通常の開幕を飾れなかったものの、10月24日から晴れてシーズン開幕を迎えることが出来るようになったBig Tenカンファレンス。同カンファレンスがコロナの影響を踏まえて今季開幕を見送った時、その決断に強い遺憾の意を示しながら今秋開幕に向けて声を上げてきたのがオハイオ州立大です。
プレシーズンの時点で全米2位、チームには昨年のハイズマントロフィー最終候補選手だったQBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)も健在とあれば自ずと今年の彼らのナショナルタイトル獲りにも期待がかかるところ。ですからカンファレンスが方針を変えて今季開幕を決めたときはさぞ喜びに沸いたことでしょう。
しかし彼らとてこの状況で開幕を迎えることに手放しで喜ぶだけではだめなことも分かっているはず。特にBig Tenは今季8週間で8試合という強行スケジュールを組んでおり、もし仮にシーズンのどこかで新型コロナウイルスのクラスター感染でも発生して試合開催が不可能となった場合にはリスケジュールする余裕など無いからです。
つまり彼らにとって今季は綱渡りのシーズンとなるわけで、部内感染が起こらないためにあらゆる手段を講じています。
その一つにチームのコーチ陣の中の数名が感染を防ぐために自宅に帰らずチーム施設内にずっと泊まり込んでいるというのです。
「別にどこかにガイドラインがあったわけではないし、誰かが教えてくれたわけでもありませんでした。ただ、家族持ちのコーチらと話している中で、彼らの子供が学校に行けば彼らが感染して帰宅してくる可能性もあるという話題になりました。まだまだ未知なことがたくさんあります。だから我々も気をつけなければならない、自分たちの身は自分たちで守らなければならないと。」とはオハイオ州立大のライアン・デイ(Ryan Day)監督。
その延長線上で、デイ監督はチーム内にはその感染経路を経つために自宅に帰らずトレーニング施設で「自主隔離」しているコーチもいると明かしました。
チーム関係者を完全に外界から隔離する「バブル」というコンセプトは、コロナウイルスから身を守るには理論上は理にかなっていますが、大学キャンパスのように不特定多数の人数が暮らしているような場所で「バブル」を実行するのはほぼ不可能です。
しかし感染者をだしてシーズン開幕までの準備期間を妨げないためにも、そして無事に予定通りの試合数をこなしてCFP(カレッジフットボールプレーオフ)進出への道を残すためにも、オハイオ州立大のコーチたちは身を削ってチームに咆哮しているわけですね。
果たして彼らの苦労は実るのか・・・?