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2020年度全米大学王座決定戦プレビュー④【注目のマッチアップ】

2020年度全米大学王座決定戦プレビュー④【注目のマッチアップ】

CFP(カレッジフットボールプレーオフ)ナショナルチャンピオンシップまでいよいよ数日。今回のプレビュー第4弾は試合で注目していただきたいマッチアップの紹介です。

アラバマ大には歴代最高QBレーティング(203)を誇るマック・ジョーンズ(Mac Jones)がおり、一方でオハイオ州立大には波に乗るジャスティン・フィールズ(Justin Fields)が健在。彼らの投げ合いに注目が集まりますが、一方で当然彼ら同士が直接対決するわけではないわけです。それはオフェンス対ディフェンス、ディフェンス対オフェンスという構図でありそれぞれのポジションでのマッチアップの良し悪しが試合を決定づけるとも言えます。

とういことで数あるマッチングの中でも試合の結果を左右するようなポジション・ユニット・個人選手同士の対決を厳選してお届けしたいと思います。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

デヴォンテ・スミス vs ショーン・ウェイド

今季ハイズマントロフィーを獲得したアラバマ大WRデヴォンテ・スミス(DeVonta Smith)。彼はその他にも数々の個人賞を総なめして2020年度シーズンの顔とも言える選手にまで成長しました。

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当然彼のパフォーマンスに一番の注目が集まるでしょうし、オハイオ州立大だってスミスをいかに抑え込むかを考えてくるに違いありません。当然スミスほどのタレントを一人でカバーすることは出来ませんしそれにはLB・DB陣の連帯が不可欠となりますが、やはり見どころとなるのはスミスにゲームを通してつきまとうことになると思われるCBショーン・ウェイド(Shaun Wade)との対決です。

ウェイドはスミスと共に今季のオールアメリカンで1stチームに選出された逸材。ウェイド本人も当然スミスと対峙することになることは百も承知ですし、「対戦するのが待ちきれない」と全米最高峰のWRをディフェンスすることに気合が入っているようです。

少々アグレッシブすぎる点が気になるところではありますが、主力のスミスのプロダクションを抑止できればチームにとってはこれとない追い風になるわけですから、ウェイドにかかる期待は大変大きなものになります。また昨年ドラフト入りせずに今季戻ってきたせいでウェイドのドラフトでの株は下がってしまったと言われています。それを取り返すにはスミスとの対決はもってこいですが、逆にこてんぱんにやられてしまうと身も蓋もないことになりかねません。


トレイ・サーモン vs アラバマ大フロントセブン

ここ3試合におけるオハイオ州立大のRBトレイ・サーモン(Trey Sermon)の活躍は目覚ましく、最近3試合で636ヤードを荒稼ぎするパフォーマンスを見せています。この間の1試合平均のランヤードが200ヤード以上なのですから彼のピークがここ一番というタイミングで表れているわけです。

アラバマ大の今季のランディフェンスは全米11位となる1試合平均約110ヤード。この数字だけ見れば当然現在1試合平均で200ヤード以上を走るサーモンに軍配が上がりそうです。もちろんそんな単純計算で結果をはじき出すことは出来ませんが、鬼神のごとしサーモンの走りを見れば一体誰が彼を止められるのか見当もつきません。

得点力の高いアラバマ大オフェンスに対抗するためにオハイオ州立大はとにかく少しでも長く自身のドライブを継続させてジョーンズら点取り軍団をベンチに引き止めておきたいところ。そのためにもサーモンのランアタックは必要不可欠な材料であり、アラバマ大としても彼に走られまくって流れをつかめなくなるとそのままズルズルとオハイオ州立ペースに持ち込まれる可能性は十分あります。

サーモンの走りはパワーで押し切るタイプであり、ファーストコンタクトでスローダウンさせられないと7ヤード8ヤードを一気に稼がれるのはもちろん、そのまま2列目を超えていかれることも大いに考えられます。1stダウンや2ndダウンで長い距離を稼がれるとアラバマ大ディフェンスとしては長い夜となるでしょう。

アラバマ大OL vs オハイオ州立大DL

今季授与された様々なアワードを見ると、アラバマ大オフェンス陣が賞を総なめしたことが目立ちました。QBジョーンズ、WRスミス、RBナジー・ハリス(Najee Harris)らスキルポジションプレーヤーの受賞はもちろんのこと、ベストセンターに贈られるレミントン賞ランドン・ディッカーソン(Landon Dickerson)、ベストインテリアラインマンに贈られるアウトランドトロフィーをOTアレックス・レザーウッド(Alex Leatherwood)が獲得。賞レースだけ見ればこのユニットに敵うディフェンスがそう簡単に現れるとは思えません。

このOL陣を盾にジョーンズは次々とパスを成功させてきたわけですが、当然がポケット内で冷静沈着で居られれば居られるほどディフェンス陣にとってタレント揃いのレシーバー陣をディフェンスするのは難しくなります。

ですからこのアラバマ大オフェンスの調子を少しでも狂わせるためにはオハイオ州立大DL陣がなんとしてでもジョーンズにプレシャーをかけ続けなければならないわけです。そしてそれを成すにはパスラッシュにてアラバマ大OLに揺さぶりを掛ける必要がでてきます。

そこにきてオハイオ州立大として朗報と言えるのは、アラバマ大の前出のセンターであるディッカーソンがSEC優勝決定戦で膝を負傷してこの試合に出場することが出来ないことです。バックアップのクリス・オーウェンズ(Chris Owens)は今季2度しか先発出場の機会がなくしかもそのうち1試合はOTとしての出場。ノートルダム大戦では問題なくプレーしましたが、彼とオールアメリカン(2ndチーム)DTであるハスケル・ギャレット(Haskell Garrett)との一騎打ちも見どころとなりそうです。

ジャスティン・フィールズ vs アラバマ大ディフェンス

オハイオ州立大勝利の鍵を握っていると言われるのがQBジャスティン・フィールズです。クレムソン大で負った腰部への怪我の具合が気がかりですが、フルパワーのフィールズはパサーとしてもスクランブラーとしても全米随一の能力をもつ選手です。

特にクレムソン大戦では自己最高となるパス成功率78.6%の385ヤードに6TD(1INT)というプレーを披露してくれました。この神がかったプレーがタイトルゲームでも再現されればいかにアラバマ大といえど大量失点は免れません。

しかもアラバマ大は走れるQBに弱いという歴史があります。遡ればキャム・ニュートン(Cam Newtown、元アラバマ大、現ニューイングランドペイトリオッツ)、ジョニー・マンゼル(Johnny Manziel、元テキサスA&M大)、デショーン・ワトソン(Deshaun Watson、元クレムソン大、現ヒューストンテキサンズ)、そして2年前にタイトルゲームで対戦したクレムソン大のローレンスと今挙げた選手らにことごとくやられています。

フィールズも系統からすれば今挙げたQBと同じであり、また今季12試合をこなしてきたアラバマ大ではありますが、彼のようなタイプのQBとの対戦は未だありません。ディープパスもよし、下がれば2列目まで走られる、もしくはスクランブルで2列目に入り込んだレシーバーにもボールを放れるとなればアラバマ大ディフェンスとの完全なるミスマッチでそれこそ2018年度のタイトルゲームの再来となりかねません。

クリス・オラヴェ vs パトリック・サーテイン・II

シュガーボウルではQBフィールズにとっていかにWRクリス・オラヴェ(Chris Olave)がかけがえのない武器だったを再確認させてくれました。オラヴェが欠場したBig Tenカンファレンスのノースウエスタン大戦でフィールズは114ヤードに0TD(2INT)と撃沈。しかし彼が復帰したクレムソン大戦でフィールズはオラヴェへトータル132ヤード(2TD)のパスをつなぎ、自身も合計6つものTDを量産したからです。

オハイオ州立大のパスアタックにおいてオラヴェが主戦力であることは間違いなく、それはアラバマ大で言うところのスミスと同じポジョションにあります。ただスミスとオラヴェでは明らかにタレントに差がありますから、タイトル戦で栄冠を手にするにはオラヴェが自己最高レベルのパフォーマンスを見せる必要が出てきます。

そのオラヴェと対峙するのがアラバマ大CBパトリック・サーテイン・II(Patrick Surtain II)です。サーテインは今季彼がチェックするWRから実にたった1つしかTDを奪われていないという逸材。また先のローズボウルでも自身のターゲットに1度しかパスを通させないという鉄壁の陣を張っています。

次期NFLドラフトでもDB界隈では最も注目されている選手の一人であり、この頂上決戦でオラヴェを完璧に抑えることができればさらにサーテインの株は上がることでしょう。

オハイオ州立大にはギャレット・ウィルソン(Garrett Wilson)や二人のTE(ジェレミー・ラッカート/Jeremy Ruckert、ルーク・ファレル/Luke Farrell)というターゲットが揃っては居ますが、ここぞという時の頼りとなるのはやはりオラヴェ。サーテインがオラヴェを抑えるか、オラヴェがサーテインを超えていくか・・・。見応えたっぷりです。

ナジー・ハリス vs オハイオ州立大フロントセブン

最優秀RB賞であるドーク・ウォーカー賞を受賞したばかりのアラバマ大RBナジー・ハリスは最近2試合で303ランヤード(46キャリー)という堅実な数字を残しています。先に紹介したオハイオ州立大のサーモンとは数字的に比べ物になりませんが、サーモンと違うのはハリスはこのぐらいの数字をほぼシーズン通してコンスタントに叩き出してきたことです。

WRスミスに相手ディフェンスの最大の焦点が当てられることは目に見えていますから、このタイトルゲームにおいてハリスの活躍が更に期待されることになりそうです。

このハリスに立ちはだかるオハイオ州立大のフロントセブンは先日のクレムソン大で相手にたったの44ヤードしか走らせませんでした。しかし、クレムソン大のRBトラヴィス・エティエン(Travis Etienne)は来年以降プロでもやれるだけの能力を持っている選手ではありますが、今年のハリスはエティエンとは別次元の選手であり今の所誰も彼を止めることが出来ていません。

アラバマ大としては是非ともハリスによるランゲームを確立して相手ディフェンスにランアタックを予測する布陣を取らせたいところ。そうなればQBジョーンズへのプレッシャーも軽減することでしょうし、そのことでフィールドを大きく使えるはずです。

ただもしハリスが結果を残せなくなると当然均衡を破るためにジョーンズはパスに頼らざるを得なくなります。いくら彼が今季最高のQBレーティングを持つQBだとしても、この大舞台でほころびがでないとは言い切れません。オハイオ州立大はスクリメージバトルに勝ち、ハリスのロングゲインを防いでアラバマ大の攻撃を単調化することができれば、試合のどこかでジョーンズを捕まえるチャンスが訪れるかもしれません。

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