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第14週目の見どころ【2020年度シーズン】

第14週目の見どころ【2020年度シーズン】

今年も12月に入りレギュラーシーズンも残り少なくなってきました。ここまで70試合以上の試合が新型コロナウイルスの影響で中止されたり延期されたりしており、残された数少ない日程の中で振替開催する試合をまるでパズルのピースをはめ合わせるようにパッチアップしています。

そんな中でもカンファレンスタイトルを目指す戦いは第4コーナーを迎えフィニッシュラインが近づいています。タイトルレースに絡んでいるチームらは負けられない試合が続いていきますが、カンファレンスによってはリーグ優勝決定戦出場チームが決まるまで劇的なドラマが生まれる可能性も含んでおり目が離せません。

そんな第14週目の注目の試合をピックアップしてご紹介したいと思います。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

The Game of the Week

ブリガムヤング大(13位)vs コースタルカロライナ大(18位)

従来カレッジフットボールの試合は相当先の未来までスケジュールが決まっていたりします。例えばアラバマ大は2029年にノートルダム大との対戦が、2032年にはオクラホマ大と対戦することが決まっています。今から9年後及び12年後の話です。今の勢力図で言えば大変面白そうなマッチアップではありますが、現在69歳のアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督は9年後には78歳、12年後には81歳となっており彼がその時までアラバマ大で指揮を執っているかも分からず、アラバマ大(そして対戦相手のオクラホマ大やノートルダム大も)現在のような強さを持ち合わせているかどうかも分かりません。

このようにかなり先のスケジュール(特にノンカンファレンス/交流戦)はどんどん埋まっていくものですが、ことパンデミックのせいで不確定要素盛りだくさんの今シーズンは試合開催の数日前に対戦相手が替わってしまうこともしばしばです。

今回コースタルカロライナ大(9勝0敗)は元々リバティー大(9勝1敗)との対戦を控えており、どちらもFBS(フットボールボウルサブディビジョン)参戦から数年しか経っていないのにこのような好成績を残していることからこの試合は大いに注目を集めていました。しかしリバティー大で新型コロナ感染が発生しこの試合がキャンセルに。この試合を楽しみにしていた筆者としては超がっかりさせらたのですが、そのリバティー大の代わりにコースタルカロライナ大と対戦することになったのがブリガムヤング大(9勝0敗)と聞いて、ある意味リバティー大との対戦よりも更に意味のあるマッチアップということで筆者の興奮度は急上昇したのです。

元々ブリガムヤング大は今週試合がありませんでしたから、このマッチアップが急遽決まった昨日(発表されたのは木曜日、実際決まっていたのは水曜日)からユタ州からサウスカロライナ州までの遠征を強行することになったということになります。選手やコーチはたった2、3日でコースタルカロライナ大のフィルムをブレイクダウン(分析/解析)し作戦を立て、移動して試合に備えることになったのです。まさに2020年度ならではの出来事なわけです。

移動するのは選手やコーチ、スタッフだけではありません。彼らが使用する用具や器具も合わせて移動させなければならないため、イクイップメントマネージャー(用具係)らは大型トラックで飛行機では運べないものを地上経路で運びます。その距離なんと2200マイル(約3540キロ)!

実は水曜日までにリバティー大での感染は発覚しリバティー大とコースタルカロライナ大の試合開催は危ぶまれており、同日2時頃にはブリガムヤング大が代わりにコースタルカロライナ大と対戦することが仮決定していたのです。予想走行時間は40時間ということで試合開催が決まったその瞬間から6時間掛けてトラックに積荷をまとめ、水曜日の夜9時にはトラックはサウスカロライナ州コンウェイ市へ向けて大陸横断の旅に出発していました。到着予定時刻は金曜日3時。執筆時の現在もまだ彼らはドライブ中ということになります。

どうやら予定より早く到着予定のようですが、当然試合後にはユタ州に戻らなければならないわけで、ドライバーの二人には頭が上がりません。

さてマッチアップの方ですが、APランキングで8位ながらCFPランキングでは13位に甘んじているブリガムヤング大にとってこのコースタルカロライナ大との対戦はまたとない話。というのも彼らがCFPランキングで上位に食い込めないのは彼らのストレングス・オブ・スケジュール(SOS)が低すぎるからといわれています。それはパンデミックのせいで多くのメジャーカンファレンスが交流戦を排除してカンファレンス戦のみのスケジュールに移行したから。どこのカンファレンスにも属さないブリガムヤング大はその影響でたちまち対戦相手が居なくなり、中堅FBSおよびFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)のチームとの対戦をよぎなくされたのです。

この事により彼らの対戦相手に手強い相手が居ないと判断され、現在まで9勝無敗のレコードも低評価にとどまってしまいその結果CFPランキングで13位という位置に甘んじているわけです。

しかし彼らはこれまでスコアリングオフェンスで全米9位、パスオフェンスで全米11位、トータルオフェンスで全米9位といった攻撃陣を擁して対戦相手を切り刻んできました。彼らにとって唯一ランクされた対戦相手だったボイジー州立大(当時21位)相手にですら51対17と大勝。相手が誰であれブリガムヤング大のオフェンスと止めることは簡単なことではないはずです。

その原動力となっているのはQBザック・ウィルソン(Zach Wilson)。今年3年生のウィルソンはここまでパスヤード(2512ヤード)、パスTD数(22)、QBレーティグでそれぞれ全米4位、その他のカテゴリーでも軒並み全米トップレベルの記録を重ねてきています。この数字だけ見ればウィルソンが他のトップQBらと肩を並べてハイズマントロフィー候補に挙げられてもおかしくありません。

またディフェンス陣もしっかりしており、彼らの唯一の僅差ゲームとなったテキサス大サンアントニオ校(UTSA)戦では相手のランオフェンスを72ヤードに抑えたり、今季最大の失点数を犯したヒューストン大戦(26失点)でも彼らのスターWRクリスチャン・トラハン(Christian Trahan)を3キャッチに69ヤードに抑える善戦を見せました。対戦した9チーム中6チームを14点以内に抑えた彼らのディフェンス力は無視できません。

それでもSOSの弱さを盾にブリガムヤング大を評価しない人はたくさんいる訳で、そんな彼らの目を向けさせるためにもチームは強いチームと対戦して真価を発揮したいところでした。そんな時に転がり込んできたのがこのコースタルカロライナ大との試合だった訳です。

そのコースタルカロライナ大はFBSに昇格してまだ4シーズン目ということで決してパワーハウスという訳ではありませんが、今年に限って言えばここまで9勝0敗で今季のシンデレラチームの一つとして開幕時から話題を提供してくれました。APランキングで14位、CFPランキングで18位の彼らはサンベルトカンファレンスのタイトルゲームを含め残り3試合ですが、全て勝って12勝0敗でシーズンを終え、ボウルゲームでも白星を獲得すれば13勝0敗となり、たとえCFPや「ニューイヤーズ6」ボウルに出場できなくとも歴史に名を刻む事ができるチャンスを手にしているのです。

そんなコースタルカロライナ大はリバティー大との試合がキャンセルになったことでこのまま試合をせずに来週のトロイ大戦を経て12月19日のルイジアナ大ラフィエット校とのカンファレンスタイトルゲームに備えるだけでも良かったのですが、あえてブリガムヤング大との試合を組むことに合意したことに敬意を評したいです。この試合に勝ったとしても彼らがCFPに進出できるわけでも「ニューイヤーズ6」ボウルに出場できるわけでもなく、逆に負けてしまえば無敗シーズンという勲章を手放す事になりかねません。既にカンファレンスタイトルゲーム進出を決めている彼らにとってはブリガムヤング大という手強い相手とあえて対戦してたとえ負けたとしても失うものはなにもないというわけです。

今季快進撃の要はQBグレイソン・マッコール(Grayson McCall)です。まだ1年生のマッコールですはQBレーティングで全米9位と上記のウィルソンに肩を並べるほどのポテンシャルをもつ若武者。特にチームでは3rdダウン成功率が11位とドライブを生かす能力に長けており、相手ディフェンスをじわじわと苦しめるオフェンスを率います。

ディフェンス面では往々にして仕事をこなしますが局所でオフェンスほどの冴えが見られないのが玉に瑕。しかしパスディフェンスは1試合平均180ヤード弱しか相手に許しておらず、1試合平均パスヤードで300ヤード超えしているウィルソンとどう対峙するのかが見ものです。

9勝無敗同士のチームとして「パワー5」チーム並の実績を引っさげて対戦するこの2チーム。ESPNの名物プリゲームショーである「カレッジゲームデー(College Gameday)」もこの対戦が行われるコースタルカロライナ大キャンパスから生放送を行うということで「グループオブ5」同士の対戦としては急造マッチアップの割に注目度は飛び抜けています。果たして無敗を守るのはどちらのチームか・・・。


Top 25チーム

アラバマ大(1位)@ ルイジアナ州立大

全米1位のアラバマ大(8勝0敗)と昨年の全米覇者であるルイジアナ州立大(3勝4敗)の対戦。アラバマ大がこの試合に勝つとSEC西地区優勝が決まります。昨年の雪辱を晴らすためにアラバマ大が勢力を上げてこの試合に臨むでしょう。ラスベガスのオッズメーカーによるとこの子アイデアルイジアナ州立大がディフェンディングチャンピオンとしては史上最大級のアンダードッグに位置づけられているのだとか。またルイジアナ州立大のナイトゲームは従来ものすごい歓声に包まれアウェーチームにやりづらいことで知られていますが(筆者も経験済み)、コロナのせいでその完成も激減してしまうこともホームチームとしては残念なところ。

クレムソン大(3位)@ バージニア工科大

クレムソン大(8勝1敗)はこのバージニア工科大(4勝5敗)が最終戦であり、この試合に勝てばACCタイトルゲームに進出してノートルダム大との再戦を決めます。

オハイオ州立大(4位)@ ミシガン州立大

既に2試合がキャンセルになりあと1試合でも開催不能になるとBig Tenタイトルゲームに出場すら出来ないという切羽詰まった状況に置かれたオハイオ州立大(4勝0敗)。先週彼らはコロナウイルス感染のせいでイリノイ大戦をキャンセルしこのミシガン州立大(2勝3敗)の試合開催が危ぶまれていましたが、どうやら開催の目処がたった模様。ただライアン・デイ(Ryan Day)監督が自身のコロナ感染のせいでこの試合を指揮できませんし、チーム自体も感染者やコンタクトトレーシング(接触者追跡)の影響で人手不足。ここで不甲斐ない試合をしてしまうとCFP選考委員会の印象を下げてしまいかねません。

テキサスA&M大(5位)@ アーバン大

CFP5位ながら自力でCFP進出の望みが薄いテキサスA&M大(6勝1敗)はその望みを絶やさないためにも今週末のアーバン大(5勝3敗)戦で敗れるわけにはいきません。先週のルイジアナ州立大戦ではオフェンスが大苦戦してTD1つしか奪えず辛勝。アーバン大はアラバマ大に惨敗したもののアンダードッグの際に異様な力を発揮するチーム。テキサスA&M大に油断は禁物です。

フロリダ大(6位)@ テネシー大

CFP6位のフロリダ大(7勝1敗)はSEC東地区のテネシー大(2勝5敗)と対戦。この試合に勝てば彼らが地区優勝を決め2016年度シーズン以来のタイトルゲーム進出となります。そうなれば彼らはおそらくアラバマ大とSEC王座をかけて戦うことになりますが、これに勝てばCFP初出場が現実を帯びてきます。テネシー大は今季3期目のジェレミー・プルイット(Jeremy Pruitt)体制にひび割れが出来ており、この試合で大敗して恥をかくようなことがあれば彼のクビも怪しくなってくるでしょう。

インディアナ大(12位)@ ウィスコンシン大(16位)

Big Tenゲームが既に3試合もキャンセルとなってしまったウィスコンシン大(2勝1敗)は16位という実力ながらタイトルゲームに進む資格すら持っていません。その彼らがプライドを掛けて12位のインディアナ大(5勝1敗)をホームに迎えます。もしオハイオ州立大の試合があと1試合でもキャンセルになればインディアナ大が東地区代表権を獲得しますから、この試合に是非とも勝っておきたいところですが、オフェンスの主軸であるQBマイケル・ペニックス(Michael Penix Jr.)が今季絶望となる怪我を負ってしまいインディアナ大には不穏な空気が流れています。

ワシントン州立大 @ サザンカリフォルニア大(20位)

ここまで危ない橋を渡りながらも3勝0敗と無敗を守っているサザンカリフォルニア大。現実的に見て彼らがPac-12チャンピオンになってもCFP出場は夢のまた夢ですから、とにかく彼らが狙うのはカンファレンスタイトル。もし彼らがこのワシントン州立大(1勝1敗)に勝ちコロラド大(3勝0敗)がアリゾナ大(0勝3敗)に負けることがあればサザンカリフォルニア大の地区優勝がほぼ決定的となります。(試合は日曜日に開催)

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