SECのコンスピラシーセオリー?

今週末行われるアラバマ大ルイジアナ州立大の大一番は彼らが所属するサウスイースタンカンファレンス(SEC)西地区の首位争いだけでなく、SECチャンピオンシップゲーム、そしてその先に待っているカレッジフットボールプレーオフ(CFP)進出のために非常に重要なゲームとなります。今週発表されたCFPランキングにおいてアラバマ大が1位、ルイジアナ州立大が3位にランクされたからです。このランキングの上位4チームがプレーオフに進むことになり、今後残り試合が少なくなっていく中、負けたチームがそのレースから脱落していくのは目に見えており、特に既に1敗を喫しているルイジアナ州立大にとっては背水の陣で臨む今季最大級のゲームといえます。

アラバマ大はこれまで彼らの代名詞である強力ディフェンスに加え全米トップの得点数を叩き出すオフェンスも持ち合わせており、今の所無敵と言われるチーム。しかしながら同時に彼らはこれまで全ての試合でワンサイドゲームとなっており、本当の意味で強いチームと対戦してきていません。その点で言えばおそらく今回の対戦相手であるルイジアナ州立大はこれまでアラバマ大が合間見えてきたチームの中でもっとも手強いチームと言えるでしょう。

特に失点数で全米7位(1試合平均15.1失点)というディフェンス力は非常に強力です。トータルディフェンスも全米で28位ということでアラバマ大オフェンスが対峙してきたどのチームよりも手強いディフェンス陣であることは確かです。

その中核をなしてきたのがオールアメリカンLBデヴィン・ホワイト(Devin White)です。今季カレッジフットボール界でも随一と言える能力を持つホワイトはこれまでフィールドを縦横無尽に暴れまわりその存在感を見せつけてくれました。

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ルイジアナ州立大のLBデヴィン・ホワイト
 

これまで誰もアラバマ大のハイパワーオフェンスを止めることが出来ませんでしたが、ホワイト以下ルイジアナ州立大のディフェンスならそれが可能じゃないかと思われているのです。ですからこの試合ではホワイトの活躍がルイジアナ州立大に勝利をもたらしてくれるのではないかとファンの間では期待度が高まっていたのです。

しかし。

なんとこのホワイト、アラバマ大戦の前半(第1Qと2Q)に出場ができなくなったのです。

ホワイトへのターゲッティングの反則

というのは遡ること2週間前。ルイジアナ州立大はミシシッピ州立大と対戦したのですが、試合も終盤となった第4Q、ホワイトはミシシッピ州立大QBニック・フィッツパトリック(Nick Fitzpatrick)にプレッシャーをかけるのですが、この時ホワイトのヘルメットがフィッツパトリックのヘルメットに「触れた」ということで審判団はホワイトに対して「ターゲッティング」のコールを下します。「ターゲッティング」とは無防備な選手に対して首より上、つまり頭部にむけて意図的にコンタクトをとってはいけないというルールです。これは15ヤードのペナルティーであり、もし意図的な頭部へのコンタクトだと認定されるとその選手は即刻退場処分という厳しいファールです。

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大抵の場合ターゲッティングをとられるとビデオ判定に持ち込まれそれによりその頭部へのコンタクトが故意だったかそうでなかったのかが判断されることになります。また判断がきわどい曖昧な場合はターゲッティングを取られるということもルールブックには書かれており、更にいうともしターゲッティングのファールがその試合の後半に起きた場合、その選手は即刻退場の上次戦の前半も出場できないという決まりになっているのです。

ホワイトのフィッツパトリックへのコンタクトはホワイトがパスを投げ終わった後に発生したものですが、カメラのアングルだけ見ればこれが明らかな故意の頭部へのターゲッティングとは言えそうにありません。しかし審判団はビデオ判定をしたにも関わらずこのプレーをターゲッティングと認定。ホワイトは即時退場となり、しかもこのターゲッティングが第4Qに起こったためホワイトは次の試合の前半もプレーできないということになってしまったのです。

ミシシッピ州立大戦の次の週末はルイジアナ州立大はバイウェークだったため、ホワイトが出場できないという試合はバイウィークが開けた翌週となる今週末のアラバマ大戦となってしまったのです。

ターゲッティングと呼ぶにはあまりにもソフトタッチに見えたこのコンタクト。試合終了間際であり彼らの勝利は目に見えていた時に起きたこの衝撃のファール。すぐさまこの審判団の判断に批判の声が上がりました。それはルイジアナ州立大ファンだけでなくTVのアナリストや卒業生など多くの人々が悲鳴にも似た声を上げたのです。というのもアラバマ大とルイジアナ州立大という生唾モノのマッチアップにも関わらず、ホワイトのようなスター選手が試合の半分で出場出来なくなったからです。

世の中には多くのアンチアラバマ大ファンがいます。それは彼らが毎年強すぎるために別のチームが台頭するところを見てみたいと思うからです。ですからここでようやくアラバマ大に挑戦できる強豪チームが現れたのにも関わらずその中核をなすトッププレーヤーが出場できないとなるとそれだけでルイジアナ州立大がもともと勝つことが厳しいとされていたのに輪をかけて彼らにとって不利な状況となります。

これに納得いかないルイジアナ州立大ファンの一部はSECにこの判定を覆させるためにヘッドクォーターがあるアラバマ州バーミンガム市周辺に大きなビルボードを掲げるための資金をクラウドファンディングサイトで募りだしたのです。もちろんファンが声を上げたからと言って試合中に下された判断が覆るはずはなく、もっと言えばSECには判断を変えるような権限を持ち合わせていないのです。ただそれだけこのホワイトに対するターゲッティングの反則がアンフェアだと感じる人が多いということです。

SECの謀略・・・?!

しかしさらにここで話は飛躍していきます。というのもルイジアナ州立大の次戦がアラバマ大との試合であることは既に周知の事実であり、だからこそその対戦でルイジアナ州立大の先発メンバーからホワイトを排除するためにこんなターゲッティングのファールを取ったのだという、SECのコンスピラシーセオリーです。

どういうことかというと、もしアラバマ大がルイジアナ州立大に敗れると彼らのプレーオフ進出に暗雲が立ち込めるわけです。CFP優勝候補最右翼と言われるアラバマ大がSECの代表としてナショナルタイトルを確保するために、SECがルイジアナ州立大戦でアラバマ大が無事勝利をおさめることが出来るように、審判団ならびにSECはホワイトを出場停止(前半のみですが)に処すような判定を下したというのです。

たしかにアラバマ大にはこれまでの活躍からくるネームバリューというものがあります。これが時に効力を発揮することもあるでしょう。例えば先シーズン。彼らはシーズン中盤から後半にかけて首位になりプレーオフ進出最右翼とされていましたが、レギュラーシーズン最終戦のアーバン大に敗れSECタイトルゲームにも出場出来なかったのにも関わらず、最終的にプレーオフに滑り込み出来たのは彼らが「アラバマ大」だからだという話もあったくらいです。

そこでSECがアラバマ大を庇っている、アラバマ大を守るためにルイジアナ州立大に不利となるホワイトへのターゲッティングの反則を取ったのだというのが一部のファンの間でもっぱら噂です。

SECに得となるのか?

しかしアラバマ大がルイジアナ州立大に勝ってそのままプレーオフに進出することだけがSECにとって得なのでしょうか?

むしろ昨年のようにアラバマ大とジョージア大がプレーオフに出場したようにSECから2校が選ばれ、なおかつその2チームがナショナルタイトルゲームで戦うほうがよっぽどSECにとって得だとは思えないでしょうか?

もし仮にSECが自分のカンファレンスの損得勘定をしていたとしたら、むしろルイジアナ州立大がアラバマ大に競り勝ってもらったほうがSECから2チームがプレーオフに出場する可能性が高くなるとも考えれます。というのも仮にアラバマ大がルイジアナ州立大に負けたとしても、これまでの圧倒的強さをすればCFP選考委員会も1敗したアラバマ大を選ぶ可能性は大です。そしてルイジアナ州立大とジョージア大が1敗同士でカンファレンスタイトルゲームで戦えば、どちらが勝ってもSECチャンピオンとしてプレーオフ進出を成し遂げることが出来るでしょう。そうすればSECから2チームがプレーオフに顔を連ねる可能性も出てきます。

つまりアラバマ大が負けたほうがSECにとっては都合がいいとも考えられるのです。そうなればSECがアラバマ大を勝たせるためにホワイトにターゲッティングの反則を科すといのは筋違いな気がしてきます。ルイジアナ州立大がアラバマ大を倒すにはホワイトの出場は必要不可欠なのですから。

とはいえ実際SECがそのようなことを考えていたとは思えませんし、ルール上際どいプレーではターゲッティングのファールを作用するとも明記されていますので、今回のホワイトへのコールに賛否両論起こったとしても、このコールは現状のルールでは無難だったんだと思います。今後ターゲッティングとそうでないタックルを見極めるためのルール改正が行われたとしても何ら不思議ではありませんが。

 

どちらにしてもアラバマ大ほどのチームと対戦するというのに、スター選手が試合の半分も出れないというのはルイジアナ州立大にとってはとんでもないマイナス要素です。彼がフィールドに戻ってくる後半にすでに試合が決まっているような点差がついていなければよいのですが・・・。

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