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ウィンズロー・Jr氏の転落人生

ウィンズロー・Jr氏の転落人生

かつてマイアミ大で2001年から2003年までプレーし、2004年のNFLドラフトで第1巡第6番目にクリーブランドブラウンズに入団して約10年プロでプレーしたTEケレン・ウィンズロー・Jr(Kellen Winslow Jr.)がこの度答弁取引(Plea Deal)に同意し14年間の刑務所に入ることになりました。

スター候補だったウィンズロー氏に何が起きたのか・・・。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

将来有望だったウィンズロー・Jr


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大学時代は2001年はジェレミー・ショッキー(Jeremy Shockey)氏のバックアップとしてBCSボウルチャンピオンシップシリーズ)ナショナルチャンピオンの一員となり、2002年にはスターターとして再びBCSタイトルゲームに出場するもオハイオ州立大との死闘に敗れました。3年生だった2003年にはオールアメリカンに選出され、最優秀TE賞であるジョン・マッケイ賞を受賞。当時最高のTEとして鳴り物入りでクリーブランドブラウンズに第1巡目で指名されたのです。

NFLでは怪我やバイク事故などで出遅れましたが、3年目からは評判通りの実力を発揮。4年目にはプロボウルにも選出され将来を期待される選手に成長しつつありました。

5年目にタンパベイバッカニアーズに移籍した後もチームのトップレシーバーとして活躍。しかし2012年にはチームとの契約のこじれからOTA参加を拒否。その結果タンパベイはウィンズロー氏を放出。その後はシアトルシーホークス、ニューイングランドペイトリオッツ、ニューヨークジェッツを渡り歩きましたが、以前のような輝きを取り戻すことは出来ず2013年を最後にプロの世界から姿を消していました。


悪童としても知られたウィンズロー・Jr


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その一方、ウィンズロー氏にはフィールド外での問題がつきまとっていました。

大学時代のエピソードで印象に残っているのは「俺はソルジャーだ!」と豪語して炎上した騒動がありました。

2003年にテネシー大と対決したマイアミ大は10対6と惜敗。この試合でウィンズローはテネシー大の2選手を自身のブロッキングでサイドライン送りにしたのですが、試合後のインタビューでこのことについて尋ねられた際以下のように話したのです。

「もし自分がやらなければ奴が自分に同じことをしただろう。だからぶっ倒した(Kill)だけだ。(中略)俺はソルジャーだ!!」

実際は動画でも分かる通りもっとアグレッシブな口調で吐き捨てています。今見ると、大学生の分際で囲み取材を受け、この傲慢な態度が許されていたことにも驚きを隠せませんが、たかだが大学フットボーラーのウィンズロー氏が自身を「ソルジャーだ」と言い放ったことに世間は大いに反応し、選手とソルジャーは違う、一緒にするなと大炎上したのです。

その当時からこの悪童的態度は際立っており、今考えれば現役引退後に問題を起こして刑務所送りになる下地はあったのだと思わざるを得ません。

2014年には違法薬物所持の疑いで刑事告発。2018年には強盗・強姦事件を起こして逮捕。その裁判が2年間において行われ、今年の2月19日に無期懲役の代わりに、今後一生管理下に置かれること、再販した場合には上告する権利を放棄するなどの司法取引を行うことで14年間の刑務所入りに合意しました。結審は3月に行われる予定。

元フロリダ大TEヘルナンデス氏の転落


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過去のスターが引退後に転落の人生を辿ることは少なくありません。大学時代、更に遡れば高校時代からチヤホヤされたことで現役引退後に環境の変化に耐えられず闇の世界へ陥っていく・・・。

似たようなケースに元フロリダ大アーロン・へルナンデス(Aaron Hernandez)氏の件があります。

2007年から2009年までフロリダ大に在籍したルナンデス氏は奇しくもウィンズローと同じTE。彼も2009年にBCSタイトルを獲得しオールアメリカンに選出されジョン・マッケイ賞を受賞。2010年から3年間在籍したニューイングランドペイトリオッツでは初年度から出場機会を与えられ貴重な戦力として数えられるようになっていました。

しかし2013年に殺人事件の容疑がかけられると即ペイトリオッツはヘルナンデス氏を解雇。そして2017年4月に収監先の刑務所内で自殺。転落人生とはまさに彼のための言葉と言わんばかりの凋落ぶりで人生に幕を閉じたのです。

参考記事元フロリダ大へルナンデス氏の転落人生

CTEが関係?


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ウィンズロー氏の弁護団は弁護の中で彼がCTE(Chronic Traumatic Encephalopathy)を患っている可能性があると明かしました。

CTEは主に脳震とう(Concussion)による脳への蓄積されたダメージが引き起こす疾患で、近年はアメフト界でよく取り上げられるようになった問題です。かつて脳震とうの事があまり研究されておらずその事を軽視し続けた結果、当時の選手が引退後に精神的不安定になったり記憶障害や機能障害を起こして最悪自ら命を絶つという選択をとってしまうケースも紹介されています。

例えば元サザンカリフォルニア大選手でサンディエゴ(当時)チャージャーズ、マイアミドルフィンズ、ニューイングランドペイトリオッツで活躍したジュニア・セアウ(Junior Seau)氏やノートルダム大出身でシカゴベアーズなどでプレーしたデイヴ・ダーソン(Dave Duerson)氏、元イーストカロライナ大選手でピッツバーグスティーラーズに所属していたテリー・ロング(Terry Long)氏、元テンプル大エイドリアン・ロビンソン(Adrian Robinson)氏らは皆CTEのために自殺したという報告がされています。

実際、2015年に発表された研究では、死後に研究のために脳を寄付された91名のうち87名の脳からCTEを証明する検査結果が出たそうです。

外部記事87 of 91 tested ex-NFL players had brain disease linked to head trauma

そして前述のヘルナンデス氏も死後の検査結果でCTEを患っていたという報告が出ています。

===

ウィンズロー氏の場合、罪状を軽くするためにCTEを隠れ蓑にすることは法律上出来ませんが、大学時代から問題児だったにせよ犯罪を犯す負のスパイラルから抜け出せないところを見ると、彼がCTEを患っているとしても不思議ではありません。

ウィンズロー氏のように華やかな世界に居た人間が犯罪者に転落してしまうという、許されるべきではないことは当然ながらそれと同時にフットボール選手という傘を剥ぎ取られたとき順応できない人間を垣間見ると、ユース時代から高校、大学、プロでの選手としてだけでなく人間としてのあり方を学ぶことの重要性を感じずに入られません。

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