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Life Goes On…

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2021年度シーズンのオフに話題をさらったのは多くの監督が名門校から名門校へと移籍していったことでした。例えばノートルダム大からルイジアナ州立大へ行ったブライアン・ケリー(Brian Kelly)監督とか、オレゴン大からマイアミ大へ行ったマリオ・クリストバル(Mario Cristobal)監督が挙げられますが、その他にはオクラホマ大からサザンカリフォルニア大へと移っていったリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督には驚かされました。

参考記事Coaching Carousel【リンカーン・ライリーの場合】

参考記事Coaching Carousel【ブライアン・ケリーの場合】

参考記事Coaching Carousel【マリオ・クリストバルの場合】

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ベースボール・マガジン社 (編集)

移籍に関することは上に紹介した記事を読んでいただいたほうが早いと思うのですが、名門と言われるサザンカリフォルニア大がナショナルタイトル争いから姿を消してから15年ほどが経ち、そんな中腕の立つといわれるライリー監督が降臨したことで地元ファンたちの期待度はかなり高まっていると言えます。

ライリー監督がサザンカリフォルニア大にやってきてからすでに半年以上が経ち、古巣のオクラホマ大からはQBケイレブ・ウィリアムス(Caleb Williams)が後を追ってやってきたり、その他にもかなりの数の転校生(トランスファー)を迎え入れてロースターを強化し、春季トレーニングを経てチームはライリー監督体制初年度から早くも2022年度のカレッジフットボールの勢力図を変えようと画策しています。

オクラホマ大からサザンカリフォルニア大へ


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2017年にオクラホマ大監督に就任したライリー監督は5年間で55勝10敗と素晴らしい戦績を残し、所属するBig 12カンファレンスタイトルを4つ獲得。また2018年にベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield、現クリーブランドブラウンズ)、2019年にはカイラー・マレー(Kyler Murray、現アリゾナカーディナルズ)の二人を2年連続となるハイズマントロフィー受賞QBに育て上げるなど飛ぶ鳥をも落とす勢いのコーチです。

オフェンス畑を歩き続けてきたライリー監督が、名門再建を画策するサザンカリフォルニア大の次期監督候補に挙げられたことは至極自然なことだと言えます。ただ一方でオクラホマ大という名門大学をわざわざ去っていったのかという疑問を持つ人達は少なくありません。

2021年度シーズンのレギュラーシーズン最終戦。オクラホマ大はライバル・オクラホマ州立大との「ベッドラムの戦い」にて敗れるという苦い思いをしましたが、その直前からライリー監督は当時空きが出ていたルイジアナ州立大の新監督に就任するのではないかと噂が立っていました。

そしてこのオクラホマ州立大戦後の記者会見でその噂について質問されたライリー監督は「私はルイジアナ州立大の次期監督にはならない」と明言していましたが、結果的にはたしかにルイジアナ州立大の監督にはならなかったわけですが、その直後にサザンカリフォルニア大入りが判明するという急展開となったのでした。


難しい決断


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この当時のごたごたを振り返ったライリー監督は「もう少しベターな対処の仕方があった」と少なからず後悔の念を持っているようです。

「(サザンカリフォルニア大のある)ロサンゼルス行きの飛行機の中で私は様々な思いを馳せていました。確かにサザンカリフォルニア大での新たなチャレンジはエキサイティングなものであったし未知なる可能性を秘めていました。一方でノーマン(オクラホマ大がある街)が自分の帰る場所でなくなってしまうことに自責の念や悲しみの気持ちもあったことも確かです。

「オクラホマ大を去ったあの時のことを考えると、もしもう一度やり直せるならば違うやり方でさることを選ぶことでしょう。もっとベターな方法で対処すべきだったと思いますし、それはすべて自分の責任です。

「チームとの最後のミーティングで幾人かの選手と言葉をかわすことができましたが、今考えればすべての選手と向き合ってしっかりと話ができればよかった。」とライリー監督は回想しています。

サザンカリフォルニア大での話が降って湧く前まで、ライリー監督は常日頃から自分のコーチングキャリアはオクラホマ大で終わるのだと疑っていなかったそうです。ただ、ロサンゼルスでの新たな挑戦はライリー監督のコーチとしての高みを目指す志、そして家族の生活を含めて考えると無視できないチャンスだったのです。

「みな誰もが人生の中で難しい選択に迫られる事があると思います。私にとってオクラホマ大からサザンカリフォルニア大へ移籍することがまさにそれに当たり、究極的に言って私は自分のため、そして家族のためにこの決断を下さざるを得なかったのです。」とはライリー監督。

すっかり悪者に


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当然このようにしてオクラホマ大を出ていったライリー監督にファンたちが抱く思いは決していいものではありません。名実共に名門と言われるオクラホマ大にしてみれば、自分たちよりもサザンカリフォルニア大の方が価値があると言われているに等しいからです。

1999年から18年間オクラホマ大を率いたボブ・ストゥープス(Bob Stoops)氏は2017年度シーズン開幕直前に突如として現役引退を表明。そして同時に彼の後釜に当時オクラホマ大に2年しか在籍していなかったライリー監督を次期監督に大抜擢しました。

その決断は的確だったことは冒頭にも述べた55勝10敗という数字に裏付けされていますが、自分の後継者としてオクラホマ大を常にナショナルタイトル争いに絡むことができるチームに育て上げた人物であったにもかかわらず、やはりストゥープス氏もライリー監督のこの去就に関しては思うところがあったようです。

4月末にストゥープス氏はオクラホマ州の下院議会にて、オクラホマ州コミュニティーに貢献したことを称える式に呼ばれました。ストゥープス氏は現場を引退した後もオクラホマ大フットボール部並びに地元コミュニティーと密接に繋がっており、ライリー監督が去った後に行われたボウルゲームでは1試合だけとはいえ現場に復帰してチームが空中分解することを防ぎました。

その時の様子を下院議会での場でスピーチしたのですが・・・。

「そのことに関してたくさんの称賛の声をいただくのですが、自分としてはそこまで言われるようなことをしたつもりはありませんでした。バッド・ウィルキンソン(Bud Wilkinson、1947年〜1963年)監督がオクラホマ大という強豪校を作り上げ、バリー・スウィッツァー(Barry Switzer、1973年〜1988年)監督がその名を確固なものとしました。

「私はその後の18年間をオクラホマ大で過ごしましたが、それは大変貴重な時間でした。そして引退した後もこうしてここに居ることができるのは本当に幸運なことです。だからあのときのような緊急事態でも私が役に立つ時が来たわけですが、とはいえもう二度とあんなことをする必要が起きないことを願います。

「当時の私の最大のミッションは選手、スタッフ、ファンをあの状況下で繋ぎ止めることでした。何もリンカーン・ライリーが一人でオクラホマ大フットボール部を作り上げたわけじゃなんですから。」とライリー監督をチクリ。

近年オクラホマ大を常勝チームとして率いてきたライリー監督も「立つ鳥跡を濁さず」の精神を全うできなかったために今ではすっかりヒール役になってしまったということです。

SEC入りに恐れをなした?


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ところで、ライリー監督がオクラホマ大を去ったもう一つの理由として2025年度を目処にオクラホマ大がテキサス大と共にサウスイースタンカンファレンス(SEC)に移籍することが絡んでいるのではないかと言われてきました。

この2校の移籍は2021年度シーズン開幕前に突如として発表されたことでしたが、猛者が集うSECにおいてはライリー監督率いるオクラホマ大もこれまでのように結果を残せなくなるのではないか、そうなればナショナルタイトル争いに絡んでいけなくなるのではないか、だからそうなる前にライリー監督はオクラホマ大を去ってサザンカリフォルニア大に「逃げた」という憶測が流れたのです。

これに関して先日ライリー監督はコメントをしていました。

「このSECの話は耳にしていますが、自分がサザンカリフォルニア大に来た事とオクラホマ大がSECに移ることは一切関係ありません。」とこの噂を一蹴。

「自分は今年で38歳になり、これまでとは違う経験をしたかったんです。私は全米タイトルを喉が手が出るほどほしい。そしてこの(サザンカリフォルニア大での)機会は手放すにはもったいなさすぎるチャンスでした。一体どこの誰がこのオファーを蹴るというのでしょう?」

噂ではサザンカリフォルニア大はライリー監督に10年で1億1000万ドル(1ドル100円計算で約110億円!)という契約を提示してそれを受け入れたということで、当然この部分もライリー監督の移籍を後押ししたことでしょう。

それに確かにオクラホマ州ノーマン市とカリフォルニア州ロサンゼルスでは生活水準も全く異なったものになるでしょうから、ライリー監督の決断を一方的に攻めることはできません。

監督のサラリーが桁違いに上昇し、それを欲するコーチたちがひっきりなしにチームを鞍替えする・・・。また選手たちも入部したチームに忠誠を尽くすのではなく、自分が輝ける場所を探すために転校も顧みない・・・。そんな時代においてライリー監督(ないしルイジアナ州立大のケリー監督)のようなケースは珍しくもありませんし、今後も引き続き起きていく現象です。

選手、スタッフ、ファンらはこういった出来事に翻弄されていきますが、そういった感情に左右されることなく時は流れていく・・・。「Life Goes On」な訳です。

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