


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2020年度開幕前にベストLBの呼び声が高かったのがペンシルバニア州立大マイカ・パーソンズ(Micah Parsons)でした。

パーソンズはBig Tenカンファレンスの不参加が表明されて程なくしてオプトアウトを表明。ここに紹介する多くのオプトアウトプレーヤーたちの先陣を切った人物です。そのBig Tenが秋季開幕を決めるとペンシルバニア州立大はパーソンズの復帰を強く願いましたが、結局彼はオプトインすることなくドラフトに備えることになりました。

そのペンシルバニア州立大は開幕から悪夢の5連敗。これもパーソンズ(だけではありませんでしたが)を欠くディフェンス陣の手薄さも影響していたに違いありません。

5つ星リクルートとして鳴り物入りでペンシルバニア州立大に入部したパーソンズは1年生ながら13試合に出場。82タックル(4TFL)、1.5QBサック、2フォースドファンブルと大いに貢献して名を挙げると、2年生時にトータル109タックル(14TFL)、5QBサック、4フォースドファンブルという輝かしい数字を残し、上記のセウェルと同じくオールアメリカン1軍に選ばれました。

6フィート3インチ(約190cm)に245パウンド(約111kg)という体格ながら横方向へのスピードがハンパなく、相手のラン攻撃にも対応できパスラッシュの能力にも非常に優れたマルチなLB。

2020年度のLB界隈はちょっとさみしかったのでオプトアウトしたとはいえパーソンズへの需要はかなり高いと予想します。

ジャマー・チェイス(ルイジアナ州立大WR)


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2019年にナショナルチャピオンに輝いたルイジアナ州立大はその後の2020年NFLドラフトにて史上最多タイとなる14人がプロ入りを果たしました。その中にはハイズマントロフィー受賞QBジョー・バロウ(Joe Burrow、現シンシナティベンガルズ)やWRジャスティン・ジェファーソン(Justin Jefferson、現ミネソタヴァイキングス)、RBクライド・エドワーズ・へレイヤー(Clyde Edwards-Helaire、現カンザスシティチーフス )といったオフェンスの要もおり、2020年度シーズンのルイジアナ州立大の戦力低下は開幕前から目に見えていました。

そんな中でも唯一の光だったのがWRジャマー・チェイス(Ja’Marr Chase)でした。

4つ星リクルートとして入部したチェイスは2018年に1年生ながら313ヤードに3TDとその存在感を示しましたが、2年生となった2019年度にはその才能を開花させ1780ヤードに20TDととんでもない数字を残してオールアメリカン1軍に選ばれました。そして年間最優秀WR賞でもあるビレントニコフ賞を持ち帰ったのです。

そして2020年度シーズンを控えチェイスは当初オプトインしてディフェンディングチャンピオンとしてシーズン開幕を迎える予定でした。しかし開幕を直前に控えた9月15日に突如としてオプトアウトする決断を下したのです。

ただ彼の場合は新型コロナうんぬんというよりも、すでにカレッジレベルでやり残したことはなく怪我のリスクを負いながらプレーするよりもこのままオプトアウトの風潮に乗ってNFL入りを目指すことを選択したのだというのが実際の話のようです。

2020年度のWRといえばアラバマ大出身でハイズマントロフィーを受賞したデヴォンテ・スミス(DeVonta Smith)を思い浮かべますが、サイズ・スキル・スピードにおいてチェイスはスミスに勝るとも劣らないと言われており、実際のドラフトにてスミスよりもチェイスが先に指名される可能性は十分あると言われています。

グレゴリー・ロセウ(マイアミ大DE)


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2019年に1年生(レッドシャツ)だったマイアミ大グレゴリー・ロセウ(Gregory Rousseau)はルーキーながらTFL(タックル・フォー・ロス)が19.5個、QBサックが15.5個を記録。これらは所属するACC(アトランティックコーストカンファレンス)内でトップの数字となりました。そしてサック数だけで見ればその年最多数を獲得したオハイオ州立大チェイス・ヤング(Chase Young、現ワシントンフットボールチーム)に次ぐ全米2位。2020年度シーズンに向けて「第2のチェイス・ヤング」の期待がかかっていました。

しかし彼も他の選手らと同じように2020年度シーズンをオプトアウト。マイアミ大ファンを大いにがっかりさせたのでした。

2021年度のドラフトではオフェンス選手が目白押しですが、ロセウは前出のパーソンズと合わせてディフェンス選手として屈指の候補選手と言えます。

サミュエル・コスミ(テキサス大OT)


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高校リクルート時3つ星評価しか得られなかったOTサミュエル・コスミ(Samuel Cosmi)は当時懇意にリクルートしてくれていたトム・ハーマン(Tom Herman)氏が監督を務めていたヒューストン大に進学を決めていました。しかしそのハーマン氏がテキサス大に移ってくるのを見計らってコスミも進学先をテキサス大へ変更。ロングホーンズの仲間入りを果たしました。

その後チームでメキメキと頭角を現したコスミは昨年に左サイドOTにコンバートされると更にその才能をいかんなく発揮。身長6フィート7インチ(約200cm)体重309パウンド(約140kg)のコスミは2020年度シーズンもテキサス大OL陣の中心人物として開幕を迎えました。

ただチームは思っていたほど白星を重ねることができず、8戦目となったアイオワ州立大戦で破れて5勝3敗となったところでBig 12カンファレンスタイトルゲーム進出の可能性が消滅したタイミングでコスミは残り2試合を残してオプトアウト。

シーズン途中にも関わらず、苦楽をともにしたチームメートを残して自分だけオプトアウトしてしまったことには批判もありますが、能力的には今季のNFLドラフトを代表する力を持っていると言えるコスミ。上記のセウェルに次ぐ逸材OTという声もあり、彼がどの時点で指名を受けるのか注目が集まります。

ラショッド・ベイトマン(ミネソタ大WR)


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ミネソタ大ラショッド・ベイトマン(Rashod Bateman)は昨季なんと2度もオプトアウトしたという奇妙な経緯を持っています。

まずBig Tenの開幕延期の決定を受けて開幕前にオプトアウト。しかしカンファレンスがその決定を覆して開幕に踏み切るとベイトマンもオプトインしてチームに合流。しかし5試合を消化して2勝3敗となりその後新型コロナの影響で2試合中止になると残り2試合を残して再びオプトアウト。波乱万丈の大学最終シーズンとなってしまったのでした。

結局出場した5試合で472ヤードに2TDと大した傷跡を残すことはできませんでしたが、ミシガン大戦(101ヤード)、イリノイ大戦(139ヤード)、アイオワ大戦(111ヤード)と3試合で3桁レシーブヤードを記録するなど才能の片鱗は見せてくれました。

ただ2019年度には2020年のドラフトでタンパベイバッカニアーズ入りしたタイラー・ジョンソン(Tyler Johnson)との併用だったのにも関わらず、ベイトマンは1219ヤードに11TDを記録。特に1回のレシーブの平均ヤード数が10ヤード超えを果たしており、スピードスターというわけではないもののビッグプレーを披露できる能力を持っていることを証明してくれました。

今回のドラフトでは前出のジャマー・チェイス、デヴォンテ・スミス、さらにはジェイレン・ワドル(Jaylen Waddle、アラバマ大)と秀逸なWRが揃っていますが、ベイトマンもその一角をなすWRという評価が高いです。

その他のオプトアウトした候補者達

ケネディー・ブルックス(Kennedy Brooks)
オクラホマ大RB
パリス・フォード(Paris Ford)
ピッツバーグS
ケネス・ゲインウェル(Kenneth Gainwell)
メンフィス大RB
ジャヴィアン・ホーキンス(Javian Hawkins)
ルイビル大RB
カイリン・ヒル(Kylin Hill)
ミシシッピ州立大RB
ジェヴォン・ホランド(Jevon Holland)
オレゴン大S
ジェイシー・ホーン(Jaycee Horn)
サウスカロライナ大CB
ウォーカー・リトル(Walker Little)
スタンフォード大OT
テラス・マーシャル・Jr(Terrance Marshall Jr.)
ルイジアナ州立大WR
ジェイミー・ニューマン(Jamie Newman)
ジョージア大/ウェイクフォレスト大QB
リーヴァイ・オンウズリケ(Levi Onwuzurike)
ワシントン大DT
アサンテ・サミュエル・Jr(Asante Samuel Jr.)
フロリダ州立大CB
タイラー・シェルヴィン(Tyler Shelvin)
ルイジアナ州立大DT
ラショーン・スラター(Rashawn Slater)
ノースウエスタン大OT
セイジ・スラット(Sage Surratt)
ウェイクフォレスト大WR
ジョー・ライオン(Joe Tryon)
ワシントン大LB
プーカ・ウィリアムス・Jr(Pooka Williams Jr.)
カンザス大RB

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