遡ること20年以上前となる1998年度に2124ランヤードに27TDを記録してカレッジフットボール界で最高峰の個人賞であるハイズマントロフィーを獲得した元テキサス大のリッキー・ウィリアムス(Ricky Williams)氏。1999年のNFLドラフトでニューオーリンズセインツに総合5番目で指名された同氏は2002年に1853ヤードに16ランTDを稼いでオールプロにも選ばれました。
もっともプロ選手としては波乱万丈だったウィリアムス氏ですが、やはり彼は「ラン、リッキー、ラン!」でもおなじみのようにテキサス大のトロフィーウィナーとして知られている人物です。
テキサス大のレジェンド、リッキー・ウィリアムス氏
そんな彼は2014年に自身が獲得したハイズマントロフィーを個人収集家に売却していました。そしてその収集家がこの度このトロフィーを競売にかけられたのですが、競売にかけられたハイズマントロフィーとしては過去最高値となる50万4000ドル(1ドル100円計算で約5040万円)でハンマープライスとなりました。
カレッジフットボール界において大変価値のあるハイズマントロフィーですが、1999年以降受賞者はトロフィーを売却することが禁止されるようになりました。ウィリアムス氏がトロフィーを獲得したのが1998年ですから、彼のトロフィーは受賞者以外が手にすることができる最も新しいものということになります。
これまで売却されたトロフィーは何像かありますが、ウィリアムス氏のものが最高値を付ける前までは1987年に元ノートルダム大WRティム・ブラウン(Tim Brown)氏が獲得したものが去年境涯に掛けられた時に付けられた43万5763ドル(約4300万円)が最高値でした。
その他過去に売り飛ばされたトロフィーには1994年の元コロラド大、ラシャーン・サラーム(Rashaan Salaam)氏のものが39万5240ドル、1979年の元サザンカリフォルニア大RBチャールズ・ホワイト(Charles White)氏のものが18万4000ドル、同じく元サザンカリフォルニア大RBのO.J.シンプソン(O.J. Simpson)氏が1968年に獲得したトロフィーが25万5000ドル、そして1937年の元イェール大RBクリント・フランク(Clint Frank)氏のものが31万7000ドルというように、相当価値のあるもにも関わらず他人の手に渡っているんですね。それもこれも背に腹は代えられないということでしょうか。
ウィリアムス氏は自身のトロフィーを売却した後の2017年のインタビューの中でハイズマントロフィーが同氏にとってどういったものなのかを以下のように話しています。
「私にとってハイズマントロフィーを受賞することは小さい頃からの私自身のゴールでした。しかしそれ以上に(トロフィーを獲得することは)チームが一丸となって戦った結果であり、テキサス大を再び全米の檜舞台に返り咲かせたことに意味があったのです。私がトロフィーを獲得したことによってテキサス大はリクルーティングでも成功し、ヴィンス・ヤングのような逸材を呼び寄せることが出来たからです。ですからトロフィーを獲得できたことに関してはその事が一番自分にとっては充実したことであり、全米の強豪校として復活したきっかけとなれたことがうれしいのです」
1998年のトロフィー受賞時のウィリアムス氏
つまりトロフィー自体に意味はなく、それを獲得した経緯そしてそれが母校にもたらした影響のほうが重要だということですね。だからこそ彼はトロフィーを手放すことにしたのかもしれません(経済的に苦しかっただけという理由かもしれませんが爆)。
ちなみにウィリアムス氏は1998年に同じく獲得したドークウォーカー賞(4万9200ドル)とウォルターカンプ賞(1万2000ドル)のトロフィーも売却したということです。