さんざん世間を騒がせたNCAAのサテライトキャンプ禁止令でしたが、この新ルールは1ヶ月と持ちませんでした。
サテライトキャンプ禁止令を撤回
今月28日、NCAAはこのサテライトキャンプ禁止令を撤回。これでこれまで通りコーチ達が地方に赴いて高校生向けのキャンプを開催することが出来るようになりました。
「NCAA理事会はカレッジフットボールにおけるリクルーティングの状況を総体的に見極めたいと思っていましたが、このサテライトキャンプもその状況のうちの一つでした。今回のこの件で発足した評議会はサテライトキャンプの全体的な質を高めたいとしており、我々も彼らの意見に賛成し、サテライトキャンプを進学のために活用できるためのモデルを新たに立ち上げ、それが将来の学生アスリートをリクルートする為の適切な場所となるよう、評議会をサポートしていくつもりです。」と理事長でありサウスカロライナ大学長のハリス・パスティデス氏は述べています。
この撤回をうけ、理事会はリクルーティングに関する全ての環境を包まなく調査するとしています。この禁止令が発令された当初は様々な反対意見が出されましたが、その中でもサテライトキャンプをなくすことで未来のリクルート達のアピールの場が無くなり進学に影響を与える、と危惧する声が多く聞かれました。この禁止令で一番被害を被るのは参加者である高校生達だ、と。
この問題を調査していた評議会は今月始めに投票を行い、10対5でサテライトキャンプを禁止すると言う決定を下しました。これが出た当初はサテライトキャンプを中止させろと声を荒げていたSECの要求が通ったとされていました。SECはカンファレンス自身のルールとしてキャンパスよりも半径50マイル(約80キロ)より外でキャンプを開催することを禁じていたからです。
しかし今回の撤回でこれまでアグレッシブにサテライトキャンプをリクルーティングの手法として使っていたBig Tenカンファレンス、特にミシガン大のジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督は両手を上げて喜んでいることでしょう。それはキャンプを開催出来る喜びだけでなく、SECに一泡吹かせたと溜飲を下げた思いでいるに違いないからです。
SECの反応
この決定に伴いSECではその「50マイルルール」を解消する動きでいると言う話もあります。全米の他のチームがサテライトキャンプと言う名を借りたリクルーティングにいそしめるところで、自分たちの決めたルールで自分たちの首を絞めたくなはないと思ったのでしょう。
「NCAAが今回の禁止令を撤回したことは非常に残念ではあるが、我々は理事会の決定を尊重します。そして我々SECは引き続きそれぞれのチームがリクルーティングにおいて成功を納められるよう引き続き努力するつもりです。」とはSECコミッショナーのグレッグ・サンキー氏の発言。
「我々は今後もフットボールのリクルーティングは定められたリクルーティング期間内で行うべきことだと主張していきます。このリクルーティング期間内で全米中の将来のリクルート達が自分自身を売り込むことは十分可能だと思いますし、高校のコーチ、教師たちもこのシステムがあるからこそ教育やトレーニングに勤しむことが出来るのだと信じています。」
なんにせよ今回の一連の騒動はNCAAのフライングからはじまり(おそらく相当の圧力がSEC側からあったと推測されますが)、それに対する反論の大きさと先ほど紹介したこのニュースのこともあり、NCAAが心変わりしたのだと思われます。この騒動のリバウンドとしておそらくさらに多くのサテライトキャンプが今後開催されることとなるでしょう。