カレッジフットボール界には「カップケーキ」という言葉があります。これは強豪チームが完全に格下のチームとスケジュールを組み確実に勝ち星を得る、もしくはそのような試合に先発組を温存するという目的で対戦するチームとのゲームのことを指します。よく見られるのは開幕後3週間までの間、そしてサウスイースタンカンファレンスではシーズンフィナーレの1週間前にこの「カップケーキ」ゲームが組み込まれる傾向にあります。
おそらく小さなカップケーキなら一口で平らげられることにこの言葉の起源があるのでしょう。
見ているファンとしてはそんな試合を見たくもないのですが、勝ち星を確実に得られるという事実、そして対戦相手としては「カモ」となる代わりに巨額のファイトマネーが手に入るという構図も出来ており、このカップケーキゲームをスケジュールに入れていないチームというのは数えるほどしか居ません。
その数えるほどしか居ないチームの一つがサザンカリフォルニア大なのですが、先日彼らが2021年度に自身が属するFBS(フットボールボウルサブディビジョン)の下部リーグであるFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)所属のカリフォルニア大デーヴィス校と対戦することが発表されました。
誇りを持ってそのようなチームと試合を組むことを拒み続けたサザンカリフォルニアですが、現在中々全米の表舞台に戻れていない状況を見て、確実に白星を取れるようなチームと対戦するように大学側が便宜を図ったのでしょうか。そうだとしたら結構残念です。
あのアラバマ大ですらここ最近はずっとライバルであるアーバン大との最終戦「アイロンボウル」の前の週にカップケーキゲームをプレーしてきました。サザンカリフォルニア大には苦戦しているとしてもその威厳だけは守ってほしかったというのが本心です。
これでFBSに所属するチームでFCSとの「カップケーキ」ゲームを一度もこなしたことがないチームはノートルダム大とUCLAの2チームのみになりました。どちらも名門校でありますが、なんとか彼らにはこの牙城を守りきってほしいものです。