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オフシーズン便り#7【2020年】

オフシーズン便り#7【2020年】

Pac-12カンファレンスが自主練を解禁

先日NCAAが6月1日からフットボール選手がキャンパスで自主トレを行うことを許可する決定を下し、それを受けてSEC(サウスイースタンカンファレンス)とBig 12カンファレンスがそれぞれ6月8日と6月15日から選手をキャンパス内にあるトレーニング施設に迎え入れる決定を下しました。

NCAA1部のFBS(フットボールボウルサブディビジョン)でも上位カンファレンス群とされる「パワー5」の他の3カンファレンスもこれに追随してくると予想されていましたが、早速西海岸のPac-12カンファレンスも6月15日から選手たちのキャンパスでの自主トレ解禁に踏み切りました。

この決定も最終的な判断は各大学に委ねられることになりますが、おそらくこの日に向けて各大学が様々な準備に追われることになるでしょう。

ちなみに残りの「パワー5」カンファレンスであるACC(アトランティックコーストカンファレンス)とBig Tenカンファレンスは未だ自主トレ解禁を発表していませんが、オハイオ州立大イリノイ大ルイビル大クレムソン大はNCAAの解禁決定を受けて既に独自に6月8日に選手を迎え入れる体制を整え始めているということです。


クレムソン大の場合

2年前の全米覇者で昨シーズンの準優勝チームであるクレムソン大は前述の通り6月8日に自主トレをキャンパスで行えるような環境作りに着手していますが、彼らの場合は3段階のステップを踏む計画を公表しています。

第1フェーズ

選手を施設で迎え入れる人員(ストレングスコーチ、スポーツメディシンスタッフや施設職員)の職場復帰。

第2フェーズ

選手はキャンパス到着前に7日間の自宅隔離。その後6月1日からキャンパスエリアに到着後にさらに7日間の隔離を強制。

第3フェーズ

隔離中にCOVID-19の症状が出なかった場合のみ身体検査を受けられる。検査にはウイルス検査および抗体検査が含まれる。これをパスすれば晴れてキャンパスでの自主トレに参加できることになる。

おそらく他の大学でも同様なステップを経て選手をキャンパスに迎え入れることになるでしょう。またそのようなプロトコルがまだない大学はクレムソン大らのステップを参考にしていくと思われます。

オクラホマ大の場合

NCAAがキャンパスでの自主トレを解禁したことでこれまで雲行きが怪しかったカレッジフットボールの状況に一筋の光が差してきました。シーズンが開幕するかどうかはまだわかりませんが、少なくとも選手たちがキャンパスに戻ってきてフットボール活動を行えるということは朗報だと言えます。

当然そうなればどのチームも一刻も早く選手を迎え入れることのできる環境を整えようと躍起になるはずですが、6月15日から自主トレを解禁する決定を下したBig 12カンファレンスの強豪校・オクラホマ大は選手のキャンパスの自主トレ開始を7月1日まで先送りにしました。

NCAAの6月1日解禁という決定に関連して選手を早々にキャンパスに引き戻すことは無責任なことだと話していたのはオクラホマ大のリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督。7月1日というに設定したことは選手たちを最大限安全にキャンパスに呼び戻すことが出来、なおかつプレシーズンキャンプ開始までに選手がトレーニングを積むのに必要最低限な日数をすり合わせて絞り出した結果だとライリー監督は話しています。

オクラホマ大ほどのメジャー大学がなりふり構わず選手たちを早急に連れ戻すような計画を立てなかったことに逆に新鮮さを感じました。6月8日から自主トレを行うことができるチームと比べると約3週間出遅れることになりますからある意味大胆な決断とも言えますが、選手の安全が最優先課題という姿勢は大いに評価されるべきだと思います。

競争の公平さ(Competitive Fairness)の危機?

上記のオクラホマ大のケースにもあるようにNCAAが6月1日からキャンパスでの自主トレを容認したからと言って全てのチームがそれを実現することは不可能です。それはそれぞれの自治体(州)や大学によってコロナ禍へのアプローチが異なるからであり、まだまだ予断を許さない都市部にキャンパスを持つ大学にしてみれば6月中にキャンパスを開放することが非現実出来であるところも少なくありません。

また現状で学生アスリートをキャンパスに引き戻すということには大変な準備やリソースが必要となってきます。選手たちを毎日スクリーニングしなければなりませんし、用具のクリーニングも万全にしなければならない。トレーニングを指導するストレングスコーチたちにもそれなりの対処が求められることになるでしょうし、アスレティックトレーナー、用具係、施設職員などのサポートスタッフにしわ寄せが来るのは目に見えてきます。

それを実行に移せるだけの資金や補助がある大学とそうでない大学の間でも格差は生まれるでしょうし、そうなればプレシーズン開始までの基礎トレーニングを積むのに重要な夏の自主トレを行えるチームと行えないチームとで不公平さが生まれかねません。

Big 12カンファレンスは6月15日からの解禁を発表していますが、コミッショナーのボブ・ボウルスビー氏はこれ以前から競争上の公平性(Competitive Fairness)はカレッジスポーツには存在するようでしない代物だと言い続けてきました。今回の件に関しても以下のようなコメントを残しています。

「我々はかつて競争上の公平性を保ってきたと言い続けてきましたが、キャンパスレベル、市レベル、州レベルでそういったものは存在しないことを皆すでに知っています。つまり競争上の公平性などは幻想以外の何物でもないのです。」

ボウルスビー氏は名指しこそ控えていますが、これは明らかにSECに対してのフラストレーションの現れだといえます。過去15年間で10回のナショナルチャンピオンがSECから生まれているという事実だけでなく、リクルーティングでも彼らの独壇場という背景もあり、SEC一辺倒であるこの状況を打破したいSEC以外のチームの急先鋒であるオクラホマ大を擁するBig 12カンファレンス。その頂点に立つ人物としてのボウルスビー氏の切実なる心の叫びでした。

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