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フィッシャー監督が背負うプレッシャー

フィッシャー監督が背負うプレッシャー

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フィッシャー監督で大改革

昨年末電撃的にフロリダ州立大の監督の座を退いてテキサスA&M大の新監督に就任したジンボ・フィッシャー(Jimbo Fischer)監督。世間を驚かせたのはそれだけではなく大学とフィッシャー監督の契約内容で、それは10年間で7500万ドル(約82億円)というとんでもない巨額のものでした。フィッシャー監督はこれまで生涯成績83勝23敗、2012年から2014年までカンファレンス(ACC)3連敗、2013年にはナショナルタイトルも獲得し、さらにその年にはハイズマントロフィー受賞者(ジェーミス・ウィンストン、現タンパベイバッカニアーズQB)も輩出するなど輝かしい履歴を提げてテキサスA&M大に乗り込んできました。

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2013年にフロリダ州立大をナショナルチャンプに導いたフィッシャー監督

テキサスA&M大はこれほどのキャリアの持ち主を監督に据えた事は無く、当然ながらファンたちの期待度は最高潮に達しています。「1939年以来のナショナルタイトル獲得も夢ではない」と。

それに加えてここ最近行ってきたスタジアムの改築、フットボール部施設のアップグレード、フィッシャー監督が連れてきたコーチへの報酬などを含めて多大なる資金をフットボール部へつぎ込んできている訳ですから、フィッシャー監督へのプレッシャーは尋常ではないはずです。

最近のテキサスA&M大といえば2012年にチームがBig 12カンファレンスからSECに鞍替えした際に起用したケヴィン・サムリン(Kevin Sumlin、現アリゾナ大HC)監督がいきなりデビュー初年度に11勝2敗で脚光を浴びましたが、それ以降は鳴かず飛ばずで二桁勝利に5年連続手が届かず、昨シーズン後にチームはサムリン監督と袂を分かちました。長い歴史があり、ネームバリューもあるテキサスA&M大ですが、前述の通り最後にナショナルタイトルを獲得してから相当の年月が経っており、それだけに今回フィッシャー監督を招聘できた事はファンにとっては大きな希望となるのは分かる話です。


98億円の投資

それにしても7500万ドルというサラリー、そしてアシスタントコーチへのサラリー、さらには彼を雇用するために契約途中のサムリン監督を解雇したために生まれた1000万ドル(約11億円)を合わせれば、フィッシャー監督体制のために約9000万ドル(約98億円)が注ぎ込まれた事になります。アマチュアのカレッジフットボールにかけられる金額としては常軌を逸しているようにも思えますが、それが捻出できてしまう所にテキサスA&M大のポテンシャルを感じます。

その事についてテキサスA&M大の体育局長、スコット・ウッドワード氏はフィッシャー氏の古巣であるフロリダ州立大が所属するACCを引き合いに出して「SECと比べてACCには財力において問題がある」と断言しています。

こんなことを聞いたらACCの連中は黙っていないでしょうし、実際ACC所属のクレムソン大がチームに費やしている資源・資産は目を見張るものがあります。しかしSECの方がACCよりも多い歳入があるのは事実ですし、フィッシャー監督がフロリダ州立大時代に大学に急かしていたスタジアムの改築が停滞していたことが彼がフロリダ州立大に見切りをつけた一因でもあると伝えられているように、様々な面でSECの規模が凄まじいという印象が見受けられます。

といってもテキサスA&M大の財力が底なしというわけでは決してなく、流石の彼らも9000万ドルという大金を費やした事に対する補填のために、大学は来年のシーズンチケットの値上げを敢行することを3月に発表していました。つまりフィッシャー監督の起用がファンの懐にも少なからず響いている事になります。これでなおさら彼らがフィッシャー監督に高いハードルをかけるわけです。

凄まじい期待度

様々なことを考えればフィッシャー監督が背負うプレッシャーはフロリダ州立大時代のものよりもさらに大きくなる事は確実です。その期待に彼が一刻も早く答えなければファンや大学関係者たちはすぐにでも彼に背を向ける事になるでしょう。近頃のカレッジフットボール界は今まで以上に勝ち負けにシビアなのです。

そのファンの期待度の現れといったら凄まじく、まだフィッシャー監督主導のチームが1度も試合をしていないのにも関わらず、大学はフィッシャー監督に下のようなトロフィーをすでに手渡しているのです。

これは未来に必ず訪れるであろうという架空のナショナルチャンピオンシップトロフィーです。まだシーズンも始まっていないのに物凄い期待のかかり様です。しかし7500万ドルも支払えばこれくらいのことはしても決してやりすぎではないのかもしれません。

現状打破のために

一方フィッシャー監督のチーム再建は始まっています。チームの運営からトレーニング方法、戦術、テクニック・・・多方面からチームの改革に乗り出していることでしょうが、フィッシャー監督が変えたいと思っていることの一つにチーム全体のキャラクターであることを話しています。

2月にインタビューを受けた際、「今のテキサスA&M大はソフト(=タフじゃない)だ」と面と向かって指摘されたフィッシャー監督は「それはその通りだ。今の我々はソフトだ。しかしそれを私は変えていくつもりだ」と返したと言います。

また最近残したコメントに以下の様なものもあります。

「毎試合ファンが見ていて楽しいと思わせる様なチームを育てたい。強いハートを持ち合わせいる選手が多くいるチーム。魂込めてプレーする選手たちがいるチーム。タフネス、努力、そして自戒することを良しとする選手たちがいるチーム。自分たちの行動にプライドを持っているチーム。そういった選手たちは絶対にあきらめません。そして手にしたサクセスをいかに受け入れていくかという術を知っています。傷つき落ち込んだ時もそのような状況を長引かせることはありません。そこから立ち上がって再び戦いに挑んてゆく。彼らは60分の試合を全員でプレーしていかなければいけないことを知っているからです。」と彼の目指すチーム像を話していました。甘い連中が増えてしまったテキサスA&M大の選手を根本から叩き直すために放った言葉でもあったのでしょう。

テキサスA&M大フットボールのX&Oに関することは2018年度シーズンが始まってみないとわかりません。ただもし本当にフィシャー監督にチームを再建できる手腕があるのだとしたら、長くくすぶっていたファンたちの鬱憤も近い将来晴れるやもしれませんし、また彼らが所属するSECの戦いも大変見応えがあるものになっていくでしょう。

9000万ドルに見合うだけの成果をフィッシャー監督らコーチ陣が演出することができるのか、来季のSECおよびテキサスA&M大の動向にはいつも異常に目が離せなくなりそうです。

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