NFL入りしそうなカレッジコーチ三選(プラスα)

NFLでは先週末ワイルドカードラウンドが終了し、前年度覇者ニューイングランドペイトリオッツテネシータイタンズに敗れ、ニューオーリンズセインツミネソタバイキングスに敗れるという波乱が起きました。負けたチームはそれぞれトム・ブレディ(Tom Brady、元ミシガン大)とドリュー・ブリーズ(Drew Brees、元パデュー大)というベテランQBを擁しており、この2チームが敗れるというのは何か一時代の過渡期を迎えているようにも感じますが・・・。

2月のスーパーボウルまでプレーオフの熱戦は続いていくわけですが、一方で既にプレーオフに進出できなかったチームは次期シーズンのためのテコ入れに入っています。特にシーズン途中ないしはシーズン後に監督を解雇した数チームにとって新たな監督を探し出すのは最重要課題なわけで、そのようなチーム(ワシントンレッドスキンズニューヨークジャイアンツカロライナパンサーズクリーブランドブラウンズダラスカウボーイズ)がどの人物にチーム再建を託すのか注目を浴びてきました。

その中でもワシントンレッドスキンズはカロライナパンサーズを解雇されたロン・リヴェラ(Ron Rivera)氏を既に新HCに起用を決めましたし、つい先刻ダラスカウボーイズは元グリーンベイパッカーズ監督のマイク・マッカーシー(Mike McCarthy)氏と契約を結んだという報道が流れました。

残りのチームのHCに誰が起用されるか気になるところですが、その候補には何人かのカレッジフットボールコーチの名前が挙がっています。カレッジからNFLに移って成功を収めた監督というのは非常に稀ですが、近年はNFLのオフェンスがカレッジ寄りになってきているという話もあり、少なくともNFLでHC職に空きができると毎回カレッジからも候補者が湧き出ています。

クリーブランドブラウンズはNFLでの経験のある監督に絞ると明言していますから、残すはニューヨークジャイアンツとカロライナパンサーズということになりますが、果たしてカレッジレベルからプロレベルに挑戦する人物が現れるのでしょうか?

そこで今回はカレッジフットボール界で現在NFLから注目されている、もしくはプロ入りも考えられそうな監督たち3人(おまけつき)を紹介したいと思います。

マット・ルール(ベイラー大)

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現在もっともNFLに近い男とされるのが現ベイラー大監督のマット・ルール(Matt Rhule)監督です。ヘッドコーチとしての経験は7年しかありませんが、2012年に1年だけニューヨークジャイアンツでアシスタントOLコーチ(OLコーチのアシスタント)を務めており、NFLでの経験が少しだけある人物です。

オフェンス畑で鳴らしたルール監督は2013年から4年間テンプル大を指揮。テンプル大といえばカレッジフットボール界でも弱小と言われてきたチームでしたが、3年目には早くも10勝4敗と二桁勝利シーズンを達成。この年には全米9位だったノートルダム大と激戦を繰り広げるなど今までのテンプル大では考えられなかった強さを見せていました。

その翌年には10勝3敗でアメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)を制覇。ここまでのテンプル大での成果が評価され2017年にはBig 12カンファンレス所属のベイラー大に移籍しました。

ルール監督がベイラー大へ移籍したのはある程度の驚きを与えました。というのも当時ベイラー大はアート・ブライルス(Art Briles)前体制下で明らかになった選手たちの婦女暴行事件などでチーム状況はボロボロ。ブライルス氏はもちろんのこと、体育局長ならびに大学長が辞任するなど周囲の状況は崩壊していたのです。

ベイラー大も長いことテンプル大のように低迷してきたチームでしたがブライルス氏の下で急成長しBig 12カンファレンスタイトルを2連覇しロバート・グリフィン・III(Robert Griffin III、現ボルティモアレイヴンズQB)のようなハイズマントロフィー受賞者を輩出するほどになっていました。しかし一連のスキャンダルでリクルーティング面で大ダメージを受け、また若い選手が多数流出するなどし、チームは過去の暗黒時代へ逆戻りすると誰しもが思ったのでした。

そんな渦中に飛び込んでいったルール監督。当然初年度は1勝11敗と惨敗しましたが、翌年には7勝6敗と早くも勝ち越しを達し。そして今年は11勝3敗で最後までプレーオフ出場をかけて争うほどのチームに変革を遂げたのです。

テンプル大そしてベイラー大でたった3年でチームを大きくリフォームしたその手腕がNFLチームから熱視線を注がれている理由だと言えるでしょう。

【更新】

カロライナパンサーズの新監督に起用されました。


リンカーン・ライリー(オクラホマ大)

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現在オクラホマ大で監督を務めるリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督の名前もここ1、2年の間NFLでやれる監督として名前が挙がってきています。

2003年から2009年までテキサス工科大でアシスタントコーチ(GA含む)を務めてきたライリー監督は当時チームを率いていたマイク・リーチ(Mike Leach、現ワシントン州立大)から超パス重視オフェンスである「エアレイドオフェンス」を叩き込まれ、同じくリーチ監督の弟子であるラフィン・マクニール(Ruffin McNeil)監督が指揮したイーストカロライナ大で彼の下オフェンシブコーディネーターを務めました。

そして2015年に当時のオクラホマ大監督だったボブ・ストゥープス(Bob Stoops)氏から新OC就任の打診がありそれを受理。その2年後には引退したストゥープス氏の直名を受けてオクラホマ大監督に就任。いきなり12勝2敗でCFPに進出し、ハイズマントロフィーを受賞するに至ったベイカー・メイフィールド(Baker Mayfield、現クリーブランドブラウンズ)を指導すると、翌年の2018年には再び12勝2敗でCFPに出場。なんと2年連続となるハイズマントロフィー受賞QBカイラー・マレー(Kyler Murray、現アリゾナカーディナルス)を輩出するなどし「QB育成の天才」とまで言われました。

さらに2019年度には元アラバマ大QBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)を迎え入れ、パスに弱みを持つと言われるハーツを鍛え直し、また彼にあったオフェンスを導入することによって3年連続12勝2敗にプレーオフ進出という偉業を達成。ハーツはハイズマントロフィーこそ獲り損ねましたが、投票数ではジョー・バロウ(Joe Burrow、ルイジアナ州立大QB)に次ぐ2位につけ、「QBマスター」としての地位を確立しました。

ライリー監督はそのコーチングキャリアをすべてカレッジレベルで過ごしてきておりプロでの経験は皆無ですが、先にも述べてきたようにプロオフェンスがカレッジよりになってきているということでライリー監督がNFLでもやれるのではないかという声が高まっているのです。実際おなじリーチ監督の教え子であるクリフ・キングスバリー(Kliff Kingsbury、元テキサス工科大監督)監督はNFLでの経験(選手として以外)が皆無出会ったのにも関わらず、2019年度シーズンからアリゾナカーディナルスを指揮。5勝10分けと満足いく結果は得られませんでしたが、プロでチャンスを得る事ができています。


ダン・マレン(フロリダ大)

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フロリダ大ダン・マレン(Dan Mullen)監督の名前も次期NFL監督候補の中にちらほら見られます。彼もライリー監督と同じくNFLでの経験は皆無ですが、QB育成に関しては有数の腕を持っていると言われます。

マレン監督のコーチングキャリアにおいて大きな転機となったのはボーリンググリーン州立大アーバン・マイヤー(Urban Meyer)元監督の下でQBコーチを務めたことでしょう。マイヤー元監督はここからユタ大、さらにはフロリダ大とチームを替えていきますが、マレン監督もマイヤー氏に追随してマイヤー氏の帝王学を叩き込まれていきます。

QBコーチとしてはユタ大で2005年のアレックス・スミス(Alex Smith、現ワシントンレッドスキンズ)、フロリダ大でティム・ティーボ(Tim Tebow)を育て、2004年にはスミスを擁してユタ大は全勝し、スミスは2005年のNFLドラフトで総合1位でサンフランシスコ49ersから指名されます。また2008年度にはティーボを擁してナショナルタイトルを獲得する影の立役者となり当時のアシスタントコーチ界隈でマレン監督は熱視線を浴びるまでに至ったのです。

そうして2009年度シーズからは彼の初めてのHC職となるミシシッピ州立大監督に就任。所属するSEC(サウスイースタンカンファレンス)で鳴かず飛ばずだったミシシッピ州立大を育成し2014年度シーズンには大学史上初となる全米ランキング1位(第10週目)を獲得するなど飛ぶ鳥をも落とす勢いをもつコーチにまで成長したのです。その時チームでQBを務めていたのが現ダラスカウボーイズのダーク・プレスコット(Dak Prescott)でした。

そして2018年からはかつてオフェンシブコーディネーターを務めたフロリダ大に凱旋します。ここでは1年目に10勝3敗、そして2019年度は11勝2敗と確実に結果を残しフロリダ大の将来は明るいと見られていますが・・・。

実際彼がNFLチームから注目を浴びていることを尋ねられた時「もしNFLチームが声をかけてきたら間違いなく耳を傾けるでしょう」とプロレベルでのチャンレンジにもある程度の興味を持っている模様。今年マレン監督の名前が挙がったのはダラスカウボーイズがジェイソン・ギャレット(Jason Garrett)監督と袂を分かつと噂されたからで、かつて指導したQBプレスコットの才能をもっと引き出してくれるかもしれないということでマレン監督に白羽の矢が立つのでは?という背景がありました。

しかし前述の通りカウボーイズはマッカーシー氏に再建を託すことにしたようですが、今年ではないとしても彼がフロリダ大で成功を収めるほどNFLからのラブコールは増えていくことでしょう。


アーバン・マイヤー(元オハイオ州立大)

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現在引退中ですが、これまで行く先々で成功を収めてきたアーバン・マイヤー(Urban Meyer)氏にもまた現場復帰を促すような噂が跡を絶ちません。

既述の通りマイヤー監督はボーリンググリーン州立大でHCを拝命して以来速攻で結果を残すことによりチームを乗り換えユタ大で完全無敗シーズンを達成すると2005年からフロリダ大の監督に就任。2006年と2008年にナショナルタイトルを獲得しますが、2010年度シーズン後に自身の健康上の理由で突如カレッジフットボール界から引退してしまいます。

しかし2012年にはかつて彼のコーチングのルーツでもあるオハイオ州立大の監督就任のために現場復帰。2014年度にはこの年から導入されたCFPナショナルタイトルゲームに勝利して自身3つ目のナショナルタイトルを獲得し、アラバマ大ニック・セイバン(Nick Saban)監督と並び称される名将として活躍しました。

が、再びマイヤー監督に病魔が忍び寄り2018年度シーズン後に再び現場から身を引くことを決意。それ以降はFOXスポーツのスタジオ解説者としてその英知をいかんなく視聴者に披露してきています。

引退したもののマイヤー監督が三度復帰するのではないかという憶測は後を絶たず、最近ではワシントンレッドスキンズの試合を観戦したりダラスカウボーイズの監督職は「この世で最も偉大な仕事だ」と色気づいてみたり・・・。どちらのチームも既に次期監督を決めてしまいましたが、現在まだ55歳ということで健康状況さえ改善されればカレッジであれプロであれまたサイドラインに戻ってくる可能性はありそうですから、彼の名前も今後しばらく噂として出てくることでしょう。

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