カレッジフットボール界に朗報・・・です。
8月11日にBig Tenカンファレンスと同調して2020年度シーズン不参加を決めていたPac-12カンファレンスが遂に今季参戦することに方向転換。11月6日から7試合限定のスケジュールを組むことになりました。
7試合のカンファレンス戦の後、12月18日にカンファレンス優勝決定戦を行う予定。7週間で7試合という超強硬スケジュールですが、開幕しないよりはマシということなのでしょうか。
全試合で無観客というコロナ禍下のカレッジフットボール界ではノーマルとなりつつ環境ではありますが、これで「パワー5」カンファレンス全てが揃い踏み（といってもPac-12が登場するのは他カンファレンス開幕後10週目となるのですが）となります。
Pac-12カンファレンスの心変わりを引き出したのはやはり何と言ってもBig Tenカンファレンスが10月24日からシーズンを開始する決断を下したことです。全米で見てもこの2つのカンファレンスには多くの医学的にハイレベルな研究機関が存在し、その土壌からコロナ禍でのカレッジフットボールは得策ではないとして開幕見送りを示し合わせたように決断していました。
しかしそのBig Tenカンファレンスではその決断に対して内外から多くの批判の声が飛び出し、しかも他カンファレンスがシーズン開幕したこともありカンファレンスはこれまでにないほどの圧力を受けていました。そしてこれまでシーズン開幕に消極的だった各大学の長たちは遂にフットボールシーズンの開催を許可したのです。
そうなれば次に注目が集まるのは自ずと残されたPac-12カンファレンスとなります。
Pac-12が所在する西海岸では現在カリフォルニア州とオレゴン州を中心に山火事の被害が深刻です。コロナウイルスとこの自然災害のダブルパンチでカレッジフットボールどころの騒ぎではないと思われていましたが、カリフォルニア州とオレゴン州の両知事がそれぞれの州にあるPac-12所属大学のアメフト活動再開を支持。
さらにはコロナウイルスの検査においてより信頼性があり迅速に結果がわかるラピッドテストの導入が示唆されたことも大学責任者たちの首を縦に振らせる材料になったことでしょう。
しかしやはり一番はBig Tenカンファレンスが開幕を表明してしまったせいで自分たちだけがパワー5カンファレンス群で唯一フットボールを行わない団体となってしまったことが彼らの今季開幕を後押ししたのだと思います。
それは体裁とかメンツとか意地とかそういった類のものを繕うためというある意味情けない理由だったのかもしれませんが、関係者の中に「こんな状況でシーズンを強行すべきではない」という正論を持つものがあっても、コロナ禍でも色々ありながら各地で試合が開催できている状況を見れば、開催の方向で動かざるを得なくなるでしょう。
どちらにしてもカレッジフットボール界で考えれば遅い参戦となってもPac-12カンファレンスが試合を行うことは歓迎されるニュースであることは間違いありません。実質的にナショナルタイトルを争う「パワー5」カンファレンス群のうち、（ほぼ）予定通りに開幕できたのがたったの3試合とあってはその年に全米制覇をしたチームには永劫「半熟チャンピオン」のような言われようをしかねませんから。
ただこのニュースを手放しで喜ぶことも出来ません。前回の記事でもご紹介したとおり開幕から数多くの試合がコロナウイルスの影響で延期ないしキャンセルという状況に陥っています。そしてアメリカではこれからインフルエンザのシーズンに突入。これがコロナのパンデミックにどう絡んでいくかは全く予測がつかないのです。
とくに8週間で8試合をこなすBig Tenのようにコロナ感染が起きたら試合の延期が不可能であるこの状況で無事に予定されている試合をこなせるかはまだわかりません。現にまともな練習を行っていないのにも関わらず、Pac-12所属のコロラド大では今後2週間全てのスポーツ活動が禁止と発表されたばかりなのです。
Big TenにしろPac-12にしろ、無事に開幕戦を迎えられるかはその時にならないとわかりません。それこそ神のみぞ知る、です。
ちなみにプレシーズンランキングではオレゴン大（9位）、サザンカリフォルニア大（17位）、ユタ大（22位）と3チームのPac-12出身大学がランクインしていました。11月の時点で彼らがランキングに復活できるのか気になります。ただ流石に開幕後10週目にやっと登場するチームに高ランキングは与えられないとは思いますが。
