いよいよ始まった今年度のカレッジフットボール。ここ数日は私も仕事で忙しくなかなかサイトを更新できずにいましたが、その間すでに今季のドラマは起き始めていました。
今季の開幕戦ウィークはたくさんの目玉マッチアップがあり、順当に勝った者、番狂わせを食らった者と大きく別れました。ざっとこれまでの主な試合結果を振り返ってみたいと思います。
アラバマ大(全米1位)52、サザンカリフォルニア大(全米20位)6
3連覇を目指すアラバマ大はテキサス州アーリントンにて全米20位のサザンカリフォルニア大を初戦に迎えました。アラバマ大にとっては非常にスローな出だしでファンを心配させましたが、終わってみれば52対6と圧勝。この試合では途中出場の1年生QBジャレン・ハーツ(Jalen Hurts)が活躍。118パスヤードに2TDを記録し、彼のデビューを飾りました。先発のブレイク・バーネット(Blake Barnett)の動きは固く調子が出ませんでしたが、後半再び出場し6回中5度のパスを成功させ1TDを含む100パスヤードを記録しました。ディフェンスは相変わらずの強さを見せサザンカリフォルニア大オフェンスに仕事をさせず、一つのTDも与えませんでした。サザンカリフォルニア大がTDを奪えず負けたのは1997年以来のことらしいですから、いかにアラバマ大ディフェンスがトロジャンズを押さえ込んでいたかが解ると思います。ニック・セイバン(Nick Saban)監督にしてみれば満足の行く試合ではなかったということですが、3連覇に向けいいスタートを切ったアラバマ大でした。
クレムソン大(全米2位)19、アーバン大 13
昨年準優勝のクレムソン大がアーバン大に乗り込んで行われたこのマッチアップ。全米2位のチームとしてはおおよそ不名誉とも言える僅差でアーバン大から辛くも白星を奪いました。もちろん今季もクレムソン大がプレーオフ進出を語る上で重要なチームとなることに変わりはありませんが、格下ともいえるアーバン大に手こずったことは少なくとも多少の不安を提示することになりました。ハイズマントロフィー候補QBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson)をしてもリズムをつかめなかったオフェンス陣でしたが、若いディフェンス陣がアーバン大オフェンスに見事立ちはだかったのは朗報です。逆のことがアーバン大にも言え、彼らが再び日の目を見るには攻撃陣が確かな結果を残す必要があります。さもなければヘッドコーチ、ガス・マルザーン(Gus Malzahn)監督の去就に関わってくることになります。
ヒューストン大(全米15位)33、オクラホマ大(全米3位)23
全米15位のヒューストン大が第3Qに14点を奪い、さらに俗に言う「キックシックス(相手のロングFGが届かず、逆にそれをリターンしてTDを奪うプレーのこと)」が決まり試合の流れを決定付け、ヒューストン大が3位のオクラホマ大に早くも土を付けました。オクラホマ大のトータルヤードが393ヤード、ヒューストン大のそれが410ヤードと攻撃面では均衡しましたが、試合を決定づけたのは攻撃時間とターンオーバーでした。ヒューストン大が攻撃権を行使していた時間が35分だったのに対しオクラホマ大が25分弱と明らかにヒューストン大が試合の流れをコントロールしていました。またオクラホマ大が犯した2つのターンオーバーも響きました。
オクラホマ大QBベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)は2つのTDを含む323パスヤードを記録するなど彼自身は悪くない出来でした。ただメイフィールドだけでは試合には勝てないということです。
ヒューストン大のQBグレッグ・ワード・ジュニア(Greg Ward Jr.)もメイフィールドに負けじと劣らず、321パスヤード(2TD)を記録。彼のメインターゲットとなったWRスティーヴン・ダンバー(Steven Dunbar)はそのうち125ヤードを補球しました。しかしヒューストン大が光ったのは守備陣の活躍です。特に後半はオクラホマ大にたったの6点しか与えず、彼らの反撃の芽を摘みました。
ヒューストン大にとってはこの勝利はまたとないチャンスで次のランキングで一気に順位を上げることが予想されます。パワー5カンファレス外のチームとしてプレーオフ進出に食い込むにはもってこいの出だしです。一方オクラホマ大にとっては痛い敗戦に変わりはありませんが、まだ流れを取り戻す可能性は十分あります。特に2週後のオハイオ州立大との一戦に勝てば順位を再び上げこの敗戦を帳消しにすることも可能です。が、もしこの試合に負けることがあれば恐らくオクラホマ大のプレーオフ進出の可能性は限りなくゼロになってしまうでしょう。
ウィスコンシン大 16 、ルイジアナ州立大(全米5位)14
上記のオクラホマ大に続き、まさかの敗退を喫してしまったのは全米5位のルイジアナ州立大。NFLグリーンベイパッカーズのホーム、ランボーフィールドで行われた初のカレッジフットボールの試合となったこのマッチアップ。ハイズマントロフィー候補RBレナード・フォーネット(Leonard Fournette)を擁するルイジアナ州立大が有利と思われていましたが、後半だけで138ヤードを足で稼いだフォーネットもそれを得点に結びつけることが出来ませんでした。ディフェンスはウィスコンシン大オフェンスをほぼ押さえ込む事に成功しましたが、オフェンスではQBブランドン・ハリス(Brandon Harris)が冴えず思うように得点を奪うことが出来ませんでした。昨年シーズン途中で解雇されかけたレス・マイルズ(Les Miles)監督の命運を賭けたシーズンですが、何とも痛い黒星発進となってしまいました。
テネシー大(全米9位)20、アパラチアン州立大 13 [OT]
今季久しぶりにプレシーズンランキングで10位以内に入ったテネシー大でしたが、格下のアパラチアン州立大にホームで大苦戦。オーバータイムの末辛くも勝ち星を挙げました。が、どうみても現在のテネシー大は全米9位に値するとは思えず、勝ったとはいえ次のランキングでは順位を落とすと見ていいでしょう。攻撃のリズムを掴めず、ターンオーバーも2度犯し、ホームで最悪の敗戦スタートとなるかと思われましたが、アパラチアン州立大の度重なるミスと、オーバータイムでテネシー大がゴールラインでファンブルするもリカバーしてなんとかTDに持ち込めたという運も手伝い、テネシー大が土壇場で勝利を収めました。アパラチアン州立大にとっては9年前にミシガン大を破った再現か、と思われましたが残念ながら大金星を挙げるには至りませんでした。
ジョージア大(全米18位)33、ノースカロライナ大(全米22位)24
昨年膝に大怪我を追ったジョージア大RBニック・ チャブ(Nick Chubb)が見事に復活。ディフェンス陣もノースカロライナ大QBミッチ・トルビスキー(Mitch Trubisky)に仕事をさせず、今季初監督として指揮を執ったカービー・スマート(Kirby Smart)監督にデビュー戦勝利を捧げました。ノースカロライナ大は実に13回もペナルティーを犯し101ヤードを失う不手際さを見せ自滅した形になりました。ジョージア大は2016年リクルートクラスの至宝、QBジェコブ・イーソン(Jacob Eason)も出場を果たし、チームの先発QBを争うバトルはまだまだ続きそうです。
テキサスA&M大 31、UCLA(全米16位)
シーソーゲームとなったこの試合、オーバータイムにもつれ込みましたが、テキサスA&M大が勝利を引き寄せ、全米16位のUCLAから金星を奪いました。前半UCLAのスターQBジョシュ・ローゼン(Josh Rosen)を完全にシャットアウトしたテキサスA&M大でしたが、24対9とリードされたところから試合時間のこり4分からUCLAが怒濤の反撃を見せ試合を振り出しに戻しオーバータームへ突入。しかしUCLAに流れかけた勢いをテキサスA&M大が再びたぐり寄せ、開幕戦を勝利で飾りました。今季正念場となるヘッドコーチ、ケヴィン・サムリン(Kevin Sumlin)監督にとって最高の勝利となりました。一方負けたUCLAはアウェーと言う難しい状況で同点に追いつきオーバータームにまで持ち込んだ事はいい自身となるでしょうが、負けは負けな訳で今後負けられない展開となりそうです。