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勇往邁進【2020年度第14週目レビュー】

勇往邁進【2020年度第14週目レビュー】

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ベースボール・マガジン社 (編集)

The Game of the Week

コースタルカロライナ大22、ブリガムヤング大17

今季無敗でCFPランキング18位(APでは14位)のコースタルカロライナ大。NCAA1部でも下部ディビジョンといわれるFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)から上部ディビジョンのFBS(フットボールボウルサブディビジョン)に数年前に昇格したばかりのチームとしては前例のない快進撃を続けていますが、先週末は同じく無敗の名門・ブリガムヤング大と対戦。9勝0敗同士という、レコードだけ見れば今季最大級のマッチアップは期待を裏切らない素晴らしいものになりました。

もともとリバティー大(8勝1敗)と対決予定だったコースタルカロライダ大でしたが、リバティー大部内で新型コロナウイルス感染が発生したためこの試合がキャンセルに。その代わりに急遽試合が組まれたのが無所属のブリガムヤング大でした。

お互いここまで無敗ながら手強い対戦相手と試合をしてこなかったということで彼らの評価は無敗の割にはそこまで高くありませんでした。ですからここでこの2チームが対戦できたことは自身の強さを証明するためにはまたとないチャンスだったのです。

試合の方は開始からお互いのオフェンスとディフェンスがぶつかり合う接戦。特にここまで1試合平均40点近く叩き出してきたブリガムヤング大のハイパワーオフェンスをコースタルカロライナ大のディフェンスが抑える好プレーを連発。ハイズマントロフィー候補とも言われるQBザック・ウィルソン(Zach Wilson)からパスINTを奪うなど肩を並べる接戦を繰り広げました。

前半終了間際にそのウィルソンのパスがINTされた際には、リターン時にディフェンダーらがウィルソンを執拗にブロックし続けそれがきっかけで双方総出の乱闘騒ぎに。お互いの闘志は最高潮に達したのです。

14対13のブリガムヤング大リードで折り返した後半もロースコアゲームが続きます。お互いが1つのFGを奪い17対16とブリガムヤング大が僅差のリードを守ったまま迎えた第4Q、残り時間6分半でこの日トータル132ヤードのランを見せたRB C.J.マラブル(C.J. Marable)が遂に逆転となる1ヤードTDランを決めます。

2ポイントトライを失敗したためスコアは22対17となり追う立場となったブリガムヤング大残り時間55秒で最後の攻撃のチャンスを得ます。ここまで苦戦し続けたQBウィルソンはこの大事な場面でその真価を発揮。ミドルレンジのパスを次々と成功させて残り時間3秒で相手陣内18ヤードラインに進撃。最後のプレーではウィルソンのパスがWRダックス・ミルン(Dax Milne)への成功しますが、あと1ヤードというところでディフェンダーに阻まれゴールラインを割ることができずに万事休す。奇跡の逆転劇はなりませんでした。

このエンディングを見て第34回スーパーボウルテネシータイタンズvsセントルイスラムズのこのプレーを思い浮かべた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この激闘を制したコースタルカロライナ大はこれで10勝0敗に。サンベルトカンファレンス所属チームとして開幕以来10連勝を果たしたのは彼らが初めてのこととなります。QBグレイソン・マッコール(Grayson McCall)はこの日たったの85ヤードに抑えられましたが、先にもご紹介したRBマラブルの活躍と相手QBウィルソンを240ヤード(1TD、1INT)に抑えたディフェンス陣の活躍が光りました。

ブリガムヤング大はこれで今季初黒星となり夢の完全シーズンが幻となってしまいましたが、急遽組み込まれた試合でユタ州からサウスカロライナ州まで総距離2200マイルを移動して試合をすることに合意した意気込みには拍手を贈りたいです。彼らはこの試合をする必要はなくスキップしていれば無敗でシーズンを終えることができた可能性は高かったのです。しかしあえてランクチームであるコースタルカロライナ大の挑戦を受けたのです。

どちらのチームも「パワー5」に属さない中堅校とされていますが、この試合を通して双方ともしっかりと実力を擁した本物のチームであったことを全米中のカレッジフットボールファンに見せつけてくれたのでした。


トップ25(1位~10位)

アラバマ大55、ルイジアナ州立大17

全米1位のアラバマ大(9勝0敗)は昨年度の覇者ルイジアナ州立大(3勝5敗)と対戦。昨年ルイジアナ州立大はアラバマ大を11年ぶりに破る金星をゲットしてそのまま全米のいただきへ登っていきましたが、そのリベンジに燃えるアラバマ大が55対17と相手を粉砕。見事に雪辱を果たしました。

参考記事Game of the Century II【ルイジアナ州立大vsアラバマ大リキャップ】

昨年のチームから主力選手がごっそり抜けただけでなくオフェンシブコーディネーター(Joe Brady→NFLカロライナパンサーズ)とディフェンシブコーディネーター(Dave Aranda→ベイラー大)も失ったルイジアナ州立大はディフェンディングチャンプながらここまで3勝4敗と大苦戦。そしてそれはこのアラバマ大戦でも如実に露呈されQBマック・ジョーンズ(Mac Jones)、WRデンヴォンテ・スミス(DeVonta Smith)、RBナジー・ハリス(Najee Harris)らを擁する相手オフェンスにやられ放題。

前半だけでジョーンズは300ヤード超えに4TD、スミスも約200ヤードにTD。ハリスも100ヤード超えを果たし前半終了時のスコアは45対14。前半終了間際にはジョーンズからのパスをスミスがエンドゾーン奥でミラクルキャッチ。

やられっぱなしのルイジアナ州立大ディフェンス陣に我慢の限界が達してしまったエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督はスミスのTD直後にサイドラインでブチギレ。

アラバマ大はこの後も攻撃の手を緩めることなく55点を奪い、ここまで数多く行われてきたルイジアナ州立大との対戦の歴史の中でも最多得点を記録。しっかりとリベンジを収めました。

この試合でとにかく光ったのはWRスミスの超カレッジ級タレント。231ヤードに3TDという数字もさることながら、彼のプレーメーカーとしての素質、卓越したルートのとり方、キャッチ能力が非常に目立ちました。決して全米トップクラスの俊足というわけではありませんが、しっかりとした基礎テクニックと局所での判断能力と相手を交わす際のアジリティーの高さは既にプロでもやっていけるほどのレベル。この試合を見たメディアの中からは彼をハイズマントロフィー候補に推す声も挙がっていました。

この勝利でアラバマ大はSEC(サウスイースタンカンファレンス)西地区制覇を達成。東地区を制したフロリダ大(後述)と2週間後にタイトルをかけて激突します。

ノートルダム大45、シラキュース大21

全米2位のノートルダム大(10勝0敗)はここまでたった1勝のシラキュース大(1勝9敗)と対戦。これを難なく手中にして10勝目を挙げました。この日285パスヤードに3TD(1INT)を記録したQBイアン・ブック(Ian Book)はこれでノートルダム大での総勝利試合数が29となり同校での歴代最多勝利QBに。カレッジフットボール界で知らぬ人はいない名門中の名門チームでこの様な光栄な記録を残せたことは、ある意味ハイズマントロフィーを獲得するのと同じかそれ以上意味のあることだと言えるかもしれません。

クレムソン大45、バージニア工科大10

全米3位のクレムソン大(9勝1敗)はバージニア工科大(4勝6敗)に45対10と大勝。QBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)は190ヤードのパスに甘んじましたがパスで1TD、ランで2TDと合計3つのTDに絡みしっかりと勝利に貢献。これでクレムソン大は正式にアトランティックコーストカンファレンス(ACC)の優勝決定戦進出を確保。ノートルダム大とのリマッチが決定しました。

オハイオ州立大52、ミシガン州立大12

先週チーム内で起こった新型コロナイルス感染のためにイリノイ大戦をキャンセルせざるを得なくなったオハイオ州立大(5勝0敗)は試合直前までこの試合を行えるかどうか分かりませんでした。結局ゴーサインが出て敵地であるミシガン州立大(2勝4敗)に乗り込みましたが、ライアン・デイ(Ryan Day)監督を始め先発4選手(主にOL)を含む20数名が遠征に不参加。しかしそんなハンデをハンデとも感じさせず52対12で大勝。来週のミシガン大戦に備えます。

先発Cが不在の中スナップが全く安定しませんでしたが、QBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)が自慢の運動能力と機動力でカバー。199ヤードとパスヤードは伸びませんでしたが、パスで2TDランで2TDを獲得しチームのリーダーとして格の違いを見せつけました。

テキサスA&M大31、アーバン大20

全米5位のテキサスA&M大アーバン大と対戦。第3Qを終えた時点で20対14とリードを奪われヒヤッとさせられましたが、第4Qに怒涛の17点を計上して逆転勝利。あわやの番狂わせを逃れました。

テキサスA&M大QBケレン・モンド(Kellen Mond)は196ヤードに2TDという数字を残し得点に絡みましたが、この日のオフェンスの主役はランゲーム。RBアイゼア・スピラー(Isaiah Spiller)の120ヤードを含むチームトータルで313ヤードを脚で稼ぐ力走を見せ、結果ボール所持時間が38分とアーバン大(5勝4敗)を圧倒。今季戦績を7勝1敗としてCFP出場への僅かな望みをつなぎました。

フロリダ大31、テネシー大19

SEC東地区同士の対戦となったこのマッチアップ、全米6位でCFPを視野に入れるフロリダ大(8勝1敗)がテネシー大(2勝6敗)を31対19で退けて見事地区優勝を果たし、2週間後のタイトルゲームでアラバマ大と対戦することになりました。

ランアタックでは苦戦するものの(たったの19ヤード)、エアーアタックでは422ヤードとランゲームの欠場を帳消し以上にする結果を残しました。それを支えたのはQBカイル・トラスク(Kyle Trask)。現在ハイズマントロフィーレースで最右翼とも言われる彼はこの日433ヤードに4TDと大暴れ。また彼のメインターゲットでもあるTEカイル・ピッツ(Kyle Pitts)も128ヤードを捕球。ランゲームの欠如は気になりますがフロリダ大のオフェンスは全米で見てもトップ10レベルの強力ユニット。SEC優勝決定戦でのアラバマ大との対戦が今から楽しみです。

アイオワ州立大42、ウエストバージニア大6

CFPランキング9位のアイオワ州立大ウエストバージニア大相手に42対6と大勝。難なく8勝目を収めて自身初となるBig 12カンファレンス優勝決定戦を決めました。

QBブロック・パーディ(Brock Purdy)は23回中20回のパスを成功させる冴えたプレーを見せて247ヤードに3TDを獲得。数字上ではカンファレンストップを誇るウエストバージニア大(5勝4敗)からトータル483ヤードを奪う圧倒的な強さを見せました。

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