テネシー大で1990年代から2000年代前半にかけて手腕を振るったフィリップ・フルマー(Phillip Fulmer)氏が、この度同大学の大学長の特別補佐に就任することがわかりました。
選手、アシスタントコーチ、そしてヘッドコーチと40年以上テネシー大一筋のフルマー氏。1998年には全米タイトルを獲得し、数々の名選手をNFLへ送り出し、テネシー大フットボール部のブランド力向上に大いに貢献しました。しかし後年にはチーム力の低下が露呈し、2008年には半ば強制的にチームを去ることになってしまいました。
この大学側の判断は多くの卒業生の反感を買いました。特にその後のレーン・キフィン(Lane Kiffin、現フロリダアトランティック大監督)、ブッチ・ジョーンズ(Butch Jones)監督らは未だフルマー氏ほどのインパクトを残せず、そのせいでフルマー氏は理不尽に「解雇された」と卒業生だけでなくファンも怒っているのです。
さらに今オフ体育局長に空きが出た時、多くの人がフルマー氏が適任だと思っていたところ、大学側はフルマー氏ではなく同じくOBのジョン・カリー氏を器用。これに納得しない人も多くいたと言います。
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そうやって半ば母校から不当な扱いを受けてきたフルマー氏ですが、それでも大学への愛は失われず常にチームをサポートする態度を表明してきました。そしてこの度大学側はフルマー氏にこの特別補佐のポジションをオファーしたのです。
前述のカリー氏は以下のコメントを発表しました。
「テネシー州で生まれ育ち、選手としてまたコーチとしてその全てを母校のために注いできたフルマー監督は近代のテネシー大フットボール部において素晴らしい結果を残してきました。そのフルマー監督ならば大学長特別補佐というポジションに適任であると断言できます。私が体育局長としてテネシー大キャンパスに戻ってきて以来、何度もフルマー監督と素晴らしい時間を過ごすことができました。そして今回彼と共に仕事ができることを大変な名誉に感じます。」
特別補佐という仕事は、大学があるノックスビル市コミニティ、大学、体育局らを繋ぐアンバサダーとなるということで、実際何をするかは我々には見えてきませんが(苦笑)、これはなんとなくこれまでフルマー氏をないがしろにしてきたことで膨れ上がった不満の声を沈めるための処置なんじゃないかと私個人は勘ぐってしまいます・・・。
どちらにしてもフルマー氏のようなテネシー大の看板人物が光を浴びるのはいいことです。これを受けてすでに卒業生たちも喜びの声をあげているようで、例えば2002年から2004年までWRとしてテネシー大でプレーしたクリス・ハノン(Chris Hannon)氏は以下のように話しています。
「チームがフルマー監督を追い出した時、それは本当にショックでした。それ以来私は大学キャンパスに足を踏み入れることがありませんでしたが、今回監督が帰ってくるということで、ようやく私もキャンパスに戻る気になってきました。やっと故郷が帰ってきた感じです。」
フルマー氏の特別補佐就任がフットボール部に何か影響があるとは思えませんが、少なくとも殿堂入りまでも果たしたフルマー氏に対して大学側がこのようなポジションを設けたのは評価すべきでしょう。遅すぎると言ってもいいぐらいですから。