ジョージア大QBダニエルズがNCAAから特例許可 - ANY GIVEN SATURDAY

ジョージア大QBダニエルズがNCAAから特例許可

ジョージア大QBダニエルズがNCAAから特例許可

カレッジフットボールの世界においてトランスファー(転校)は日常茶飯事です。その理由は多岐にわたりますが、主に試合出場の機会を求めて新天地を探すというのが選手がトランスファーの道を選ぶ理由です。

変わりゆく選手の上昇志向

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一昔前まで選手たちにとって憧れの大学でプレーできることは大きな夢でした。ですからたとえ試合出場の機会に恵まれなかったとしてもそのチームの一員であることに大きな意義があったのです。

しかし時代は変わり選手たちの上昇志向は格段に高くなり、プロを目指すプレーヤーが激増しました。その中には「自分にプレーする機会を与えてくれさえすれば自分をアピールできるはずだ」と考える選手も少なくありません。

また強豪チームを見てみれば、彼らの激しいリクルーティング競争によってトップチームのロースターはこれまでにないぶ厚いものとなり、ちょっとレベルの低い大学ならば先発出場確実な選手でも層の厚さに埋もれて試合出場の機会を失うというケースも多々見られます。

そういった理由により最近さらに選手がトランスファーの道を選択することがよく見られます。ここ数年の流行語大賞と言っても過言ではない「トランスファーポータル」に多くの選手が名前を連ねるというニュースはほぼ毎日配信されています。

(トランスファーポータルとはトランスファーを希望する選手のデータベースで、これに登録することによって各大学コーチ陣が選手個人とコンタクトを取ることが可能になります。ポータルに登録したからと言って即転校ということではなく、自分に他のチームで需要があるのか無いのかを知るために登録し、後で登録解除する選手もいます。)


トランスファールール

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しかしだからといって誰でも無条件に転校を決意して新天地で即プレー可能という訳ではありません。

NCAAは選手が試合に出たいという理由だけのためにホイホイと転校することを阻止するようなルールを設けています。その最たるものが「転校先では1年間試合に出場できない」というものです。

つまり転校した先で1年間は練習生としてしかチームに参加できず、実践経験を1年間失うというリスクがついてまわるというわけです。

しかしこれには特例があります。1つはもし選手がすでに出身大学で学位を取り卒業出来る場合。もしこの時点で試合出場資格(4年間)を使い切っていなかった場合は大学院生として転校先で即プレーが可能となります。これを大学院生(グラデュエイト)トランスファーと言います。

そしてもう1つはNCAAが特別に新天地での即試合出場を許可した場合。例えばその選手の転校理由に情状酌量の余地があった場合です。例えば昨年ジョージア大からオハイオ州立大に転校したQBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)はジョージア大で人種差別を経験し、それを苦痛として転校することを決めましたが、NCAAはこの理由に同情する形でオハイオ州立大での即試合出場を許可しました。

そしてこのフィールズの転校の影響を受ける形でオハイオ州立大に在籍していたQBテイト・マーテル(Tate Martel)はマイアミ大への転校を決意しますが、マーテルもマイアミ大で即プレー可能という特例をNCAAから取り付けることに成功しました。

マーテルの場合はオハイオ州立大のコーチ陣が一新されたこと(アーバン・マイヤー監督が引退しライアン・デイ氏が新監督に就任)を理由に上げていますが、こんなことはどこでも起き得る現象であり、NCAAが特例を下す理由が見当たりません。フィールズの件に関しても彼が受けたという事件はたった一度きりであり(出場した試合で泥酔した観客から人種差別的発言を受けた)、これが特例に値するのかは分かりません。人種差別カードを切られるとNCAAとしては弱腰にならざるをえないことも分かりますが、このNCAAの特例というのは明文化されておらず、理由が曖昧であることが多々あるのです。

こんな一例もあります。フィールズと同じジョージア大に所属していたルーク・フォード(Luke Ford)は病気がちで寿命が長くないおじいさんに自分のプレーを間近で見てもらいたいと言う理由でジョージア大からおじいさんの家に近いイリノイ大に転校を決意。おじいさんが生きている間に一刻も早く試合出場を果たし晴れ姿を見せたかったのですが、NCAAはこの訴えを却下。フォードに同情しNCAAを批判する声が高まったこともありました。


ルール改正への動き

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そんな折Big Tenカンファレンスはどんな理由であれ大学での選手生活のうち1度だけはトランスファーしても即試合出場にするという新ルールを設けるという案が出されました。それに同調する形で他のカンファレンスでも同じような提案がなされ、その結果NCAAもそのルール改正に耳を傾ける流れができていました。

しかしそのタイミングで世界はコロナウイルスの大流行に見舞われてしまい、この新トランスファールールの結論は見送られることになっていたのです。

ただおそらくこの提案は遅かれ早かれ導入されるのではないかと思っています。それはトランスファーを希望する選手が増え続け、それに際しいろいろな理由をこじつけて新天地での即試合出場を認めてもらうような訴えがNCAAに寄せられ続け、彼らがこれを裁けなくなるのは目に見えているからです。


NCAAがダニエルズに特例を許可

ということで転校生の新天地での即試合出場というルール改正は持ち越されたわけですが、この度再びそのルールを掻い潜ってNCAAから即出場可能という特例を取り付けることに成功したケースがまた飛び出しました。ジョージア大QBのJ.T.ダニエルズ(J.T. Daniels)です。

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元USCでジョージア大に転校したダニエルズ

ダニエルズは現ニューヨークジェッツサム・ダーノルド(Sam Darnold)の後釜として2018年に1年生ながらサザンカリフォルニア大の先発QBに抜擢され、2672ヤードに14TD、パス成功率59.5%というルーキーにしてはまずまずの数字を残しました。

2年生シーズンとなった昨年も開幕先発QBとしてスタートを切りましたが、その開幕戦となったフレズノ州立大戦で不運にもシーズン絶望となる大怪我を膝におって戦線離脱してしまいます。

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チームは昨年ダニエルズを失った後にその舵取りを1年生のキードン・スロヴィス(Kedon Slovis)に任せますが、彼はダニエルズの1年生シーズンを上回る3502パスヤードに30TD、パス成功率72%という驚異的な数字を残し、結果的に怪我の不運があったとは言えダニエルズは今季の先発の座もスロヴィスに奪われてしまったのです。

そこで彼はサザンカリフォルニア大に残留して腕を磨きスロヴィスから再び先発の座を奪い返すという選択ではなく、転校してその先で先発の座を狙うという選択を下したのでした。

それが今春のことでしたがダニエルズが選んだのはSECの強豪ジョージア大。ジョージア大は昨シーズンまでの先発QBだったジェイク・フローム(Jake Fromm、現バッファロービルズ)がNFLドラフト入りしてチームを去ってしまったため彼の後釜QBが喉から手が出るほど欲しい状況ではありました。

そしてこの度NCAAはダニエルズが2020年度シーズンから即試合出場可能となる特例を許可する通達を下したのです。

ただどうして彼に特例が下りたのかという理由は明らかにされていません。彼自身もそのことに関しては他言していませんが、2018年度シーズン後半に負った脳震とう(Concussion)や昨シーズンの開幕戦での前十字靭帯(ACL)断裂という怪我があったにせよ、それは怪我関連の理由であり普通ならこういったケースは1年の追加プレー資格が授与されると言った特例が採用されます。彼が今季から即プレー可能となったこの結果には少し首をかしげてしまいますが・・・。


転校生同士の先発争い勃発

この特例にいい気がしていないのがおそらくダニエルズと同様の転校生QBであるジェイミー・ニューマン(Jamie Newman)でしょう。

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ウェイクフォレスト大時代のニューマン

ニューマンは昨年までアトランティックコーストカンファレンス(ACC)のウェイクフォレスト大でプレーしていましたが、今年から前述の大学院生トランスファーとしてジョージア大に転校してきており、彼は正当な理由で今季試合に出場する資格を持っています。

彼が大学院生トランスファーを決意しジョージア大をその転校先に選んだのは、フロームが抜け確固な先発QBが存在しないという理由、さらに全米中で注目を浴びるサウスイースタンカンファレンス(SEC)の一員という理由だったことでしょう。彼にとっては大学生活の先にあるプロへの道へ近づくためにこの決断に及んだはずですから、その後にダニエルズが転校してくることを知り、さらにNCAAからの特例を獲得したとあっては心中穏やかではないでしょう。ニューマンにとってはこの1年間でNFLスカウトらにアピールできるかどうかによってプロ入りの可能性に大きく影響が及ぶからです。転校したのに先発の座を奪われて結局ベンチを温めるだけの存在となってしまえば、この転校という決断が無駄になりおそらくプロへの夢も阻まれてしまうことでしょう。

ただもしそうなってしまったら、そればニューマンはそれまでの実力だったということになりますし、同じようにダニエルズはサザンカリフォルニア大で結果を残せなかった実力しか持ち合わせていなかったという事実もあり、極論で言えば実力を持っていなければ上にはたどり着けないということなんだと思います。

とはいえ過去3人のハイズマントロフィー受賞QB(ベーカー・メイフィールドカイラー・マレージョー・バロウ)は皆転校生であり、セカンドチャンスをものにしてそれぞれドラフトで総合1位でプロ入りしたという事実もあります。ニューマンとダニエルズの先発争いは大変興味深いものとなりそうです。

もっともコロナ禍で開幕が不透明な2020年度シーズン、試合が行われなければ先発の座を獲得しても意味はなくなってしまいますが・・・。

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