「ドラフト1巡目の選手を獲得した!」という話はNFLドラフトであったとしてもカレッジフットボールでは聞き慣れないフレーズですよね。「ドラフト1巡目の選手を世に送り出した!」なら話は別ですが。しかしアリゾナ大には文字通りチームに「ドラフト1巡目の選手」が加入したのです。
ただ、この「ドラフト1巡目」の選手、何のドラフトかといったらそれはNFLではなく、MLB、つまりプロ野球の選手だったのです。
2009年にMLBドラフト1巡目、総合3番手でサンディエゴパドレスに指名されたドノヴァン・テイト(Donovan Tate)がこの夏からウォークオン(スポーツ奨学金無しの)選手としてアリゾナ大にフットボール選手として加入する事が明らかになりました。
ジョージア州出身のテイトは高校卒業時に高額契約金と高い期待度を背負いプロ野球の道へと進みましたが、怪我に悩まされメジャーリーグに昇格する事は叶わず、これまで6シーズン全てをマイナーリーグで過ごしてきました。しかも過去には薬物依存症でリハビリ施設に通わざるを得なかったという事実も有るようです。
QBとしてアリゾナ大に合流することになるテイトですが、同チームは今のところまだ先発QBを指名していません。現在のところ3年生のブランドン・ドーキンズ(Brandon Dawkins)と2年生のカリル・テイト(Khalil Tate、ドノヴァンとは無関係)が先発の座を競っているところ。テイトはこの2人とはポジションを巡って争うことになりそうです。
現在26歳となるテイトですが最後にフットボールをプレーしてから10年近くが経とうとしており、そのブランクを克服することが出来るのか注目されますが、高校時代は優れたフットボール選手として知られており、パドレスから高額の契約金を提示されるまではノースカロライナ大へ進学を決めていたほど。過去にはフロリダ州立大でテイトと同じような境遇でQBとして合流し、1999年のナショナルタイトル獲りに貢献しただけでなく、2000年にはハイズマントロフィーまで獲得したクリス・ウィンキー(Chris Weinke)という選手がいました。ですからテイトにまったくチャンスが無いというにはまだ時期早々だと思います。
ちなみにアリゾナ大にはヘッドコーチのリッチ・ロドリゲス(Rich Rodriguez)監督の息子であるレット・ロドリゲス(Rhett Rodriguez)も1年生QBとして入部してきます。ロドリゲス監督にしてみればなかなか難しい選択を迫られることになりそうです。