アラバマ大では2016年度プレーオフ時にオフェンシブコーディネーターのレーン・キフィン(Lane Kiffin)氏が去り、その後継者として任命されたスティーブ・サーキジアン(Steve Sarkisian)氏もナショナルチャンピオンシップゲーム後にNFLアトランタファルコンズへと去って行きました。そして現在のところニック・セイバン(Nick Saban)監督は新たなOCを探しているということです。
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オフシーズンに多くのスタッフを失ったアラバマ大
また最近ではオフェンシブラインコーチだったマリオ・クリストーバル(Mario Christobal)氏がオレゴン大OCに、WRコーチだったビリー・ネイビアー(Billy Napier)氏がアリゾナ州立大OCに、学生アシスタントだったドグ・ベルク(Doug Belk)氏がウエストバージニア大DBコーチに、そしてフットボール部運営部長(Director of Football Operation、DOFO=ドーフォーとも言います)のジャスティン・ディッケンズ(Justin Dickens)氏もアラバマ大を去ることになり、今後のアラバマ大コーチ陣は数人が入れ替わることになります。
(フットボール部運営部長というのはフットボール部内で選手がフットボールをプレーする以外の行動を管理する人のことです。例えば学業のことであったり、遠征時のホテルの手配であったり、その他フィールド外のチームの管理運営をするのが仕事です)
セイバン監督はディフェンス寄りのコーチですので、今回オフェンス陣から数人が抜けたことは多少なりとも痛手となりそうです。とはいえ、アシスタントコーチが上を目指してチームを乗り換えるのはこのビジネスでは常識。そこはうまくセイバン監督が彼と仕事をともに成し遂げられる適任者を探し当てることでしょう。
その中でもやはり重要なのはOCを誰にするか、です。ランアタックで相手を消耗させ、得意のディフェンス力で相手に仕事をさせないというのがセイバン監督が好むスタイルですが、これに同調できる人物を探し出さなければなりません。キフィン氏はこれまでのアラバマ大オフェンスにリードオプションとスプレッドオフェンスを織り交ぜ見事チームをチャンピオンレベルに導きました。あとを継いだ(数週間だけですが)サーキジアン氏もこれに似たオフェンスを操るということで、OCの移行はスムースに行くと思われていたところ、サーキジアン氏が退団という運びになったわけです。
新OC候補たち
今の所この空きポジションには数名の候補が名前を連ねています。
ブライアン・デイボール(Brian Daboll):ニューイングランドペイトリオッツTEコーチ
今の所デイボール氏がトップ候補であるということです。彼は1998年と1999年にミシガン州立大で学生コーチをしていたことがあるのですが、何を隠そうその時のヘッドコーチはセイバン監督でした。しかしその後は17年間プロリーグでコーチングの腕を磨いており、昨年はペイトリオッツの一員としてスーパーボウル覇者にもなっています。またクリーブランドブラウンズ、マイアミドルフィンズ、カンザスシティチーフスではOCを務めたこともあり、OCとしての経験もあるといえばあります。長続きはしませんでしたが・・・。
マイク・ロックスリー(Mike Locksley):アラバマ大アナリスト
2016年度からアラバマ大のオフェンシブアナリストとしてチームに帯同してきたロックスリー氏ですが、実は1月31日の時点で既にセイバン監督から「共同」という肩書きがついていますがOCに任命されています。話からすると当時はパスオフェンスはサーキジアン氏、ランディフェンスはロックスリー氏が担当することになっていたようですが、サーキジアン氏が居なくなった今、ロックスリー氏を単独OCに指名するというのもありえなくはないかもしれません。
マーク・ヘルフリッチ(Mark Helfrich):前オレゴン大監督
昨シーズン後にオレゴン大を解雇になったヘルフリッチ氏の名前が挙がったのはおそらく彼が単純に今無職だからでしょう。ですが、昨シーズンはズッコケてしまったものの、オレゴン大のダイナミックなオフェンスはハマれば爆発力は抜群です。ただ、これまでのアラバマ大のオフェンスにオレゴン大の超高速オフェンスがそのままインストールできるかは疑問ですが。
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チップ・ケリー(Chip Kelly):前サンフランシスコ49ers監督
チップ・ケリー氏もヘルフリッチ氏と同じく(オレゴン大繋がりというのは別として)現在どのチームにも属していないという理由だけで噂がたったのだと思います。元オレゴン大監督でフィラデルフィアイーグルス、そしてサンフランシスコ49ersとプロチームを渡り歩くも結局は失敗に終わりましたが、ケリー氏自身はアラバマ大には興味はなく、今もプロレベルでコーチングを続けたいと言っているようです。正直今後彼がNFLのヘッドコーチになれる確率は限りなく無いに等しいと思いますが・・・。ただ、セイバン監督はこれまでコーチングや私生活で失敗した有能コーチにセカンドチャンスを与え続けてきた過去があります。キフィン氏しかり、サーキジアン氏しかり、ロックスリー氏しかり。その面から言うと短期間でもケリー氏がセイバン監督とタッグを組むことは一定レベルの理解を得られそうです。多分実現しませんが。
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おそらく正式な発表は数日以内に行われることになるでしょう。
【追記】新OCにはNFLニューイングランドペイトリオッツのブライアン・デイボール氏が就任しました。詳しくはこちら。