カレッジフットボールの対戦相手は結構先まですでに決まっていたりします。ネブラスカ大も当然そのうちの1つでしたが、今回2026年と2027年に対戦が決まっていたテネシー大との試合をキャンセルする決断を下しました。
この対戦は2006年に既に契約締結済みで、2026年がネブラスカ大で、2027年がテネシー大でそれぞれ開催予定だったのですが、それをネブラスカ大が白紙に戻すと決めた訳です。
その理由は、ネブラスカ大がホームスタジアムであるメモリアルスタジアムの大規模な改修工事を2027年に計画しており、これが影響していると言われています。
ネブラスカ大のホーム、メモリアルスタジアム
改修工事中はスタジアムの観客動員数が少なくなることが予想されており、そうなればチケットの売り上げが落ちる訳です。そこでネブラスカ大が考えたのは、2027年度シーズンのホームゲーム1試合分の減収を補うために、ホームゲームを1つ増やそうとアイデアです。そこでこの年アウェーゲームとして決定していたテネシー大との試合をキャンセルしてこの枠をホームゲームに当てようと画策したのでした。
ただ、テネシー大との契約は2026年と2027年のホーム&ホームのパッケージディールだったため、2027年度シーズンの試合だけをキャンセルすることは出来ず、結果2026年度の試合と合わせて2試合ともキャンセルするということに至ったのです。
当然ネブラスカ大の都合でキャンセルすることになったため、彼らはテネシー大に2試合分の違約金(バイアウト費)を支払わなければなりません。その金額は100万ドル(1ドル100円計算だと約1億円)と言われています。
そしてネブラスカ大は既にテネシー大に代わる対戦相手を見つけています。2026年のホームゲームだったテネシー大戦に変わりMAC(ミッドアメリカンカンファレンス)所属のボーリンググーン州立大、そして2027年のアウェーでのテネシー大戦の代わりにホームでマイアミ大(オハイオ州)との対戦、さらに同じく2027年にはノーザンアイオワ大とのホームゲームも追加でスケジュールに組み込まれています。
逆にいうとテネシー大にバイアウト費となる100万ドルを支払っても、ボーリンググリーン州立大(2026年)、そしてマイアミ大とノーザンアイオワ大(ともに2027年)とのホームゲームでの収益がそれを上回るということです。
スタジアム改修工事が要因と言われている今回のキャンセル事情ですが、実はその裏テーマとしてネブラスカ大のCFP(カレッジフットボールプレーオフ)進出を目指すための策略ではないかという声も聞かれます。
CFPは昨年度から12チーム制に大幅拡張されました。そのためより多くのチームにこの大舞台への出場のチャンスが開かれたことになります。しかしそれでもカンファレンス優勝を逃したチームにとっては総合戦績、つまりより多くの白星となるべく少ない黒星が必要になってきます。
ネブラスカ大も当然プレーオフ進出を狙いますが、昨今復活してきた強豪テネシー大との対戦は厳しいものになると予想され、負ける可能性も高くなります。そうなるとプレーオフ進出の確率は減るわけで、それを回避するためにこのスタジアム改修工事という理由を利用してテネシー大との対戦を白紙に戻したのではないか・・・という噂です。
一方、テネシー大としては大きな損失です。
100万ドルを支払ってもらえるとはいえ、このタイミングで来年の対戦相手をこれから見つけるのは簡単なことではありません。冒頭でもご紹介した通り、カレッジフットボールのスケジュールは先を見越して既に何年も前から決定しているため、スケジュールにフレキシブルな相手を見つけるのは困難。しかもネブラスカ大との対戦が決まっていた日に空いてるチームを探さなければならないです。
テネシー大の体育局長、ダニー・ホワイト(Danny White)氏は今回のネブラスカ大の決断を非常に遺憾だと話しています。これからのスケジュール調整のことを考えれば当然の意見だといえますよね。
ただ、テネシー大も過去に「ドタキャン」した例があり、2021年に翌シーズンに予定されていた陸軍士官学校のゲームをキャンセルしてアクロン大をリスケしたことがあるので、あまり人のことを言えた義理でもないのかもしれません・・・。