待ちに待った2023年度シーズンが開幕しましたが、フロリダ州立大がルイジアナ州立大を倒したり、デューク大がクレムソン大を倒すなどエンタメ性抜群の試合をちらほら観ることができた週でした。
そして今週末は第2週目を迎えることになりますが、この週末には今季開幕前から注目されていた好マッチが予定されています。その試合を含めて注目したい試合を少しご紹介します。
#11 テキサス @ #3 アラバマ大
名門同士の対決。特にテキサス大が今年11位とここ最近では最も期待度の高いシーズン開幕を迎えており、今週末最大のマッチアップと言えます。
昨年はテキサス大のホームで対戦した両チーム。この時はテキサス大が若干押していましたが、エースQBクウィン・ユワーズ(Quinn Ewers)が残念なことに負傷退場。これで流れが変わり最後はアラバマ大のQBブライス・ヤング(Bryce Young、現カロライナパンサーズ)の劇的な逆転ドライブでアラバマ大が辛くも勝利したという試合でした。
開幕時に4位で発進したアラバマ大はオハイオ州立大を抜いて現在3位。先週は格下のミドルテネシー州立大を相手に56対7と快勝しましたが、この試合で光っていたのはQBジェイレン・ミルロー(Jalen Milroe)。パスで3TD、ランで2TDを獲得しましたが、先シーズンと比べるとパス能力が多少上がっている様子。元々走れるQBで知られていましたから、これでパサーとしてのポテンシャルが伸びていればミルローが予想外に成長するかもしれません。
ただ相手がミドルテネシー州立大だったことも当然忘れてはいけませんし、相手セカンダリーの脅威になるようなWRが果たしているのかどうかも定かではありません。ディフェンスもほぼミドルテネシー州立大オフェンスを抑え込んでいましたが、彼らとテキサス大のそれを比べるのはナンセンスです。
そのテキサス大は先週ライス大と対決。ユワーズは260ヤードに3TDと卒のないプレーを見せましたし、RBではジェイドン・ブルー(Jaydon Blue)とジョナソン・ブルックス(Jonathon Brooks)、そしてスピードスターのC.J.バクスター(C.J. Baxter)といった三者三様のRBたちは魅力的です。
そんな中でも特に光っていたのはディフェンス陣。ランディフェンスにおいてはライス大をたったの27ヤード(1キャリー平均1.1ヤード)に抑え込む健闘を見せました。アラバマ大がミドルテネシー州立大と対戦したのと同じように、テキサス大にとってライス大は脅威的なチームとは言えませんでしたが、それでもこの数字は特筆に値すると思います。
攻守揃って上向きのテキサス大、そしてQBヤングやDLウィル・アンダーソン・Jr(Will Anderson Jr.、現ヒューストンテキサンズ)が抜けて新顔揃いの若いアラバマ大との対決となりますが、何度も言うようにどちらも開幕戦の相手が格下な為、実際の実力がどの程度なのかは両者が対戦しなければ分かりません。
モメンタム的にはテキサス大に分がありそうですが、今回の試合はアラバマ大でのホームゲーム。現HCニック・セイバン(Nick Saban)監督がアラバマ大に就任した2007年以来同校のホームゲームでの戦績は99勝6敗。ホームでめっぽう強いアラバマ大にアウェーの洗礼を受けながら果たしてテキサス大が昨年の雪辱を果たせるか・・・。必見の試合です。
#20 ミシシッピ大 @ #24 トゥレーン大
昨年グループオブ5勢の一員ながらボウルゲームでサザンカリフォルニア大をも倒して11勝を挙げたトゥレーン大。今年は開幕時から25位以内に食い込んでいますが、その彼らがSEC(サウスイースタンカンファレンス)所属のミシシッピ大をホームに迎える珍しいマッチアップ。
トゥレーン大の昨年のスター選手はRBタイジェイ・スピーアズ(Tyjae Spears)でしたが、彼はドラフトにてテネシータイタンズ入り。しかしQBマイケル・プラット(Michael Pratt)は未だ健在。ミシシッピ大を倒すには彼の最高のパフォーマンスが必須となるでしょう。
というのもミシシッピ大のオフェンス力はSECでも指折り。鬼才レーン・キフィン(Lane Kiffin)監督のスプレッドオフェンスを操るジャクソン・ダート(Jaxon Dart)だけでなく、昨年までオクラホマ州立大で先発を張っていたスペンサー・サンダース(Spencer Sanders)も在籍するなど、QBルームだけ見れば全米でも指折りの層の厚さを誇っています。
さらにRBには注目のクウィンション・ジュドキンス(Quinshon Judkins)が構えます。ジュドキンスは昨年1年生ながら1567ヤードに16TDを足で稼ぐ活躍を見せて一躍名を上げました。またWR陣ではルイジアナ工科大からの転校生であるトレイ・ハリス(Tre Harris)が先週のマーサー大戦で133ヤードのキャッチで4TDを荒稼ぎ。1試合で4つのレシーブTDはミシシッピ大のスクールレコード。武器は揃いまくっています。
昨年ケイレブ・ウィリアムス(Caleb Williams)率いるサザンカリフォルニア大に勝ったとは言え、トゥレーン大にとって当然このミシシッピ大戦は厳しい戦いになるはずです。ホームゲームであることは大きな追い風となりますが、このハイパワーオフェンスを擁するミシシッピ大に勝つにはそれ以上のスコアリングが不可欠。果たしてそれだけの火力をトゥレーン大が持ち合わせているのか・・・。
その他の試合
#10 ノートルダム大 @ ノースカロライナ大
すでに2試合をこなして2連勝を飾っているノートルダム大がノースカロライナ州立大に出向きます。
ノートルダム大はQBサム・ハートマン(Sam Hartman)が希望の星。今のところ2試合で98点を叩き出している彼らにとってノースカロライナ州立大は試金石となります。元々ラインプレーで定評のあるノースカロライナ州立大をノートルダム大がどう攻略するか見ものです。
#13 オレゴン大 @ テキサス工科大
13位のオレゴン大がテキサス工科大のホームで対戦。この試合の見どころはテキサス工科大のQBタイラー・シャック(Tyler Shough)が2020年にオレゴン大で先発を務めていたというバックストーリー。彼にとっては古巣との対戦で様々な思いが駆け巡ることでしょう。
とはいえ、自力で勝るオレゴン大が優勢であることは間違いありません。ハイズマントロフィー候補と言われるQBボ・ニックス(Bo Nix)のパフォーマンスに注目です。
ネブラスカ大 @ #22 コロラド大
今季から「コーチプライム」ディオン・サンダース(Deion Sanders)監督によって率いられる新生コロラド大は彼のデビュー戦となったテキサスクリスチャン大戦に勝利してこれ以上ない船出を飾りました。その彼らのホーム初戦が古豪ネブラスカ大です。
ネブラスカ大は今季から元カロライナパンサーズHCのマット・ルール(Matt Rhule)監督が指揮しますが、彼らは開幕戦となった大戦を惜しくも落とすというほろ苦い幕開け。全米中の声援を背に受けるが如し勢いを持つコロラド大でのアウェーゲームはネブラスカ大にとってはやりづらいことでしょう。
特に地元コロラド州ボルダーではシーズンチケットが一瞬で完売してしまう程、空前絶後の盛り上がりを見せており、また初戦で大活躍したQBシェドゥア・サンダース(Shedeur Sanders)、RBディラン・エドワーズ(Dylan Edwards)、そしてWR/CBトラヴィス・ハンター(Travis Hunter)らの存在もあってコロラド大は今全米中で最もアツいチームと言えます。
それもこれもサンダース監督のカリスマ性がなせる業だと思いますが、一方で前戦では42失点犯したと言う事実も見逃すことはできず、今後必ず対戦することになるオレゴン大、サザンカリフォルニア大といったハイパワーオフェンスをどう攻略するかということも含めてコロラド大のディフェンスも冷静に見守りたいと思います。
#23 テキサスA&M大 @ マイアミ大
どちらも殻を破りたくてウズウズしているチーム同士の対戦。
テキサスA&M大はジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督が6年目を迎え、いよいよ形ある結果を残したいところ。豊潤な資金力を駆使してリクルーティングでいい選手をかき集めはしていますが、それがいまいちフィールド上の結果に現れないテキサスA&M大。このままだとフィッシャー監督不要論も噴き出てくる為、彼としては何としてもファンらを満足させる結果を残したいところ。
一方マイアミ大はかつての栄光を取り戻すべく試行錯誤してHCを取っ替え引っ替えしてきましたが、未だ所属するACC(アトランティックコーストカンファレンス)でタイトルをとったことがありません。昨年満を持してオレゴン大からやってきた卒業生でもあるマリオ・クリストバル(Mario Cristobal)監督に再建への期待が高まりますが、昨年は5勝7敗と撃沈。地元の有力講演者の支援のもとに彼らもリクルーティングをアグレッシブに行ってきましたが、まだその成果が現れていません。
テキサスA&M大は今年から元アーカンソー大やルイビル大HCであるボビー・ペトリノ(Bobby Petrino)氏を攻撃コーディネーターに迎えましたが、元々プレーコーラーだったフィッシャー監督との共存がどうなるのかが見ものです。
どちらのチームにしても勝てばムードも自信も加速されることでしょうから何としても白星を手に入れたい試合だと言えそうです。
ヴァンダービルト大 @ ウェイクフォレスト大
SECのお荷物チーム(もとい!)ヴァンダービルト大はここまで2勝0敗。対戦相手がハワイ大とアラバマA&M大ということでSECチームとして当然と言えば当然ですが、もし彼らがこの試合に勝って開幕後3連勝となるとそれは2017年以来の偉業となります。
ウェイクフォレスト大は昨年まで前出のサム・ハートマン(現ノートルダム大)を擁してそれなりの結果を残してきましたが、ポスト・ハートマンチームとして何としてもSECチームであるヴァンダービルド大をホームで仕留めたいところ。
ヤングスタウン州立大 @ #5 オハイオ州立大
FCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)所属であるヤングスタウン州立大がオハイオ州立大に歯が立つとは到底思えません。ただ、このヤングスタウン州立大の大学長は、かつてオハイオ州立大で監督を務めて2002年の全米制覇も成し遂げたジム・トレッセル(Jim Tressel)氏。試合とは関係ないところで気になってしまいます。
アイオワ大 @ アイオワ州立大
開幕時に25位だったアイオワ大は他チームがランク外からランクインした余波を受けてランク外へ押し出されてしまいました。
今年のアイオワ大は攻撃コーディネーターでHCであるカーク・フェレンツ(Kirk Ferentz)監督の実子であるブライアン・フェレンツ(Brian Ferentz)氏にとって勝負の年。特に今年は彼が率いるオフェンスが平均得点数25点以上、そして総合勝利数が7勝以上いかなければ契約更新しない、つまり解雇になると言う条件がつけられています。
そのアイオワ大は開幕戦でユタ州立大相手に24点しか取れず、25点以上という条件にすでに手が届いていない状態。2戦目のライバル・アイオワ州立大から25点以上取れないとフェレンツOCとしてはさらに劣勢に立たされてしまいます。
一方のアイオワ州立大はオフに所属選手ら多くのアイオワ州立大学生アスリートがオンライン賭博で自らのチームが関わる試合にベットしていたことが判明し大混乱に陥りました。また数年前までは指折りの若くて将来性が高い人物だと持ち上げられていたマット・キャンベル(Matt Champbell)監督の株がゆっくりと下落。そんなネガティブな環境を一気に払拭するにはこのライバルであるアイオワ大に勝つのが特効薬だと思われます。