カリスマ的HCジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督の下ミシガン大は瞬く間に全米の表舞台へと復帰。昨シーズンはシーズン終盤に失速するまではカレッジフットボールプレーオフ(CFP)進出が手の届くところまで近づくほどの快進撃を見せました。ハーボー監督初年度の2015年度そして昨年の2016年度と2年連続で10勝シーズンを送ることができた新生ミシガン大。その確かな手腕でハーボー監督は確実にチームを強くしており、彼らが全米制覇を成し遂げる日がくるのもそう遠くはないでしょう。
ハーボー監督は就任以来、時にアグレッシブに、時に派手にリクルーティングをこなしてきましたが、その功あってリクルーティングでは全米で最もトップレベルです。それは高いポテンシャルを持った若手選手がチームに溢れていることを意味しますが、今季に関しては昨年から40人もの選手が卒業したりプロ入りしたりしてチームを去って行きました。その中には17人もの先発メンバーも含まれています。これだけの選手をハーボー監督らコーチ陣は補充しなければならないわけですが、果たしてミシガン大は高騰し続けるファンからの期待に応えて今年も満足いくシーズンを送ることができるでしょうか?
オフェンス
今季のオフェンスは11人中7人が初めてスターターのポジションを拝命することになります。
QBは昨年の先発ウィルトン・スピート(Wilton Speight)が今季も戻ってきます。今季も4年生となるチームのリーダーは昨年の初の先発経験を十分に生かして今シーズンオフェンスを率いていくことでしょう。彼が不動の先発QBであることは間違いありませんが、今年1年生のブランドン・ピーターズ(Brandon Peters)にも注目したいです。彼は春季トレーニングで周囲を驚かす活躍を見せ、スピートが卒業した後は彼で先発は決まりだとファンなら誰しもが安心したと思います。しかし場合によっては彼のプレーを今季拝めるかもしれません。
RBも昨年の先発であるクリス・エヴァンズ(Chris Evans)が健在。スピードが持ち味のエヴァンズは昨年4TDを含む614ランヤードを記録。オフシーズンにしっかりと筋トレに励みスピートだけでなくパワーも身につけていれば、今年は彼のポテンシャルが爆発するかもしれません。
レシーバー陣は先発WR二人とTEを失い再建のシーズンとなりそうですが、WR陣は非常に能力のある若手が揃っています。目玉は今年の新入生で五つ星の評価を得たドノヴァン・ピープルズ・ジョーンズ(Donovan Peoples-Jones)です。そのポテンシャルからルーキーながらすでにナンバーワンWRの呼び声が高いです。
オールアメリカンTEジェイク・バット(Jake Butt)の抜けた穴を埋めるのは簡単ではありませんがタイロン・ウィートリー・Jr(Tyrone Wheatley Jr)とイアン・バンティング(Ian Bunting)の二人がその任を背負います。
オフェンスのバックボーンとなるOL陣の若さは否めません。メイソン・コール(Mason Cole)とパトリック・クグラー(Patrick Kugler)の両4年生が軸となりますが、残りの三人は2年生と3年生の未経験選手。このユニットが崩れるとオフェンスすべてが崩れる可能性があるため、彼等OL陣の出来に注目が集まります。
ディフェンス
オフェンスは昨年のメンバーから7人の先発選手を失いましたが、ディフェンスはさらにその上を行く10人がチームを去って行きました。いくらハーボー監督がリクルーティングの鬼だとしても、さすがにこれだけの先発選手が居なくなれば心配の種となるものです。
唯一の生き残りなのがLBのマイク・マックレイ(Mike McCray)。昨年チーム最多タックル数で2番目となる73タックルを決めれば、QBサックは4.5個、2つのパスINT、6つのパスブロックと大活躍。債権を余儀なくされるディフェンス陣で彼が大きな大黒柱となることでしょう。
DL陣では元五つ星リクルートのラシャーン・ゲリー(Rashan Gary)に注目が集まります。今年まだ2年生ですが、昨年は控え選手ながら23つのタックル、5つのTFLを記録。今シーズン彼がフルタイムのDEとしてその才能を開花させると期待がかかります。その他のチェイス・ウィノヴィック(Chase Winovich)、ブライアン・モン(Bryan Mone)、マウリス・ハースト(Maurice Hurst)も経験は薄いもののポテンシャル的にはオールカンファレンス級との呼び声が高いです。
しかしミシガン大ディフェンス最大のチャレンジは昨年のパスディフェンスナンバーワンを誇ったセカンダリーをどう再建するか、ということです。特に運動神経だけでなく経験値がモノを言うDB陣にとって4人の先発選手を一度に失ったのは痛い。特にハイブリッドディフェンダーとしてフィールドを縦横無尽に駆け回ったジャブリル・ペッパーズ(Jabrill Peppers)のようなプレーメーカーはそう簡単に現れるものではありません。
新顔の4人にポテンシャルがあることはあるのでしょうが、彼らが成長するまでは多少の時間が必要となるかもしれません。
見どころ
もうここまで読まれたならお分かりの通り、今年のミシガン大は大きな再建の年となりますが、そんな中でも朗報なのが彼らの今季のスケジュールが比較的彼らに味方していると言うことです。特に彼らのライバルであるミシガン州立大とオハイオ州立大をホームで迎え撃てるのは強みです。また初戦となるフロリダ大戦は楽ではないでしょうが、ニュートラルサイト(テキサス州アーリントン)での試合であり尚且つミシガン大ファンは何処へでも観戦に駆けつけることを考えれば、この試合はアウェーでありながらホームのような雰囲気になる可能性も大です。
彼らにとってタフなチャレンジとなるのはペンシルバニア州立大とウィスコンシン大とのアウェーゲームです。彼らは昨年ミシガン大に土をつけられて居ますから、そのリベンジに燃えてくるでしょう。
兎にも角にも今シーズンのミシガン大は昨年までのチームとは一新して全く別の様相を醸し出すことになります。チームの強みであるディフェンスは各ポジションで選手を補填できるのか?攻守ともにプレーメーカーは現れるのか?若いOL陣の下ランアタックは機能するのか?様々な疑問が彼らに降りかかります。それもこれもハーボー監督が過去2年間でどれだけのリクルーティングをしてきたか、そしてそれらの若手がどれだけ育っているかにかかっています。コーチとしてまた一味違ったチャレンジを課せられるハーボー監督のお手並み拝見です。
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2017年度スケジュール
9月2日 | フロリダ大** |
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9月9日 | シンシナティ大 |
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9月16日 | 空軍士官学校 |
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9月23日 | パデュー大 |
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10月7日 | ミシガン州立大 |
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10月14日 | インディアナ大 |
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10月21日 | ペンシルバニア州立大 |
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10月28日 | ラトガース大 |
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11月4日 | ミネソタ大 |
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11月11日 | メリーランド大 |
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11月18日 | ウィスコンシン大 |
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11月25日 | オハイオ州立大 |
*太字はホーム
**AT&Tスタジアム(テキサス州アーリントン)
チーム情報
所在地
ミシガン州アナーバー
所属カンファレンス
Big Ten(東地区)
ホームスタジアム
ミシガンスタジアム
通算戦績
935勝334敗36分け
通算ボウルゲーム戦績
21勝24敗
ヘッドコーチ
ジム・ハーボー
20勝6敗(3年目)
【キャリア通算:78勝33敗】
前回全米優勝年度
1997年度
前回Big Ten優勝年度
2004年度
前回ボウルゲーム出場年度
2016年度(オレンジボウル)