フロリダ大復活への道

フロリダ大復活への道

Embed from Getty Images

新コーチがやってきてチームを再建しなければならない時、それが達成されるまで普通なら複数年かかるものです。自分の手足となるアシスタントコーチを雇い、同じように自分と同じフィロソフィーを持つストレングスコーチを見つけ、そこから自分が信じる戦術をチームに浸透させてゆく・・・。どんなに優れた監督であったとしても、着任先のチームの状況によればデビュー1年目から勝利街道をひた走るということは簡単なことではありません。そして何よりチーム再建で重要なのは自分の描く戦術を体現してくれそうな選手をリクルートすることにあります。前コーチ陣から受け継いだ在校生たちを指導していくのはもちろんですが、やはり自分の息のかかった選手たち、自分が吟味し選んで勧誘した選手たちが出そろう3年、4年目からが勝負となります。ですから一刻も早くチームを自分色に染めたいのならば、就任時からのリクルーティングが非常に重要になってくるわけですね。

フロリダ大新監督、ダン・マレン

Embed from Getty Images

フロリダ大に今オフ就任したダン・マレン(Dan Mullen)新監督は名門フロリダ大の再建を託され大きな期待とプレッシャーを背負っての船出となります。フロリダ大のように強豪とされいつ何時でも優勝争いに絡んでいくよう義務付けられているチームならば結果が全てな訳で、周囲はそれを一刻も早く拝みたいと願っています。

【関連記事】Coaching Carousel 2017 – フロリダ大の場合

12月のアーリーサイニングデー、そして2月のナショナルサイニングデーにおいてマレン監督率いるフロリダ大はリクルーティングランキングで全米14位(234sports.comを参照)につけており、前年度の17位から少しだけ順位を上げています。かつて彼らが猛威を振るっていた2000年代にはこのランキングにおいて同チームは常に上位に顔を連ねていました。その当時フロリダ大のオフェンシブコーディネーターだったマレン監督ならば身に染みて分かっている事でしょうが、フロリダ大が再び全米を席巻しその強さを持続するためにはこのリクルーティングバトルで毎年上位に食い込んでいかなければならない訳です。


SECで勝つために

フロリダ大が所属するサウスイースタンカンファレンス(SEC)は言わずと知れた全米でも随一の強豪カンファレンス。そこでコンスタントに勝利していくことも、そしてそういったチームをコーチしていくことも大変難しいと言われています。

SECが所在する米南部においてフットボールは「宗教」に近い存在にあります。人々の生活、特に子供達のスポーツシーンにおいてフットボールは切っても切れない存在であり、それゆえにそれぞれの地域にある大学チームはその場所において唯一無二の存在ととらえられているといっても過言ではありません。そしてそのことが米南部がフットボール王国として多くの歴史や伝統を生んできたことに繋がっているのです。

それは結果にも現れています。2000年に入りこれまで10回もナショナルタイトルがSEC所属チームの手に渡っています。次点のカンファレンスがアトランティックコーストカンファレンス(ACC)の3つである事からしてもいかにSECが強豪揃いのカンファレンスであるかが分かると思います。そんなチームに憧れるトップクラスの高校生リクルートたちがSECに流れていくのは自然の流れとも言えます。それがさらにその先にあるプロ(NFL)への近道(といっても他と比べたらという程度のものでしょうが)ともなればなおさらのことです。


高いハードル

そんなカンファレンスで上位を狙えるチームのファンたちは熱狂的でありまた短気でもあります。これまで20年ほどカレッジフットボールの世界を見てきて思うのはテキサス大のファンほど短気なファンはいないということですが、SECの強豪チームのファンたちも自分たちの贔屓のチームが毎年ナショナルタイトルを狙えるチームに成長することを強く願うため、それが早々に達成されないと分かればどんなにいい監督と言われても厳しい声を浴びせることになります。

そんなプレッシャーを背負っていかなければならないマレン監督も今の歓迎ムードが非難の声に変わる前に一刻も早く結果をフィールド上で出さなければならないのです。そのためにはやはりリクルーティングで成功することは必須事項です。いかに優れた戦術を持っていてもそれを体現できる選手がいなければ元も子もありませんし、コーチングで選手を育てるといってもそれは時間がかかることですから、特にスキルポジションでは入学時からそのポテンシャルを持っている選手の数が多い方が有利になってくるのです。

そもそもこの異常なまでの高いハードルを生んだ要因は同じSEC所属のアラバマ大にあります。ニック・セイバン(Nick Saban)監督が2007年に就任して以来彼らは5度も全米制覇を成し遂げています。それだけでなく彼らは今年リクルーティングランキングでジョージア大に首位を明け渡すまで7年連続でトップランクを維持してきました。彼らが成功を収めれば収めるほど他のチームが苦汁を嘗める結果になるわけで、他のチームが「打倒アラバマ大」を掲げるようになるのは自然の流れです。そしてそれはいつの日か「アラバマ大ができるなら我々も」というファンや関係者の強い思いに転嫁していくことになります。

そもそもアラバマ大のように毎年のように優勝争いに絡んでくること自体がレアなことであるわけで、皆が彼らのような成功を収めることはできないのです。優勝できるのは当然たった1チームなのですから。しかし彼らがカレッジフットボールの強豪チームのハードルを上げたのは事実であり、彼らのような成績を収められなければ大学は監督の首を切り続け、願わくば「第2のセイバン監督」を探し当てたいと思っていることでしょう。


リクルーティングが鍵

フロリダ大にとってマレン監督がその当たりくじなのかどうか・・・。それは数年たって見ないとわかりませんが、少なくとも彼らは3つ星や4つ星リクルートだけでなく「ブルーチップ」と呼ばれる5つ星の選手たちを多くチームに引き寄せる必要があります。

フロリダ大が所属するSEC東地区では昨年2年目のカービー・スマート(Kirby Smart)監督が率いるジョージア大が大ブレークし、ナショナルタイトルゲームにまで進出しました。そして既述の通り彼らは2018年のリクルーティングランキングでもアラバマ大を押しのけて首位に躍り出ています。マレン監督が腕利きの監督だからといって自動的に東地区を制することにはならないのです。ただ逆に言えばリクルーティングで成功すればジョージア大のように短期間で全米の檜舞台へ駆け上がることが可能であることが分かった訳ですし、フロリダ大はまさにジョージア大がしてきた道を辿るべきなのです。しかも迅速に。

2006年と2008年にナショナルチャンプに輝いたフロリダ大は当時現オハイオ州立大HCのアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督に率いられていました。しかし彼が去ってからというものウィル・ムスチャンプ(Will Muschamp、現サウスカロライナ大監督)氏、ジム・マクエルウェイン(Jim McElwain、現ミシガン大アシスタントコーチ)氏はマイヤー氏の築いたレガシーを引き継ぐことができませんでした。マレン監督のパーソナリティーと攻撃的な戦術はフロリダ大に今の所マッチしていると思いますが、全ては試合で勝てるかどうかにかかっています。マレン監督がフロリダ大ファンの心をがっつり掴むためにもここ1、2年である程度の方向性を見出さなければならないでしょうね。マレン監督にしてみればおそらくここでコーチングキャリアを終えたいと思っていることでしょうから、長くフロリダ大を率いるためには少しの失敗も許されないのですから。

この記事が気に入ったら拡散&フォローお願いします!
Share on twitter
ツイート
この記事が気に入ったら拡散&フォローお願いします!
Share on twitter
ツイート
Share on facebook
Share on facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on facebook
Share on pocket
Share on facebook
Share on email
Share on facebook
Share on facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on pocket
Share on email

ANY GIVEN 
SATURDAY

全米カレッジフットボールファンサイト
カレッジフットボール記事