2020年度のルール改正
今更?と言うニュースなんですが・・・(苦笑)
2020年度を迎えるにあたりNCAA (全米大学体育協会)はいくつかのルールのマイナーチェンジを行いました。もうすでに1年ほど近く前の話なのですが、備忘録的にここに紹介しておきます。
- 背番号「0」使用が可能に
- 退場処分になった選手がベンチエリアに留まれることに(以前はロッカールーム送りでした)
- ビデオ判定が2分以内に(試合終了時の判定を除く)
- 同じ背番号をつけられる人数を2人に制限(フィールド上に同じ背番号の選手がいることは当然禁止)
- 審判団の権限が発令される時間がこれまでの試合前60分から90分に延長。試合前の対戦チーム同士の小競り合いを予防するため。
ロドリゲス氏の後悔
かつてリッチ・ロドリゲス(Rich Rodriguez)氏は全米で最も旬なコーチとして名を馳せた時代がありました。アップテンポのノーハドルスプレッドオフェンスの先駆けと言われたロドリゲス氏はウエストバージニア大で名を挙げ、2008年に名門ミシガン大監督に就任。しかし期待とは裏腹にミシガン大では3年間で15勝22敗と奮わず2010年度シーズン後に解雇。2012年にはアリゾナ大の監督に就任するも6年間で43勝35敗と思った以上の結果を納められず2017年度シーズン後に再び監督の座を解かれてしまいます。
2019年にはミシシッピ大のオフェンシブコーディネーターに就任するもチームは4勝8敗と撃沈しマット・ルーク(Matt Luke)監督の解雇に伴いロドリゲス氏もたったの1年で職を失います。昨年度を無職で過ごした同氏は今年初めにルイジアナ大モンロー校のOCに就きますが、かつてミシガン大の監督にまで上り詰めたことを考えると現在のポジションは絶頂期と比べると天と地の差と言わざるを得ません。
そんなロドリゲス氏ですが、ミシガン大の監督に就く1年前にアラバマ大の新監督の座を打診されていました。当時アラバマ大はマイク・シュラ(Mike Shula、現デンバーブロンコスQBコーチ)監督を解雇したばかりで名門再建のために腕の立つ監督を探している最中でした。当時全米でも指折りの監督として知られていたロドリゲス氏にその白羽の矢が立ったわけですが、本人はこのオファーを断り翌年にミシガン大へ旅立って行きました。
その後のロドリゲス氏のあゆみは上に紹介しましたが、一方のアラバマ大はニック・セイバン(Nick Saban)監督を起用。この決断がアラバマ大に大成功をもたらしたことは言うまでもありませんが、ロドリゲス氏は当時を振り返ってアラバマ大の職を受け入れなかったことを後悔するコメントを残しました。
「人間は誰だって過去を振り返って『もしあの時ああしていたら・・・』と過去回想することが人生の中で1度くらいはあるものです。当然仮の話をしてもそれが上手くいく確率なんて半々ですが、アラバマ大の話を受諾していたらアラバマ大での仕事はミシガン大でのそれよりも私にとってはよりフィットしていたかもしれませんね。」
ロドリゲス氏がアラバマ大に行っていたからと言って自動的に今のアラバマ大のような栄華を謳歌出来るなんて保証はどこにもありませんが、現在の同氏の状況をすれば過去の自分の判断を後悔したとしても不思議ではありません。
アラバマ大にとってみればあの時ロドリゲス氏が首を縦に振っていれば今のようなダイナスティを満喫することもなかったでしょうから、当時の彼の決断に感謝したいところですね(苦笑)。
最年少コーチ陣はオールドドミニオン大。最年長コーチ陣は?
昨年新型コロナウイルスのパンデミックの影響で開幕を断念したオールドドミニオン大。そのチームに新監督として就任したのが元ペンシルバニア州立大オフェンシブコーディネーターだったリッキー・レーン(Ricky Rahne)監督でした。
このレーン監督は就任時39歳で非常に若い監督ですが、39歳ながらコーチ陣の中では最年長。最年少はオフェンシブラインコーチのケヴィン・レイナー(Kevin Reihner)氏で若干27歳。アシスタントコーチだけの平均年齢はなんとたったの31.4歳でレーン監督を含めても32.4歳と言うことでこれは全米最年少の数字なのです。
現時点でのFBS(フットボールボウルサブディビジョン)におけるコーチ陣の平均年齢は42.5歳と言うことですからオールドドミニオン大コーチ陣がいかに若いコーチたちの集団であるかがわかると思いますが、FBSでも中堅カンファレンス群とされる「グループオブ5」だけで見ると平均年齢は40.6歳、上位カンファレンス群とされる「パワー5」では44.2歳と言うことで多少の隔たりが見えます。熟練のコーチたちが「パワー5」に、これから上を目指すコーチらが「グループオブ5」に所属していることが見えてきます。
ところで若いチームがあればそうでないチームもあるわけで、コーチ陣の平均年齢が一番高いチームがどこなのか興味深いところですよね。
その称号を手に入れたのはルイジアナ州立大でコーチ陣の平均年齢は55.2歳。次に高齢なコーチ陣がピッツバーグ大で50.1歳と言うことですから、ルイジアナ州立大の高齢さは群を抜いてます。
昨年の時点でHCのエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督は59歳とそこまで高齢ではありませんが、OCのスティーヴ・エンスミンガー(Steve Ensminger)氏が62歳、パスゲームコーディネーターのスコット・リネハン(Scott Linehan)氏が57歳、DLコーチのビル・ジョンソン(Bill Johnson)氏が65歳、STコーディネーターのグレッグ・マクマホン(Greg McMahon)氏が61歳と軒並み55歳以上を上回っています。
ただエンスミンガー氏とジョンソン氏は昨シーズン後にコーチングから引退していますから、現在の彼らの平均年齢は多少下がっているかもしれません。
ちなみにチームのコンサルタントを務めているジョン・ロビンソン(John Robinson)氏はなんと85歳。かつて1970年代と1990年代にサザンカリフォルニア大を率いた名将ですが、2019年からオルジェロン監督に依頼されてコンサルタントを務めています。
実はこのロビンソン氏、昨年のアラバマ大戦でサイドラインに突っ込んできた相手RBナジー・ハリス(Najee Harris)と接触してあわや大怪我を負うシーンがTVでも放映されました。
ロビンソン氏の年齢はおそらくコーチ陣の平均年齢には加算されていないと思われますが、生き字引とも言えるロビンソン氏をスタッフに加えたオルジェロン監督からも彼が熟練のコーチを好んで起用するトレンドが見て取れますね。
NCAA1部所属の学生アスリートの卒業率が90%を突破
入るのが難しくて卒業するのが難しいとよく言われるのが日本の大学ですが、その逆で入るのは比較的簡単でも卒業するのが難しいと言われるのがアメリカの大学です。
その中でも学業の傍ら日々部活動に勤しむ学生アスリートたちの卒業率はそのひっ迫さから平均を下回ると言われ続けてきました。
しかし最近のNCAAの発表によると、NCAA1部の学生アスリートの卒業率は最大90%にまで上昇してきていると言うことなのです。
これは6年間の間に学位を取れたかどうかで計られる統計だそうですが、2013年に入学した学生アスリートの6年間での卒業率がこの過去最高の90%を記録したのだとか。これは昨年よりも1%多く、またNCAAが目標としている80%を10%も上回る高い数字なのです。
国の統計によると、一般的に6年間で学位を取れる人数は全体の69%と言うことですから、ここ最近の大学生アスリートの文武両道さが反映されていると言えます。
最も個々の大学で見てみれば隔たりは出てくるのでしょうが・・・。