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アーチ・マニングがテキサス大へ

アーチ・マニングがテキサス大へ

カレッジフットボールにおいてリクルーティングはチーム育成の上で最重要課題の活動となります。これでうまく行けば自ずと将来的にチームの勝ち負けに影響するといいますし、実際のところ過去10年間のリクルーティングランキングで1位を取っているアラバマ大はその間5つのナショナルタイトルを獲っていますし(2011、2012、2015、2017、2020)、また2020年のリクルーティングランキングで1位を取ったジョージア大は昨年度(2021年度)にナショナルタイトルを獲得しています。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ということでチームとしてはより有能なリクルート(高校生)をより多く囲うことができれば未来は明るいと言うことも出来ます。

そんな中、オフェンス力がモノを言う近代のフットボール界において、デキるQBを入部させることは死活問題とも言えます。なるべくなら4つ星ないし最高評価となる5つ星のQBをリクルートしてコミットさせることがチームにとっては大きな課題なのです。

そして来年2023年度に入部予定のこのクラスの高校生リクルートの中で現在最高評価を受けているQBプロスペクトがアーチ・マニング(Arch Manning)君です。

もうご存じの方も多いかと思いますが、このマニング君はアーチー・マニング(Archie Manning、元ミシシッピ大)氏を祖父に持ち、ペイトン・マニング(Payton Manning、元テネシー大)ならびにイーライ・マニング(Eli Manning、元ミシシッピ大)を叔父に持つ、サラブレッド高校生なのです。

これまでマニング君の進学先の候補地にはテキサス大の他にアラバマ大ジョージア大が挙げられており、これまで彼は何度もこの3校のキャンパスを訪れていました。他のエリートリクルートたちが進学先を公表する中、マニング君のアプローチはかなり時間をかけてじっくりと選ぶというプロセスに見受けられたため、彼が進学先を決めるのはもっと後のことかと思われていましたが・・・。

この度彼がテキサス大への進学を口頭ながら公表したのです。

なぜテキサス大?

今挙げた3校、並びにちょっと前まで候補とされいてたルイジアナ州立大およびフロリダ大はどれも名のある強豪校ばかりです。ただ、過去3年間で言うと2019年はルイジアナ州立大、2020年はアラバマ大、そして2021年はジョージア大がそれぞれ全米制覇を成し遂げており、またフロリダ大は一番最近では2008年に全米優勝。テキサス大が最後に優勝したのは2005年ということでこの5チームの中では最もナショナルタイトルから遠ざかっているチームと言えます。

テキサス大は言わずとしれたカレッジフットボール界の強豪校であり、またブランド力も全米で3つの指に入るとも言われるモンスタースクール。ただここ最近はテキサス大のスタンダードを考えると低迷していると言わざるを得ず、そのせいでリクルートたちがテキサス州以外のチームに流出するなど悪循環が続いていました。

昨年そんな悪しきトレンドを打ち破るために、大学は当時アラバマ大でオフェンシブコーディネーターを務めていたスティーヴ・サーキジアン(Steve Sarkisian)氏を新監督として招聘。名門復活を彼に託したのでした。


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テキサス大のスティーヴ・サーキジアン監督

サーキジアン氏は現役時代ブリガムヤング大でQBとして活躍。同校はジム・マクマホン(Jim McMahon)氏、タイ・デトマー(Ty Detmer)氏、スティーヴ・ヤング(Steve Young)氏といった名QBを輩出しており、サーキジアン氏もそのレジェンドたちに名を連ねる名選手でした。

コーチングの道に入ってからは主にサザンカリフォルニア大でアシスタントを務め、その間にチームはピート・キャロル(Pete Carroll、現シアトルシーホークス)監督の元でナショナルタイトルも獲得しています(2003年)。その後2009年にワシントン大のHCに就任。さらに2014年にはサザンカリフォルニア大から白羽の矢が立って古巣に帰還。しかしここではプライベートで問題を起こし(アルコール依存症)、2015年にはUSCとは袂を分かちます。

その後は短期間アラバマ大でアナリストを務めた後(2016年のナショナルタイトルゲームでは急遽OCに昇格)、NFLアトランタファルコンズのOCに就任。しかしここでも結果を残すことが出来ずに2シーズンで解雇。ただその後に2019年からアラバマ大のOCを2年間務め、2020年には見事にナショナルタイトルを獲る手助けをしたわけです。

アラバマ大での2年間、チームのオフェンス力は全米随一でQBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa、現マイアミドルフィンズ)およびマック・ジョーンズ(Mac Jones、現ニューイングランドペイトリオッツ)を育て上げた立役者となり、またスキーム的にも他のチームを寄せ付けない一段階上のものを持っており、アラバマ大オフェンスにはなくてはならない存在となっていました。


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2020年度CFPタイトルゲームでのマック・ジョーンズとサーキジアン氏。この時既にサーキジアン氏のテキサス大入りは決まっていた

そのオフェンスを古豪復活の礎にすべくテキサス大は2021年にサーキジアン氏を呼び寄せましたが、昨年は5勝7敗と負け越し、ボウルゲームも4年ぶりに出場を逃してしまいました。

ただ、チーム育成の鍵となるリクルーティングにおいては、2020年度は全米5位とし、またオフにオハイオ州立大から元5つ星QBクイン・ユワーズ(Quinn Ewers)を転校生として迎え、タレントの質が上がりそうな気配は十分あります。

大学としての知名度、サーキジアン監督のオフェンス知識、そして何よりもすでに天下を取っているアラバマ大やジョージア大と違い、これから伸びしろがある大学において自身の手で天下を取り古豪復活の立役者となるというシナリオ、これらを加味した上でマニング君がテキサス大進学を決めたのかもしれません。


マニング君の決断の余波

過去何ヶ月にも渡りマニング君の進学先には多くのメディアが注目してきましたが、これによって2023年のリクルーティングクラスの大きなニュースはとりあえず一段落といったところでしょうか。

とはいってもまだまだ逸材と呼ばれる高校生たちの中には進学先を決めかねている選手も多々おり、それらの選手の動向も気になるといえば気になります。

(個人的には高校生のリクルーティングに一喜一憂したくないのですが)

ただ、マニング君がテキサス大進学を決めたことでそれに伴う余波も生まれる可能性はあります。

例えばジョージア大ですが、ちょっと前までは「アーチ・マニング争奪戦」でフロントランナーだと目されていましたが、この超逸材を逃したことでジョージア大は次なるQB候補をプッシュしていかなければならなくなるでしょう。現在先発として残っているのは5年目のステソン・ベネット(Stetson Bennett)であり、彼のバックアップであったJ.T.ダニエルズ(J.T. Daniels)はウエストバージニア大へ転校してしまいました。

アラバマ大には昨年ハイズマントロフィーを受賞したブライス・ヤング(Bryce Young)が健在。ただ彼は来るシーズンがカレッジ最後の年と噂されていますから、彼の後継ぎは必要となってきます。それがマニング君であったら良かったのでしょうけれど、彼らはマニング君獲得の可能性が高くないと察したのか、先に4つ星QBのイーライ・ホルステイン(Eli Holstein)君にスカラシップ(奨学金)をオファーして彼からのコミットを取り付けています。

勝てないレースにしがみつくよりも、確実に確保できるホルステイン君で手を売ったというところでしょうか。

またチームだけでなく未だ進学先を決めていない選手たち、特にレシーバー(WR/TE)の高校生たちにとってもマニング君のテキサス大進学は少なからず影響を及ぼすかもしれません。

一世一代とも言える彼のチームメートとしてテキサス大復興の担い手となりたい、そう思ってテキサス大にコミットし出す高校生もひょっとしたら出てくるかもしれません。そしてそれによってそれらの選手をターゲットにしていた大学が的を軌道修正しなければいかなくなるなんてことも・・・。

それを考えると一介の高校生の決断がこういった風に連鎖反応的な影響を及ぼす可能性を秘めているのですから、マニング君がそれだけのポテンシャルを秘めている高校生だということができます。

マニング君は現在まだ高校生。来たる2022年度が高校最後の年ということで、自分を取り巻く環境が自分自身ないしチームメイトに悪影響を及ぼしかねないとして、このタイミングでテキサス大にコミットしメディアからの過激な報道合戦をシャットダウンしたとも取れますが、どちらにしても今年の高校でのシーズンにおいても彼の出来は一挙手一投足注目を浴びることは間違いありません。

願わくば大きな怪我をすることなく無事高校キャリアを終えてテキサス大での勇姿を拝みたいところです。入部したらしたで、先に紹介したユワーズやその他のQBとの先発争いも待っていることでしょうし、その際にはさらなる注目を集めることでしょう。とはいえ、名門ながらそういったスポットライトからちょっと遠ざかっていたテキサス大としては、それだけでも儲け物というところ。

あとはサーキジアン監督がこれらの逸材たちをどう育て上げるかにかかっていますが、それはまた別の話・・・。

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